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モブキャラでも助けたい  作者: 楸の月
24/53

終わり?

博物館の中へ進む、相変わらず休日だというのに人っ子一人いる様子がない――念のため、全員認識をずらしておいてはいるが……経営本当に大丈夫かここ――



「相変わらずだな……というかもしかして俺たちが一番の常連なんじゃね?」


「確かにね、僕たちほぼ毎日のように来てるし――まぁ学生だから無料だけど……」



 博物館の中心部へ来たところで、体が光に包まれ、頭に声が響く――



『よくぞ集めました。あなた方には願いを叶える権利を差し上げましょう』



ちなみにこの声はあちらの世界にある誓約のツールズちゃんの声らしい――

てっきりあちらの誰かがボイスチェンジャーでも使っているのかと思っていたんだが……


――そんなこと思っていると氷上が一歩前に出る。



「それじゃあ私から――」



 氷上さんだけよりいっそう光る――氷上さんは何か口にしているようだが、こちらの方には聞こえない、まぁ願いの内容は俺は知ってるけど……


司が近づいてきて、俺にしか聞こえない声でささやく。



「なぁ守……君の願いはどうせ僕との帰還でしょ?――僕たちはこの世界にとってのイレギュラー、だから僕たちはこれ以上この世界に関わるべきじゃない、元に戻すべきだ……そう思ったんだろ?」


「――なんでわかったんだ……」


「何年友達やってると思ってるの?それくらい考えなくても君が考えそうなことは分かるさ……一応守が考えてそうなことを一つ訂正しとくよ――シナリオ変わったのは守のせいじゃないし、むしろいい方向に進ませたんだ、ほこりなよ――守は助けたんだ、この世界の未来を……」


「――ありがとな司」



――俺が言い終えたところで、氷上さんからまばゆい光が消える。



「次、私!」



 元気よく日野さんが一歩を踏み出すと再び光に包まれる。

 


「ねぇ守?あっちに戻ったら、僕と一緒に仕事しないか?――事務所でも会社でも立ち上げてさ、守とならあっちの世界でも悪くないって思えたしさ……」


「俺は無職だしいいが――お前は今の仕事どうするんだよ」


「どうせやめるつもりだったし大丈夫――お金の事とかも心配しないで?お金使う機会なくて、金だけはあるんだ――こっちにいて確信できたよ、やっぱ守といる方が楽しい――」


「――確かにお前と久しぶりに行動出来て楽しかったよ……」



――楽しいな、友達と未来の話を笑いながらできる……転生する前の俺では考えられなかったことだ――人生に疲れて、どうしようもなかった俺を変えてくれた、この世界に感謝だな……


ありがとう……


そしてさよならだ……







――そう思った時だった。



「素晴らしいね君たち!まさかこんな物語を見れるとは!!――モブの君がまさかこんな結末を持ってくるとは思いもしなかったよ!」



――俺達2人は一斉に振り返る!

そこにはローブ姿の小柄な人物がショーケースに腰掛け、こちらに話しかけてきた――

男とも女ともとれない体型、顔を見ようとしてもまるでモザイクでもかかったように判別できない!


周りを見ると、まるで俺と司以外は時が止まったかのように動かない、

少なくとも力を持ったやばいやつだってことは、肌で感じ取った――



「――お前、誰だ?」


「名乗るほどの者じゃないよ、あえて呼称を必要とするなら――ナナシ、とでも名乗っておこう」



――ナナシとなのったそいつはショーケースから降り、ゆっくりとこちらに近づいてくる。



「一つ忠告――君たちが元の世界に戻ることはできないよ?……いや、元の体に戻ることはできない――が正しいかな?」


「どういう意味だ!!」


「言葉通りさ、君たちの前の体をもう既に死んでいる――といったつもりだったんだが……理解できなかったか?」



――前の体は死亡している?……つまり、俺たちは死んで転生したってことか、いやそれよりこいつが俺たちを転生させたのか?


この時点じゃ分からない……



「あんたが噓を言ってる可能性だってあるでしょ?なんで手放しで信じてもらえると思ったのさ?」


「信じるか信じないかは君たち次第だ――それにしても最高のショーだったよ!転生させた甲斐があったってもんだよ、体を提供したこの世界の君たちに感謝しなきゃね!!」


「――僕たちは見世物だったって……そう言いたいのかなッ!」


――司は神具ソハヤをナナシに振るい――斬撃が飛ぶ。


俺も止める気になれなかった……それほどまでにあいつの存在に怒りを覚えていたからだろう……誰でも助けることを信条としてる俺でさえ拒否反応が出る。


こいつを助けてはいけない――俺とは相反する存在であると……体が言ってるかのようだった。


――だが、首元に斬撃があたる寸前でナナシは消える――



「おやおや、君は私を助ける気にはならなかったのかい?モブ君?」



――ナナシの声が背後から、聞こえたので振り返る。


後ろにはナナシがおり、何か手に持っている……

――その手にはサードが握られていた。


俺はいつもサードを入れてるポケットを確認したが、消失していることに気づく――



「返せ!!」


「はいはい、返す――よっと」



 ナナシが軽く投げ返してきたサードを受け取る。


 あっさりと返した……どういうつもりだ?

 


「君にちょっとしたプレゼントだよ?――その子、君用に使いやすく改造しといたから――私を楽しませてくれたお礼だと思ってくれ」



――サードを確認するがたしかにサードの能力が増えている……



「お前何者だ……」


「答える気はないよ、じゃあね君たち――また次のゲームのシナリオで会えることを期待するよ?その時は私の予想を超えてくれよ?」



――そう言うと転移したかのようにナナシは消える。


時間が再び動き出す……なんだったんだあいつ?

アルケミストツールズじゃ見たことないぞ……


――それに奴はゲームのシナリオといった、その発言ができるのはこの世界がゲームのシナリオに酷似していることを知らなければ言えないことだ……



「おにい?次だれいくの?」


「ごめん紬――僕たち二人の願いは保留にするよ」


「急にどうしたの?」



今、帰還の願いを叶えてもらうわけにはいかない――

やり残したことが出来たな……もう少しこの体借りるぞ!


俺たちの死の真相、この体の魂の行方――そしてナナシの正体を探る……


それができないと俺たちはこの世界を去れない!

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