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3人続く町

作者: 樹

 これは俺が中学生の頃に体験した話。

 と言っても俺はまだ成人したばかりですげー昔の話とかじゃなくてつい最近の話。

 俺の実家は何処にでもある普通の地方の田舎町にある。

 別に有名な心霊スポットがあるとか幽霊が出るとか一度も聞いた事がない平穏な田舎町だ。

 小学生の頃に実家のすぐ近くの神社で夜に変質者が出たとかヒトコワな話しならあったけどね笑

 中学1年の夏頃。夏休みで学校は休みだからのんびり自分の部屋で妹とゲームしてた。

そしたら近くに住むおっちゃんが亡くなったってリビングの防災無線からお悔やみ放送が流れてきた。

 その時、お悔やみ放送を聞きに隣の家に住む父方のおじいちゃんが家にやってきた。

 防災無線は隣のおじいちゃんの家には無いので知人のお悔やみ放送が流れる時は毎回俺の家に来るんだ。

 葬式の日程などを聞くために。

 すごく優しいお爺ちゃんで70超えてもおばあちゃんと早朝から畑仕事に行っている様な健康で元気なおじいちゃんだ。

 俺はお爺ちゃんと軽く話をしようと思って自分の部屋を出てお爺ちゃんに声をかけようと近づいた。

 その時、おじいちゃんがお悔やみ放送を聞きながら

「今回も3人続くかな」

 そう言った。

 俺は不思議に思ってお爺ちゃんに聞いてみた

 「3人続くって?」

 そうしたらお爺ちゃんが話してくれた。

 どうやらこの辺り地域の家で死者が出ると何故か3人続くらしいとの事。

 俺は今までお悔やみ放送を全く聞いてこなかったので知らなかったが、どうやらこの辺りの地域では結構な確率で1人が死ぬと3人続いて亡くなるらしい。

 俺はその時、へぇーそうなんだぐらいに聞いていてお爺ちゃんもまぁたまたまが重なってるだけやろーって言ってたので特別気にもしてなかった。

 でも近所のおっちゃんが亡くなって3日後にお悔やみ放送が流れた。俺はその時もう既にお爺ちゃんが言ってたことを忘れててお悔やみ放送が流れてるなとスマホ触りながら聞きながしてた。

 更に3日経つとまたお悔やみ放送が流れた。その時俺はリビングでテレビを見ていてお悔やみ放送が流れてちょっとびっくりした。

 お悔やみ放送を右から左へと聞き流しながらテレビを見ていると、お爺ちゃんの話を思い出した。

 そして、あーこれで2人目だなと思った。

 お爺ちゃんもたまたまだと言ってたし特に怖くも無くお悔やみ放送が終わりテレビに意識を向け直した。

 その3日後俺はその時部活で家にいなかったが部活が終わり家に帰ると妹が今日もお悔やみ放送が流れたよと最近亡くなる人多いねと言ってきた。

 俺は妹と話しながらほんとに3人続いたなと思った。

 3人続いてからはお悔やみ放送は流れなくなった。

 1ヶ月が経ち、夏休みの終わりで宿題の山を終わらせる為に宿題を頑張っている最中にまたお悔やみ放送が流れた。

 今度は知らない人だった為お爺ちゃんはこなかったが今回も3人続いた。

 俺は流石に何故かいつも3人だけ続く事が不気味に思えてきた。2人でも4人でも無く何故か3人。

 そうじゃ無い時もあるらしいが俺がお悔やみ放送を聞いた時は必ず毎回3日置きに1人ずつ3人続いた。

 お爺ちゃんとお婆ちゃんに何故3人続くのか詳しい理由を聞いたが何も知らないらしく何かを隠すそぶりなどは無かった。

 そこからもちょくちょく休みの日にお悔やみ放送を聞いたがやはり3日おきに3人続いているらしい。

 お爺ちゃんが今日もお悔やみ放送を聞いたよと学校から帰って来た俺にそう伝えてくれていた為に1人が亡くなると3日置きに3人、人が亡くなっていることを知れていた。

 お爺ちゃんも今まで気にしていなかったらしいが俺の指摘で気になり出したらしい。

 俺は何かこの地域には呪いとかそういうものがあるのでは無いかと調べてみる事にし、役場に勤めている父に聞いたが役場にある古い資料とかにはそういうものはないと言われた。

 近くの図書館にもそう言う資料は無く完全に行き詰まった。

 やはり3人続くのはたまたまでそう言う呪いなどでは無いと諦めて調べることをやめた。

 一年が経ちそれまでにもちょくちょくお悔やみ放送が流れていたが高齢者が多い田舎だしたまたまだろうとお爺ちゃんも俺も気にしなくなっていた。

 中学2年の夏に本家のひいお婆ちゃんが亡くなった。

 お悔やみ放送でひいお婆ちゃんの名前が上がった。

 100歳間近だったので凄く長生きだなと思いながら本家の御通夜に参加した。

 ひいお婆ちゃんの事は全然知らなくて正月に顔を合わせるぐらいしか接点がなく特別悲しくもなかった。

 次の日、ひいお婆ちゃんのお葬式に参加した。 

 俺は初めてのお葬式だったのでお母さんにやり方を教わりながら前の人の見様見真似でお葬式をなんとか終えて家に帰った。

 火葬には参加せずお葬式でひいお婆ちゃんとさよならを済ませた。

 俺はその日の夜、明日でひいお婆ちゃんが死んで3日経つが今回は3人続くのだろうかと考えながら寝た。

 次の日、本当に死人が出た。亡くなったのは本家の近所の人、まぁ実家と本家は大して距離がないから俺の家の近所でもいいが本当に1人目の死者が出た。

 お爺ちゃんの家に行って1人目の死者が出たから今回はあと2人続くのかなとテレビで相撲を見ていたお爺ちゃんに聞くとお爺ちゃんが珍しく不機嫌な顔をしていた。

 どうしたのだろうとお爺ちゃんに話しかけるとお爺ちゃんがこう話してくれた。

 どうやら今までに続いて亡くなった3人は1人目に亡くなった人と縁がある人らしく今回もひいお婆ちゃんと仲の良かったお婆さんらしくお爺ちゃん曰く1人で死ぬのは寂しいから3人連れて行くのだろうと言っていた。

 流石にそれを聞くと怖くなってきた。俺が調べるの辞めてお悔やみ放送を聞くこともしなくなった一年の間にお爺ちゃんはたまにお悔やみ放送を聞いていたらしい。

 その中には知っている人もいたらしくその知っている知人のお悔やみ放送を聞いてから3日の後にその知人の友人のお悔やみ放送が流れた事で続く3人は1人目に縁がある人だと気づいたらしい。

 そして今回も続くと言う事はあと2人ひいお婆ちゃんと縁のある人が続いて死ぬと言うことを意味していて、もちろん俺たち家族も含まれている。

 お爺ちゃんは何かあったら守ってやると言ってくれたが不安は拭いきれなかった。

 ひいお婆ちゃんの友達のお婆さんが亡くなってから3日目、今度は本家のおじさんが亡くなった。もちろんよくひいお婆ちゃんと話をしていたらしく本当に縁のある人が2人続いて亡くなったことでひいお婆ちゃんとは全く関係がなかったものの全く縁が無いわけでもないので次は俺か家族の誰かかも知れないと怖くなりおじさんが亡くなった日の夜、怖くて寝れずにテレビを見ているとお父さんが起きてきてまだ寝ていないのか、早く寝なさいと注意されたが怖くて寝れるわけもなくお父さんに縁のある人が3人続く事を打ち明けたがお父さんは信じてくれず寝ろと再度怒られた。

 結局その夜は寝れずに次の日を迎えた。

 夏休みの終わりで溜まった宿題をしなければいけずその日は睡眠不足と闘いながら昼間に勉強をして夜になった。

 怖くて俺はお爺ちゃんの家に行った。

 するとお爺ちゃんが体調を崩していてお婆ちゃんが看病をしていた。

 俺はその時次に連れていかれるのはお爺ちゃんなのかも知れないと思った。

 今まで風邪を引いたお爺ちゃんを見た事が無かったので余計に不安と恐怖が込み上げてきた。

 俺がきたとお婆ちゃんがお爺ちゃんに伝えると寝ていたお爺ちゃんが体を起こして心配るすなと言ってくれた。

 俺はその日無理を言っておじいちゃんと一緒に寝かしてもらう事にした。

 寝不足のせいか俺は布団に入るなり直ぐに眠りについた。

 そして夢を見た。そこは本家のひいお婆ちゃんの部屋で太陽の光が差し込んでいた。

 そして死んだはずのひいお婆ちゃんが椅子に座っていた。

 でもあたりの雰囲気は穏やかでひいお婆ちゃんも全然怖い感じではなくただ椅子に座っているだけで特に連れていかれそうな雰囲気ではなかった。

 だから俺はひいお婆ちゃんに話しかけた。

 「ひいお婆ちゃん、どうして連れて行くの?」

ひいお婆ちゃんはただ椅子に座っているだけで俺の話はまるで聞こえていない様でただ窓の外を見ていた。

 俺もひいお婆ちゃんが見ている窓の外を見てみた。

 窓の外に広がっている光景は本家から見える町の風景ではなく実家と本家の間にある神社が目の前にあった。

 窓の外の神社を見ているとひいお婆ちゃんが話し出した。

 「私は寂しくなんかないんだよ。とても充実した人生だった。でも神様が3人連れてこいと言うんだよ。3人連れてこないと地獄に落とすと言われてるんだよ。私は連れていきたくないのに3日おきにあの神社に誰かが歩いて行くのが見えるんだよ。」

俺はそれを聞いて元凶はひいお婆ちゃんじゃなくてあの神社なのかと思った。

 そのまま窓の外を見ているとお爺ちゃんが歩いて行くのが見えた。

 それを見て俺は血の気が引いた。

 あのままではお爺ちゃんが連れていかれてしまうと思い窓から外に出て神社に向けて歩くお爺ちゃんの手を捕まえた。

 「お爺ちゃん!行っちゃダメ!」そういうとお爺ちゃんが我に帰った様にハッとした顔をしてお爺ちゃんと俺の2人で神社とは反対の本家の方に走り出した。

 本家に着くとお爺ちゃんがひいお婆ちゃんに向かって

「母さん。親父が死んで10年以上経つが寂しかったのか?」

 お爺ちゃんがひいお婆ちゃんに向かってそう言った。

 お爺ちゃんは、ひいお婆ちゃんが元凶だと勘違いしていたので俺がそこでひいお婆ちゃんが悪いのではなくあの神社が悪いんだとお爺ちゃんに説明し、そしてひいお婆ちゃんが言っていたこともしっかりと伝えた。

 説明を聞いて、お爺ちゃんは泣いてひいお婆ちゃんと抱き合っていた。

 ひいお婆ちゃんがここはあたしがなんとかするから早く帰りなさいと言ってくれた。

 俺とお爺ちゃんは帰り方は分からなかったがひいお婆ちゃんが実家の方に帰れば何とかなると帰り方を教えてくれた。 

 俺とお爺ちゃんはひいお婆ちゃんの助言を頼りに神社を避けながら実家にたどり着いた。

 実家に辿り着き玄関を潜った瞬間に目が覚めた。

 お爺ちゃんは俺が起きる前に起きておりお爺ちゃんは夢の内容を覚えておらず俺だけがあの夢を覚えていた。

 今回、ひいお婆ちゃんが亡くなってから2人亡くなったが3人目が亡くなる事は無くひいお婆ちゃんが助けてくれたのだと思った。

 お爺ちゃんは今も普通に元気で80歳超えてもまだ畑仕事をバリバリやっている。

 俺はあの夢以来、実家と本家の間にある神社が嫌いになった。

 元から薄暗く古い神社とは思っていたがあの夢の一件以来余計に怖いと思う様になった。

 あの神社に何が祀られているのか家族に聞いても誰も知らないらしく資料も神社に関する詳しいものはなく余計に恐怖感がある。

 掃除は年に一回されているそうだがもうこれ以上関わってもいい事はなさそうなので調べないことにした。 

 今も地元では1人が亡くなると3人続く事がよく起こっていると帰省した時に酒を飲みながらお爺ちゃんに聞いた。

 この3人続いて亡くなると言う怪現象は俺が見た夢通りに神社が関係しているのかそれとも別の要因なのか詳しくは分からない。しかし今も続いており3人続いて亡くなると言う事は俺の地元では良く知られている事だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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