第7.5話 【幕間】 棺桶、必殺技を考える
ちょっとした息抜き短編回。
うまく本筋に組み込めなかったので幕間扱いで……その割に後に繋がる要素も地味にあったり、です
街までの道すがら。
時々襲って来るモンスター相手に自分の能力を試しつつ、何か棺桶ならではの必殺技でも編み出せないかと思考をめぐらす。
叙事詩や英雄譚の主人公も、独自の必殺技を持ってる事がけっこうあるからな。子供のころによく真似をしたものだ。
長剣を逆手に持ち替え、魔力を込めて水平に薙ぎ払うルビンスラッシュ。
雷の魔法を剣に付与し、叩きつけるように斬るサンダーブレイカー。
相手に組み付いて、もろとも自爆する……これは現実的には真似したくない。死ぬし。
ともあれ不自由な棺桶の身、何かしら人間とは違う利点、独自の利用法でもなけりゃやってられねえという発想の元、いくつかの案を思いついたので実戦に投入、結果をここに記す。
その1
風魔法の『竜巻造成』で小型の竜巻を発生させ、敵を巻きこんだあと棺桶の中に敵ごと入ってもらって蓋を閉じる。
竜巻は消し、土魔法の『土塊操作』で地面の中に棺桶をずぶずぶと沈める――敵は埋葬される。
名付けて、惜命のルーイニング・コフィンズ・グレイブディガー。
ただしこれだと俺も埋葬される。没。
その2
その1の欠点を克服したもの。特殊魔法の『ドッペルゲンガー』で棺桶を増やし、増やした分に敵を吸い込ませて地中に埋まってもらう。敵だけ埋葬される。
悪くないと思ったが、増やした棺桶は自分から一定距離離れると消えてしまうので、敵が死ぬまで埋めた地面の上で待たなければならない。弱い奴なら棺桶が消えてもそのまま地中で死ぬけど多少タフな奴なら元気に地上に戻ってくるだろう。没。
その3
竜巻で敵を吸い込んで蓋を閉じるまでは同じ。しかしそのあと、棺桶本体を身体強化系の『鋼鉄化』で鉄と化し、棺桶内部に最上位の火球魔法を発生させる。敵は灰になる。
名付けて、灼熱のディファイニング・コフィンズ・デスブリンガー。
なかなか良いと思ったが、棺桶が火葬場になるのはどうだろうか。保留。
……というか結局、そんな手間のかかることをするくらいなら棺桶ビームを撃った方が早い。
そもそも人間大のモンスターにしか通用しない技ばっかりだ。
そのほか光系魔法で光の粒子を使った幻作成などを試してみたが、幻は幻なので必殺技ってほどでもなく。
何かに使えそうではあるのだが。
必殺技開発も難しい……
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