エピローグ
ホテルをチェックアウトし、首都を眺める小高い丘まで出てきた。
今日もいい天気だ。さやさやと風に撫でられた草原の草が静かな音を立てている。
「……さて……」
皆との別れの時。
「フィンさまには色々助けていただいて……感謝の言葉もありません……!」
「俺もメルリーネにはめっちゃ助けられたよ。そのスキルには特に、何度もね」
「うう……ほんとに、ほんとにありがとうございましたあああ……!!」
メルリーネは最後は号泣してしまった。
「いつか! また里を出て会いに来ますから……! フィンさま!」
と言ってくれた。
おう、待ってるぜ……!今度里を出るときはちゃんと許可を取ってくれな!
マイアが近づいてきて、足を軽く蹴ってきた。
「じゃね。もうアタシは高級家具に宿る上級精霊だから、アンタみたいなのに宿ることはもうないのよね」
「まあもう人間だしな。寂しいか?」
「誰が! ……。……さ、寂しいとか、ほ、ほんのちょっとしか思ってないっしょ!! アホめ!」
ガスガスと強く蹴ってくる。よっしゃ寂しいと言わせたった……!
しかし、マイアが何かの道具に宿って、自分以外の人間に愛用されるところを想像すると、なんか
モヤモヤするものがあるな……
「……何かに宿った時は、知らせてくれ。手に入れに行くから」
「……分かったっしょ。絶対、どうにかして、知らせるっしょ……
どんな高級家具であっても、ちゃんと買いなさいよね!」
金、貯めておかなきゃな。
結局、俺も皆と離れたくはないのだった。
ドーナがすすすすと近づいてくる。
「部屋のインテリアに出来なくて残念。……だけど。家族が出来る。……楽しかった頃を思い出させてくれて。
ありがとう……お兄ちゃん」
「おう、ドーナも元気でな。魔王城では特に世話になった」
おっと、ドーナの目にも涙。
いつかその固まった表情筋も、解きほぐれるといいな……
「家族が出来ても。あたしのお兄ちゃんは。一人」
「そうだな。そのうち家族に挨拶に行くよ」
……ん? なんか誤解を与えそうな事を言ってしまった気がする。
妹から肘打ちを食らってしまった。いてて。
「……じゃ、さよならだな、みんな。また、いつか」
そう、いつか。また会える。
今生の別れじゃないと信じて。
そして……皆、それぞれの道へと踏み出していった。
勇者棺桶による魔王討伐奇譚、これにて終幕。
――その後は。
魔将三傑の一角と、総大将たる魔王を失った魔王軍は急激に弱体化。
人間側が魔王軍に対し総力を挙げた決戦を挑み、大陸における領土のすべてから駆逐され、ここに平和が取り戻されることになる。
妹ミリアムは勇者として、俺は妹を支援する魔法使いとしてこの戦いに参加。
目覚ましい活躍を見せた。
俺は人間に戻っても、勇者の力は失うことはなかったのだった。
各種属性魔法に加え、勇者専用の魔法もスキルも普通に使えてしまう。
しかし普段はただの魔法使いとして、勇者の力は基本的に隠す。
時々頼りない妹を助けるために、こっそりその力を使って妹の手柄にしちゃったり。
この戦いが終われば勇者ミリアムは後々、叙事詩に語られる存在になるだろう。
なぜか魔王が居なくなってしまっていたことには何かしら捏造が入るかもだが……
自分が叙事詩の主人公にならなくても良いのかって?
――別に構わない。
なんせこの世界の守護神たる女神樹ルダちゃんの日記に、俺の活躍と名前が残っただろうからな!
「▼青の月27日。
勇者以外の者が魔王を封印するという快挙を成し遂げた。
その偉大なる名は、棺桶マン……!」
世界女神樹顕現体ルダ・ホスティン・メトセラの日記より抜粋
おわり
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