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魔王はなぜ死ななければならないのか  作者: For AP
第二章 始まりの村
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15話:小さな白い鳥


(まぁなんとなく把握したわありがとう)


 とりあえずステータスについてはこんなところか。とは言ってもまだまだわからない仕様がありそうだ……今後聞きたいことが出てきたらどうすればいいんだ?もうこの機会を逃したら一生質問できないのか?ステータスなんて話を師匠にしても、家族にしても意味はない。質問できるのはフィドしかいないだろう。となるとどうやって今後、やり取りをするのかが重要になるわけだが……


(なぁ、今度から質問したいときはどうすればいいんだ?)

(ん?僕はこれからずっとアルガくんのそばにいるわけだ、しいつでも聞いてくれて構わないよ?わからないことも多いけどね!)

(………………………………!?)


 あまりの衝撃に言葉を想像することすらままならなかった。思わず力を込めて、机を押さえつけながら椅子から立ち上がる。

 

(はぁ!?それってずっと今みたいに頭の中にお前がいるってことか!?!?本気かよ!!!)

(本気も本気、ガチガチだよ?)

(何言ってんだよ!嫌に決まってるだろ!)


 急にもう1人の人格が芽生えたようなもので気が狂ってしまいそうだ。ただでさえフィドはウザいのに……これからどう暮らしていけばいいんだ。脳内を覗かれながら全ての行動を監視されるのなんて、一介の陰キャにはには厳しいものがある。

 

(それを条件に転生させてあげたんだからね。ムゥリー!!)

(やばすぎキモすぎ辛すぎもう死ぬ)

(そんな急に病んでる人みたいなことを言わないでくれよ……僕だって悲しくなるんだぞぉー!)


 そんな不貞腐れたような声を出されても俺の方が嫌だよ。ずっと脳内ストーキングされるのなんてキツすぎる。


(……まぁ、ずっと脳内に僕がいるってのも都合が悪いこともあるかなって思って秘策も考えてあるんだけどね)

(お前さっきからわざと勿体ぶって話してるだろ!!)

(……否定はしないよ?アルガくん反応いいんだもの)

(――――。どんな対策があるんだよ)


 思わず舌打ちが漏れそうになるのをどうにか堪え、話の続きを促した。

 

(うーん、やってみせようか。ちょっと魔力をもらうね)


 何をするつもりなのだろうかと疑問に思いながら椅子に座りなおすと、唐突にガクッと力が抜けるような感覚を覚える。これが魔力が亡くなる感覚か……すげぇ不快感と倦怠感だ。手持無沙汰になった俺は地っと机の上を見つめていると、突然何もなかったはずの天板の一部が光りだした。。


(え?なにをするつもりだ!フィド説明しろ!)


 しかし返事はない……動揺したまま、何をするわけでもなく光を見つめていると明滅が始まった。机のランプのみが薄ぼんやりと光る朧げな暗闇が、蛍光灯のような刺激的な光で満たされる。


(シトリーは起きてないだろうな)

(こんな時でも妹ちゃんの心配かい?本当にシスコンなんだから)


 徐にフィドの声が伝わったと同時に、光は輝度を失いはじめ、光の元に白いモコモコフワフワな何かが姿を現した。


(これが秘策だよ!僕がフィドさ!)

(え?この白いのがお前なの?)

(そうそう日本に住んでるシマエナガって鳥をかわいいなと思ってぇ!!僕の化身にしてみました!!どうだい?)

(……かわいいなぁ。)

(でしょでしょ?)


相変わらず中身はウザいままみたいだけど、流石に見た目はかわいいと言わざるを得ない。急に実体化したフィドは姿を見せつけるかのようにクルクルと回り、尾羽を振りながら俺の肩に飛び乗ってきた。


(こんな感じで、体を分けて視覚も分割できるし、遠くに離れれば思考もつながらないようにしといたからさ。便利なお供キャラとして、よろしく頼むよ相棒!)

(……………………はぁ)

 

 まぁこのぐらいが妥協点か…この世界に生まれ変わることができたのもこいつのおかげだしな。相談役が欲しいってのもあったし、我慢するしかないな。


(相棒っていうな!できる限り大人しくしていてくれ)

(OKってことだね!?ヒャッホーイ!!)


 歓声を上げたフィドは部屋中を飛び回る。全く、騒がしい奴が増えてしまったなぁ。


(そうだ忘れてしまう前に聞いておくんだけど、君にあげた魔眼の名前はどうしよう?)

(名前?そんなのいるか?)

(いるいる!こういうのは気持ちが大事なんだよ!それにスキル欄にも表示されるんだから!)

 

 困ったな…こういうセンスは1ミリもないんだが……ゲームをするときは、大体初期ネームでやるタイプなんだよ。とりあえず案でも聞いてみるか。

 

(フィドはどんなのがいいと思ってんだ?)

(ゲーマーズアイとかよくないかい?)

(……本気で言ってる?ダサくね?)


 流石に俺でもわかるダサさだった。他のスキル名もクソダサとかじゃないよな……あとでスキル習得画面をよく確認しておこう。


(失敬な!だったらアルガくんこそ教えておくれよ!)

(じゃあ俺とお前の名前をとって【アルフィドの瞳】とかでいいんじゃね?——————————イテッ!!)


 飛び回っていたフィドは突然俺の頭に留まり、爪が俺の頭に刺さる。

 

(ふふふっ可愛らしいところもあるじゃないか。これは僕と君の友情の証だね!!)

(うっせぇ!つつくな!)

(冗談冗談!気に入ったよ)

(あぁそうかよ。あと頭に留まるな!痛てぇんだよ!)


――――――――――――――――――――――――


 アルフィドの瞳 クラス 1 (Cond Lv10)


――――――――――――――――――――――――



 

(あと最後にアルフィドの瞳について一つ注意してもいいかい?)

(なんだ?)


 肩に留まりなおしたフィドは、声音を変え、改まったかのようにそう言った。本当に最後なのだろうか…こいつ放っておくと永遠に話し続けそうだ。


(えーと、アルフィドの瞳については誰にもバレないようにして欲しいんだ。僕も念入りに偽装はしてるけど、君が他人に話してしまう……なんてことがあったらどうしようもないからね)

(ん?わかったよ)


 よくわからないけど気を付けるとしよう。———————まぁ前世の話を含め、異世界の知識なんて物をこの世界に流布するつもりはないから、杞憂ではあるのだが――


(結構長く話しちゃったなぁ。もうそろそろ寝るかい?)

(いやこれからステータスとかスキルとか吟味するつもりだけど)

(だよねぇー、そうこなくっちゃ!)


 一人と一羽は夜の暗闇の中で、ポツンと灯る光に頭を寄せ、話に花を咲かせるのであった羽

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