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第46話 棺桶、墓穴を掘ってそこに入る

 意識を集中し、俺の体……棺桶の主導権を完全に自分のものとし、精霊のマイアを依り代の外に追い出す。


「ちょー!?」


 棺桶から吹っ飛ばされるように投げ出されるマイア。


「フィンさま!? 何をされるんです!? 依り代を失った精霊は消えてしまうんですよ!?」

「代わりの依り代なら、そこに落ちている」


 床に落ちている棺桶の蓋の破片を指さす……


 いや実際は指せないので、少しマイアたちはキョロキョロしたのち破片を発見した。

 ベロニカの蹴りを受けた時に破損したものだ。

 破片にとりあえず身を寄せるマイア。


「何よ! こんな板っきれに移らせてどうする気!?」

「まあ落ち着け。よっと」


 棺桶内部で軽く爆裂魔法を発動させ、蓋の一部にちょっとした穴をあけた。

 蓋を開けてもくもくとした煙を外に出す。


「フィンさま!?」

「? なにしてんの」


 魔王も怪訝そうに見てくる。


「ちょっとドーナ、中に入って人形になってくれ」

「? ……わかった」

「フィンさま、何を……」

「必要だからそうしてるんだ。その板っきれ、大事に持っておいてくれメルリーネ。――では、さらばだ」

「えっ? ……フィンさま、あなたまさk」


 マイア板を持ったメルリーネに鋼鉄化をかけた。


「あとはわかるな? 板っきれを頼むからな?」

「……!?!?!?……!!」


 巨大竜巻を発生させ、鉄リーネ(withマイア板)を巻き込み魔王城の壁に空いた穴から飛び出させた。

 余計な竜巻もいくつか放って、広間内を無駄に周回させ、魔王の視界を奪う。


 そして魔王に背を向けて蓋を開けたままばったりとうつぶせに倒れ、仕込みをし、風魔法の反動で立ち上がった。


「なになに? 仲間を安全なとこに脱出させたってコトは、本気の本気が見られちゃったりするぅ?」


 手の振りで周回している竜巻を薙ぎ払い、だったら燃えるわ~と言った感じで歩み寄ってくる魔王。


「ああ、本気の本気だ。――最後の勝負だ、魔王さんよ」


 棺桶の蓋を「オラ来いよ」って感じでばったんばったん開閉する。

 このジェスチャーが通じたかどうかは分からないが、魔王は間合いを詰めてきた。


「あたしももう一応は『残機ゼロ』だしねえ~。じゃあ、ファイナルなラストバトル、いってみよっか」

「おう、来い来い」

「……その前にその穴、治さないの? みっともない」

「かまわない、どうせすぐ終わる」

「へえ? ……!?」


 直後、魔王の右足が凍結した。こちらの氷魔法によるものだ。

 足元から徐々に凍らされていく魔王。しかし、


「氷の中に封じでもするつもり~? こんなもの……!」


 膝まで凍ったところで進行が止まり、急速に解凍され元に戻っていく。

 しかし、こちらとしては一瞬魔王の動きが止まればよかったのだ……


「……きゃ!?」


 竜巻を発生させ、魔王を巻き込む。竜巻の進路は――


 自分の、中!


 竜巻ごと棺桶内部に魔王を吸い込んだ形となった。

 ばたんと蓋を閉じる。竜巻は消し、全身をミスリルと化す。


「なんじゃこんなところに閉じ込めて! ……まさか! ……ん、ん!! ……」


 魔王が急に押し黙る。魔王にもミスリル化をかけたのだ。

 棺桶内部は魔法の効きが良い。魔王といえど一瞬でミスリル像と化した。


 遠距離から魔王をミスリル像に出来ればそれにこしたことはなかったのだが、身体強化系は自分から距離が離れるほど効き方が弱まる。

 高速で動き回る魔王相手にそれは無理な相談だった。


 そのため、魔王を自身内部に閉じ込める必要があった……!


「お前は倒してもいずれ魔界で復活する。なら永遠にこの中で封印されてもらう」

「……!! ……!!」

「はてな……? 何を言ってるのかわからないな、魔王」


 再び竜巻を発生させて、今度は自分を巻き込む。

 運ばれていく進路は――広間の床に開いた大穴。


 床に倒れた時に棺桶ビームを放ち、深い穴を作っておいたのだ。

 魔王城の各フロアを貫通し、さらに地中深く穿たれた穴の深度は――5000メートルほど……!


 竜巻に巻き込まれた棺桶は無駄にローリングしながら、その穴に飛び込む。


「棺桶は棺桶らしく、最後は地面の中というわけだ!」

「……!!」


 ――深い縦穴を回転しながら落ちていく。

 永遠に続くかと思われた落下も、やがてすさまじい衝撃と音と共に終わり……


「……地中5000メートルに到達。ここがお前の墓場になる」

(暗いし狭いし、永遠に棺桶の中とかやだー!)


 おっ、一切喋れないかと思ったが思念波みたいなのを飛ばせたりするのか。さすが魔王。


「正確には永遠ではないかな。アイテムボックス中の貯蔵魔力でおまえと自分のミスリル化を

 維持できる期間は……1万年ほどだ」

(いちまんねん! しわしわになっちゃう!)


 不老不死とはいかなかったか。

 ピンク髪の婆さん魔王とか見た目のインパクトはあるかもな、かっこ笑い。


「となると、寿命は人間の100倍程度と思って差し支えないのかな?

 ミスリル化してるからしわしわにはならないだろうし、地面の中は汚いから嫌という問題も

 解決してるようなものだろう、安心せよ」

(ちくしょー! 出せー! ……ここから出してえ~!)


 だんだん抗議の声も弱くなってくる魔王。


「地下5000メートルともなれば、めっちゃ圧力と温度が上がってるはず。

 ミスリルの体でなければ命の危険があるんだぜ」


(うぐぐ……

 一万年もあんたと暇つぶしの会話しかできなくなるなんて。一生の不覚なのだわ……)

「さあて、それはどうかな?」

(……?)

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