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第29話 棺桶、マイアとひとつになる

「第二回、世界女神樹に不法接続して情報を引き出すぞ大会~」


 俺は高らかに宣言したが、誰も拍手もしないし合いの手も入れてくれず。


 マイアは眉をしかめた明らかに嫌そうな顔。

 メルリーネはあいまいな笑いを顔に張り付けたまま汗を飛ばしている。

 ドーナは何のことか分らず無表情ではあるが、きょとんとしているのは分かった。


 ――雪原地帯を抜け、魔王城への道のりにある深い森の中。

 日も暮れてキャンプ地とした場所で、焚火を囲んでの食事を取った直後というタイミングだ。


「それってまたアタシにまた強制レベルアップ魔法かけるってコト……?」

「マイアはかしこいな」


 マイアのしかめっ面が、苦虫を100匹ほど嚙み潰したような表情にレベルアップした。


「なんか腹立つ……イヤよもう。女神樹にバレたらと思うとこわいし」

「別に副作用あったわけじゃないじゃん、お前も気持ちよくなってたじゃん」

「いかがわしい言い方するなっしょ……!」


 しかし、これはマイアにしか出来ないことなので、なんとか説得しなければ。


「まあそれは冗談として。思い出せマイア――レベルアップした時のあの万能感と高揚感……」

「……む……」


 反応あり。


「自分には何でもできる気がしたよな? わかるぞ、俺も勇者パワーに目覚めたときはそうなったものだ」

「むむー」

「自分の伸びしろが実感できただろう? お前はもっとやれる、もっと出来る!」

「うむむー!」

「もう少し頑張ってみろよ! もっと熱くなれよ!」


 だんだん説得の言葉が熱血じみてきたが、マイアはだいぶやる気になってきたようだ。


「……じゃあ、まあ、ちょっとだけなら……」


 落ちた。

 ここは悪い笑みを浮かべるところだがあいにく棺桶の身なのでできません。


「よしよし。こないだは倍のレベル32にしたけど今回は50くらいいっとくか」

「飛ばすなオイ!? ……まあ良し、おら来いっしょー!」

「……しかし、マイアに女神樹に接続してもらって情報を閲覧後、改めて話を聞くってちょっとまだるっこしいな。

 マイアの視点と同調できないものか……」


「……できる。かも」


 なんとドーナが話に入ってきた。なんですと!?


 ――ドーナの話をまとめるとこうだった。

 精霊が女神樹ネットに接続するとき、精霊は魂を女神樹のもとに飛ばしている。

 その魂にほかの魂を『同調』させれば、同じものを見て同じものを聞くことが出来る。


「そして。わたしはネクロマンサー。魂のプロ」


 ネクロマンサーって死者を操るものと思っていたが、この子に関しては魂を自由自在にできるものらしい。

 そういやホワイトワーグ(骨)の目を借りて俺らを見てた、なんてことも言ってたっけ。

 その能力を貸してくれるってことか。


「するとフィンさんとマイアさんが魂同志で結びつくというわけですか」

「なななんか結婚するみたいな言い方するなっしょ!?」


 そんな発想になるんかい。つか結婚の概念が精霊にもあるのか……


「でも、いいなあ皆さん特殊な能力があって。それを生かせて。

 私もフィンさまのお役に立ちたいです……」


 ややいじけてるメルリーネ。

 いやいやこのパーティの食糧事情を一任されてるじゃないの。

 もしかしたら馬車を使うようになって、運び役を休止してるのが原因かもしれない。


「まあまあ、いずれ魔王の城についたら思う存分運んでもらうさ」

「……! じゃ、じゃあその時のために、鍛えておきますね!」


 けっこうあっさり元気を取り戻してくれた。


 ――でも鍛えるって、人を余裕でつぶせそうな大岩をダンベル的に使って鍛錬しはじめるエルフ、って絵面は

 どうにも違和感しかないが、まあ本人が楽しそうならいいか……


「じゃ、とりあえずマイアのレベルアップを、と」


 魔法をかけ、マイアを一時的にレベル50にした。


 ――ちなみに一時的というのはだいたい5分ほどである。

 マイアの体の輝きが増し、レベルアップしたことが明確になる。

 レベル数を上げた分、以前より圧も増した感があるな。


「はああああああ……!」

「それはもういい。魔力の引き出し、じゃんじゃんやってくれ」

「アンタ魔力はもう満タンなのでは? 意味、あんの?」


 怪訝そうなマイア。


「まあまあ、ちょっと先のことを考えてのことなんだ。頼む」

「はあ。まあやっておくケド」


 よしよし。さて次だ、


「ドーナ、魂の同調を頼む」

「頼まれた。ん」


 ドーナが魔法を発動させる。案外簡単な魔法なのか、詠唱なしだった。


 すると、俺の意識のようなものが棺桶から離れていく感覚があった。

 そして俺の視点は空を飛ぶように、ふわふわとマイアに向かって飛んでいく。

 次の瞬間、視点が切り替わり……


 なるほど。俺の本体、棺桶が地面に立っているのが正面に見える。

 マイアの視点になったようだ。


「完了。うまくいった。はず。どう?」

「うん、問題なさそう。じゃあマイア、女神樹への接続を頼む」

「ちょっと!人の口を使って勝手に喋るなっしょ!」


 魂が同調したらこうなるらしい。

 はたから見れば、マイアがまたおかしな挙動をしてるように見えるんだろうな。


「うー。こんな事になるなら止めときゃ良かったっしょ……女神樹ネットへ、アクセス……」


 女神樹への不正接続、開始……!

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