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第38話 棺桶、魔王に謁見する

 ズガッシャーン!!!


 盛大に音を立てて城の天井のガラス部分を割りつつ、大広間らしき空間に落下する俺たち(鉄)。

 石の床をかなりへこませたが下の階に突き抜けることはなかった。


 落下の衝撃でメルリーネとドーナの鉄像ががらんごろんと棺桶内部でひとしきり暴れ、静かになる。


「……もういいかな?」


 全員の鉄化を解除。


 城の、斜めになってる屋根に落ちてそのまま滑って地面まで、なんてことにならずいきなり内部に侵入できたのはかなり上出来なんじゃないだろうか。竜巻侵入作戦、成功だ。


「皆、大丈夫か?」

「な、なんとか……大丈夫、です」

「こわ。かった」

「……無無無……無無無……」


 一行の無事を確かめ、メルリーネに床に立たせてもらって周囲を見回してみる。


 メルリーネはマイアを揺さぶって我に返す作業中。


 見たところ、大広間は天井もかなり高い。

 左右の壁と天井にはステンドグラスが嵌まっている。天井のは完全に破損してるが。


 装飾を凝らした円柱とかがり火が一定間隔で立ち並び、広間の中心には両端が金糸で装飾された赤い絨毯が長く敷かれて……


「……まるで、王の謁見の間みたいだなあ」


 赤い絨毯の先は一段床が高くなっており……

 豪華絢爛かつ禍々しく装飾された巨大な玉座。そこに頬杖をついて座る人影。傍に控え立つ人影。


 あれっ? ……まさか。


「――控えよ。偉大なる魔王デルシア様の御前であるぞ」


 冷たい声が響いた。

 声の主は玉座の傍に立つ人影だった。


「え……という事は……!!」

「ひぅ!?」


 我に返った直後に驚愕に目を見開くマイアと、恐怖に固まるメルリーネ。


「魔王。……デルシア様」


 ドーナがやや震える声で、その正体を告げた……!


 マジか。マジなのか。

 髪の色が一風変わった人間にしか見えんのだが!?


「はいはい。魔王、それはわたしです」


 椅子に座っている少女が無邪気な様子で手を挙げ自己紹介した。


 腰まで伸びたピンク髪。頭のてっぺんに黒っぽい小さな帽子だか王冠だかを乗せ、暗灰色のミニドレスに深紅のマントで身を包んでいる。組んだ足には黒いサイハイソックス、黒いブーツ。


 真紅の瞳に笑みを浮かべこちらを見据えている、見た目14歳ほどの少女が、……魔王、なのか。


「『鑑定』……! 名前:デルシア・カーシュ。職業:魔王。確かに魔王だ……。

 レベル100、女神樹と同じ……破格だな。魔法は色々と使えるようだが……『記憶操作』以外は

 変わり種の魔法はなさそうだ」


 魔将三傑に能力を分けている今が倒すには絶好の機会のはずだが……


「あれっ、今の勇者スキル? てか誰が喋ったのかな?男の声だったような……

 わたしのプライバシー侵害してる無礼者はどこ~?」

「それには同意するっしょ……」


 マイアがぼそりとつぶやく。


 さすがに今回はスリーサイズ暴露はやめておいた。後ほど報告する。

 あと魔王でも、棺桶はただの棺桶にしか見えてないみたいだな。

 しかし突然棺桶が天井ぶち破って侵入してきたのに、なかなかの落ち着きぶりだ。


「それにしてもいきなり、ま、魔王と対面することになるなんて……」


 固まったメルリーネも、ようやく解凍されて喋れるようになったようだ。


「魔王城を一階から攻略することなく、いきなりラスボスとご対面とか……心の準備が間に合わなくても仕方ない」 

「ん~なんか棺桶が喋ってない? 誰か中に居るの? 何かの芸?」


 俺を見た者すべてが当然抱くであろう疑問を口にする魔王。


「中の人など?」


 扉を開いてみせる。


「初めまして魔王。棺桶のフィンというものだ」

「は? そんな生き物いたっけ? 棺桶って人間の死体入れじゃないの?」


 しかし案外魔王にはこちらの情報届いてないみたいだな。


「まあ、色々あって……棺桶をやることになって」


 などと魔王と対峙してるわりには案外のんきな会話を交わしていると、どかどかと謁見の間に入ってくる連中がいた。


「何事ですか、デルシア様?」

「また妙な竜巻が発生して、今度はこちらに向かってきたようですが」

「……む、何者ですかこやつらは」


 どうやら魔王親衛隊のお出ましのようであった。

 こいつらも一見人間のようだが、魔王と違って頭から黒い角が高々と生えており目も全てが漆黒だ。

 『鑑定』によれば種族名はアークデーモン、最上級の魔族のようでレベルは70ほど。


「面倒だな」


 いきなり棺桶ビームをぶっ放し、親衛隊を壊滅させる。

 そのあとは王の間に通じる扉という扉を風魔法で閉じたのち、ガッツリ氷結させて封印してやった。


「これで魔王城のほかの戦力をいったんは遮断できたかな?」

「……しかしずいぶんのんびりした親衛隊っしょ」

「わたしに万一の事って無いからね~。危機感なくなってだいぶ経つんだな~」


 気楽に言い放つ魔王、デルシア。

 つまりそれだけ自信があるし、実際強者ってことでもある……

 親衛隊を瞬殺されても意に介した様子もなく、攻撃を仕掛けてこようともしないのも余裕をうかがわせた。


「今更だけど、ようこそあたしの城へ。

 天井ぶち破ってまでのご来訪とは、いったいどんな要件なのかな~?棺桶ちゃん」

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