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第52話 俺、ぶらぶらする

 それから3日の間、俺たちの祝勝記念パーティは続いた。


 妹のミリアムも合流した。復活する際にルダちゃんから説明は受けていたらしいが、実際自分の兄が棺桶になってるところを見るとさすがに驚いたが、「あと3日で戻るから」ということでなんとか受け入れ、そして改めてメルリーネたちに「兄がお世話になりました」と挨拶。


 メルリーネたちも歓迎し、パーティに加わることを快く受け入れてくれた。


 ――そして始まるバカ騒ぎ。


 王城で一番高級な宿に泊まり、海を見渡す露天温泉で疲れを癒し。

 高級食材のコース料理を堪能し(俺以外)、ホテル内劇場で開催されるダンスショーなどを楽しみ。

 一流マッサージ師による全身もみほぐしでヘブン状態になり(俺以外)、リゾートプールで戯れる。


 3日間を徹底的に遊びつくす体制だ。

 この先の別れが必然なら、悔いのないように。

 笑ってその日を迎えられるよう、全力で、楽しむのみ。


 飯は食えんし体が木製な俺は、代わりにメルリーネに棺桶の隅々までを丁寧に洗ってもらうサービスをいただいた。

 3日目の昼。いまだに戻る様子はない。だからと言って何もせずにいるのはもったいないなと思ってたところ、メルリーネが申し出てくれたのだ。


 美少女エルフに体のあちこちをまさぐられ、ひっくり返され、体を拭いてもらう時にはやわらかボディをしょっちゅう当ててこられる実に健全なメンテナンス……


「最高だな!!」


「このエッチマンが……」

「兄は昔からこういうところありましたから」

「エッチマン。とは」


 マイアとミリアムが二人して腕を組んで渋い顔。

 だいぶ仲良くなったようで兄はうれしいぞ。

 ドーナは単語の意味が分かってない模様。


 ……というタイミングで、ボンと音がして自分の体が煙に包まれる。

 な、何事!?


 煙が晴れた時、自分の体が人間の姿をしていることに気づく。

 

 ……戻った。

 

 元に、戻れたんだ……!


「や、やったあああ!! うおおおおお!!」


 思わず全力で飛び上がり、小躍りする。


「きゃあああ!」

「うへえ……」

「何か。ついてる?」


 メルリーネが真っ赤になって悲鳴を上げ、マイアが不味いものを食べたような顔。ドーナは首をかしげる。

 なんだそのリアクションは……そ、そんなにおかしい顔してるっけ俺?

 その疑惑は妹の叫びで解消した。


「お兄ちゃん! 裸!!」



「え、えーと。改めまして、棺桶じゃなく……人間のフィン、だ」


 実にみっともない登場の仕方をしてしまったが、とりあえず服を着て、人間として皆の前で挨拶。

 やや気まずい雰囲気。

 メルリーネもまだ顔を赤くしていたが、ちょっとの間があったあとぱちぱちと拍手をしてくれた。

 マイアもドーナもそれに続く。


「お。男の人。だ」


 おう。ドーナは年上の男子は初めてだろうか。

 少しかがんで手を差し出す。おずおずと握ってくるドーナ。


「色々助けてくれてありがとな。お兄ちゃんと呼んでくれて構わないぜ」

「その。ありがとう。おにい……ちゃん。人間に戻れて。良かったね」


「……」


 すっと近づいて来て腕を組んでくる妹ミリアム。

 やや不機嫌そうだ。苦笑する俺。


「はあ、棺桶が擬人化するとこうなるのねえ。案外普通っしょ」

「もともと人間だっつーの!」


 普通、普通か。

 昔はそれを悪口のように思ったこともあったが、今はちょっと違う受け止め方も出来るかな。


「お疲れ。ありがとな」

「……っしょ。アンタもおめでと」


 手を差し出すと、マイアも差し出してきたが直前で手は止まり、顔を赤くして一瞬考えた後パチンと手のひらを叩いてそっぽを向いてしまった。

 素直じゃないヤツだ。


「おめでとうございます! フィンさま!」

「ありがとう!」


 こちらは実に素直なメルリーネ。


「ほんと色々助かったよ。ずっと抱えて運んでくれたりしてありがとう」

「これからはもうその必要はないんですね、寂しいです」


 といいつつも笑顔だ。

 手を差し出すとぐっと握ってきてくれる。思えば初めて会った時、握手しようとして出来ないんだった。

 ようやくそれが出来たな……とか思ってたら今度はハグをしてきた。


「うおっ!?」

「初めて会った時、こうしましたよね」


 覚えていてくれたか。そして俺も覚えている、この圧倒的ボリュームのあったかくやわらかい感触ををを

……無言でマイアとミリアムに足を蹴られた。



 ともあれ祝勝記念パーティは再び開始された。


 人間として俺が参加してのパーティだ。


 盤上遊戯を楽しんだり、プールで戯れたり。


 今度こそメルリーネの手作り料理を堪能。


 夜は寝落ちするまで今回の冒険の思い出を皆で語り合い……



 そして夜が明けた。

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