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首の世  作者: しめさば
1/5

プロローグ

「志望動機を教えてください」

「え、あ、はい。えっと……」

 黒服の男たちに取り囲まれた若者は、沈黙している。

「どうしました?」

「す、すみません。えー……」

 再び沈黙。

 面接官は履歴書に記載された「使用デバイス」の欄を確認する。

(アカネ)7号……?」

 それは聞き馴染みのない機種だった。


 学生が退室した後、人事部長とその補佐が小声で話している。

「旧世代の性産業アンドロイドに組み込まれていたAIのようですね」

 補佐の桜木が、ネットワークに接続して調べた情報を述べた。

 部長は知っていた口ぶりで言う。

「どこから仕入れてきたか知らないが、あんな性能で、ろくに勤められるわけがないだろう」

 部長は笑い、桜木は悲しげな表情を浮かべた。

「しかし、電子テストはパスしています」

 それが何だ、と言いたげな表情で、部長は次の学生の履歴書に視線を落とす。

 書類をいまだに電子化しないで肉眼のスキャンに頼るあなたも、たいがい旧世代だと内心で謗った。

「何か言ったか?」

 部長の視線に、桜木の心臓は飛び跳ねた。

『大丈夫です。ハックは検知されていません』

 桜木の脳内で女性の声がする。

 彼の使用する蒼月(ソウゲツ)2.0の声だ。

「いえ、何も」

 安心した桜木は、白々しくも部長に笑みを浮かべた。


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