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第41話 棺桶、最後の戦いを開始する

「?……??は?何を言ってるのかわからんっしょ」


 マイアもこんらんしている。


「人間世界に侵攻してるのは魔王だろう。平和な世界、ってもしかして言葉の意味がなんか違ってるのか?」

「ああ、ややこしかった~? あたしが言う『人間』はあたしが作った人間ということ。

 今滅ぼそうとしてるやつらは『人間』じゃなく、まあ家畜でも虫でも好きな単語をあてはめて考えて」


 自分が作った人間だけが『真の人間』と言ってるのか……?今、地上にいる人間たちは、動物か虫程度にしか考えてないって言う……?


「あたしは人間がすき。人間が一番この世で美しい。あたしも自分で自分を今の姿に作り替えた。

 でも今地上に蔓延ってるやつらは美しくない。見た目だけそれっぽい形してるけど、ひ弱で病弱、不完全。

 だから滅ぼして、あたしが一から人間を作るの。そしてほんとの人間だけで平和な世界を作るの」

「うっへそういうやつ……」


 なかなか歪んでるな……!

 自分自身まで改造してるだと?こいつが憧れた『人間』って誰なんだ。

 この世の人間でないのなら、神にでも出会ったか。

 そういや、こいつの髪の色。どっかで。


「人間も人形と遊ぶでしょう? でもその人形がほんとの人間だったらもっと良いでしょう?

 だから、作るの。人間を」


 ドーナが人形の時に奪い去ったのはこいつだったな。

 根本的になにか勘違いしてる感。


「あたしも色々苦労してるのよ? 魂から作り出さなきゃならないから。体の形はどうとでもなるけど」


 人形のドーナに人間としての体を与えたりしたのは、人間を作る実験の一環だったのか。

 魔王はここでゴーレムの残骸にちらと目をやった。


「さっきの子は多少自力で考えたり出来るくらいのものだったけど、ほんとまだまだなんだから~」

「……お前の『理想の世界』完成も当分先ってことか、それは助かるなあ?」

「そうよ~。人間世界もあたしが直接出向けば一瞬で終わるんだけど、部下に任せてるから

 侵攻、ゆっくり目で助かってるでしょ? もしかして戦力は拮抗してるとか思っちゃってない?くふふ」


 こいつ……

 その時ちょっとした疑問が生じた。今ならなにげに答えてくれそうなノリなので聞いてみよう。


「じゃあ本当の『人間』が完成したら……? 魔王軍のやつらも……?」

「うん。用済み。あたしと、あたしが作った人間以外は『いらない』」


 予想通りの返答だった。人間も魔物も平等に滅ぼしつくすか。


「今の会話、城中に聞こえるようにしてたら反乱が起きてるなあ……」

「全然へーきだけどね~」

「だろうなあ、つっても音声拡張魔法とか勇者は持ってないけどな」


 ちょっとした軽口を交換したのち、


「ということで、そろそろやろうか」


 魔王がいよいよ戦闘モードに切り替わった。


「棺桶に封じられた魂が棺桶を動かしてるってのは、今後の『人間』を作るうえで

 良いサンプルになるかも?今は一から魂、一から肉体を作る研究中だけど。

 とりあえずドーナから能力を回収したら、棺桶ちゃんの魂、あたしのものになって……ちょうだいっと!」


 魔王が両手の人差し指を腰だめに構え、黒い閃光を放ってきた。


 あわててミスリル化で防ぐ。

 結構な衝撃が来て、再び壁に押し込まれた。

 本気の黒ビームは鉄では防御できない気がしたのでミスリル棺桶になったが、正解だったようだ。


 最後の戦いが、開始された……!


 魔王は両手指からの黒ビームが主力で、時々普通の火炎系や雷撃系を放つ魔法主体の戦法だ。


 対する俺は広間の床に氷魔法で薄い氷を張ってスケートリンクを作り、その上を滑って移動しつつこちらも魔法主体の攻撃を仕掛ける。


 移動方法は棺桶の蓋を開きっぱなしにして、風魔法を噴射。その微妙な調整で曲がったり回転したり。

 基本的にバックしか出来ないのでなかなか大変だ。

 正面以外の足元にも氷の塊で支えを作って、ぶっ倒れたりしないようにしている。


「柱! 左に避けるっしょ!」

「ようそろ!」


 後方確認はマイアの担当だ。

 基本的に射角の取れない真上や後ろを取られないように立ち回る。

 魔王は一度氷の床で盛大にすっころんでエッチな下着を全開で晒してからは、少し空中に浮かんで戦うようになった。黒。


「しかしお互い、並の攻撃魔法は通らんな……」


 こちらの魔法はだいたい避けられるか、魔王の魔法で相殺される。

 魔王の魔法もだいたい避けるし、当たってもミスリル体には効果がほぼなかった。

 ちなみに鉄像と化したメルリーネたちも、近くを滑りかかった時に流れ弾対策としてミスリル像に変えておいた。


「しかし弱体化してこれかよ。魔将三傑に能力を分け与えてる状況だってのに」

「……今やるしかないっしょ、早く棺桶ビーム、いつやんのよ、右旋回!」

「ようそろ! いま、タイミング、図ってる!」


 氷上を滑りながら(しかもバックで)、自分の正面に射線を通すのは結構な難易度なのだ。

 魔王も、常にぐるぐる動きっぱなしのこちらの挙動にいらついて


「動くなこら~!! 動くな! つったろーが~!」


 とか言ってる有様である。


「……よし、この後すぐ!」


 ようやくタイミングが掴めた。

 狙っていたのは、メルリーネたちの像を巻き込まずに魔王のみを『面』で攻撃できる位置!


「今!」


 瞬間、ずらあっとドッペルゲンガーによる棺桶の群れが出現する。


「!? 何これぇ~!?」


 魔王が素っ頓狂な声を上げた。

 床いっぱいに並び、さらには天井までの空間をも埋め尽くす、まさに棺桶の壁。

 それらが一斉に蓋を開き、すべての棺桶内部に光があふれ――


「棺桶ビーム、フルバースト!!」


 とてつもない光の奔流が魔王を巻き込み……大爆発!

 重なったビームは広間の壁の片側全面をも跡形もなく吹っ飛ばした。

 もうもうと煙が上がる。


「……やったっしょ!?」

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