表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/54

第48話 棺桶、蘇る

「ふう、死ぬかと思ったぜ」


 むくりと体を起こし、まず一言。

 棺桶の体か発せられる、必殺のシュール系棺桶ジョーク。


 しかし、何も起こらなかった。滑ったか……


 次の瞬間、わっと抱き着いてくるメルリーネ、マイア。ドーナもすすすすとひっそり近づいてきた。


「フィンさま! ご無事で!!」

「し、心配はしてなかったからなこのやろー!」

「泣くほど。してたという」

「してないっしょー!」


 つくづく、シチュ的に人間の体ならなあと思わざるを得ないが、まあ柔らかかったり温かかったりな

 感覚はあるので、一応は良しとしよう……


 魔王を(封印と言う形ではあるが)討伐し、勇者の魂も取り戻した。

 ものすごい達成感と祝福を体全体で受け止めている気分だ。


「……ああ、やっぱり地上は良いな。太陽の光の元で生きるのが人間ってもんだよ」

「一番太陽が似合ってない物体のくせに……」

「でもフィンさまはそうでないとです」

「魔王には、棺桶らしく最後は地面の中で終わる、なんて啖呵を切ってしまっけどな!」

「ふふふ」

「あははは!」


 緊張感が完全に解け、和やかな雰囲気が流れる。

 思えば皆の、心からの笑顔は初めて見たのかもしれない。

 それだけでも値千金ってやつだ。


 あとは、世界女神樹に報告して、色々と取り計らってもらうのみ。


 ただ、結局討伐ではなく封印という形になってしまったので、やや説得が必要かもしれない。

 一万年という長期間であることでなんとか許してもらうしかないな……

 元の体に戻るためにも。


「ほんとドーナが脱出してないと分かった時は血の気が引いたっしょ」

「あ、ああ。なんせ俺の魂を地下から持ちだしてもらうためには、一緒に居る必要があったからな」


 ちょっと遠い目(無いけど)になってしまったところをマイアに蹴られて引き戻された。

 まあ、魔王城の広間ではだいぶ強引に事を進めたからな。


「今更言うのもなんだけど――」


 魔王を棺桶内に引き込む前に、人形化したドーナを棺桶内に確保。

 皆でミスリル化して地下深くに落ちたあと、ドーナに俺の魂を棺桶から引き出してもらう。

 そしてドーナは棺桶の穴から抜け出し、空を飛んで縦穴から脱出する。

 広間にある魔王のインテリアから勇者の魂も引き出して確保、メルリーネたちの元へ。


 ――という流れだったことを説明した。


「一言くらいあったって……まあそんな暇はなかったとは分かってるケド、もー」

「まあまあ……でも最後の最後で、おいしい役目をドーナさんに取られちゃったみたいでちょっと羨ましいです」

「……(ふんす)」


 ふくれるマイアとほんのちょっと面白くなさそうなメルリーネ。

 ドーナはいつもの無表情にややドヤ顔の雰囲気があるように感じた。


「一言といえば……地下の棺桶から脱出するときにドーナが、魔王に向かって『おまえはここでババアになっていけ』

 なんて決め台詞、言ってたぞ」

「何それ最高っしょ!!」

「言ってやった。すっきり。恨み少し晴れた」

「ドーナさんにはそれくらいの権利は大いにありますよね!」

「いまごろ魔王、話し相手が居なくなって一人泣いてるに違いないぜ。まあ涙は流れないけどな。ミスリルだから」


 勝利の美酒に酔いながらの会話は尽きようがなかったが、とりあえず魔王城を離れて

 再び馬車の旅に戻ることを提案。皆も了承し、旅支度を整え始める。


「……っとその前に。メルリーネ、ちょっと頼む」

「はい!」


 メルリーネに抱えてもらい、魔王城のほうを向く。

 仰角を適度にとり、棺桶の蓋を開いて……


「粉々になっちまえー!」


 爆裂火球魔法、連続発射。

 棺桶から次々と放たれる火球が放物線を描き、防御障壁を飛び越えて魔王城に着弾。

 どかんどかんと盛大に爆発がおこり、城が上の方からどんどん崩れていく。


 しばらくののち、クリスタルに囲まれた土地にはただの瓦礫の山があるのみとなった。

 動くものはない。鑑定したところ、生命反応もなし。


 城にまだ居たであろう魔王の側近やら親衛隊やらも、崩れる城に押しつぶされるか爆裂魔法で全滅したということだ。


「残った魔王軍も全滅させ、ついでに魔王の墓穴も瓦礫で埋める。あとくされなし!

 これにて任務、完了だ!!」

「やりましたね……!」

「やったっしょ!」

「(こくこく)」


 やはり物語の終盤は、巨大建造物が崩壊するってのが気持ちいいお約束ってやつ!

 さあ人間の世界へ、凱旋の旅へ!


 ちなみに魔王の三体数は、83・55・89だった!



 ■■■



(……外のガラガラうるさいの、収まったかな……)

(……)

(ちくしょ~!必ずまた舞い戻って人間世界を滅ぼしてやるからね棺桶ちゃん……!)

(でも、どうしよう)

(全く動けず魔法も使えず……思念波も魔界まで届くわけがない)

(う~ん)

(部下の救出に期待するしかない)

(きっと来てくれる)

(……)

(……)

(暇だな……)

(……)

(これが、一万年……)

(……退屈、退屈退屈退屈……!)

(棺桶ちゃん!絶対許さないからね……!!)

(もおおおおおお~!!)

お読みいただきありがとうございます!


「面白かった」「続きが気になる」「興味ある」と思ってくださった方、

下のほうにある☆☆☆☆☆で評価をお願いいたします。

☆一つからでも構いませんのでどうぞ採点してやってください。


ブックマークもいただけたなら更なる励みになります。


何卒よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ