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第24話 棺桶、ゴスロリ幼女とバトる

 ちらほらと雪が降り始めていた。


 白一色の世界の中――魔将三傑の1人、黒ゴスのネクロマンサーと対峙するは赤エルフに抱えられた棺桶の俺。

 奇妙な組み合わせの戦いは、膠着状態にあった。



 ■■■



 戦闘の口火を切ったのはネクロマンサーだった。


 ドーナが俺を指さす。

 瞬間、指先から黒いもやもやした塊が目にも止まらぬ速度で飛び出した。


「うぐっ!?」


 よける間もなく命中。

 黒もにゃを食らった部分にこぶし大の大きさの穴が開き、じわじわと侵食するように広がっていた。


「うわっなんだこれ!? あたたた! 痛みが広がる!」

「腐敗と死をもたらす魔弾です!」


 あわててメルリーネが回復魔法をかけてくれた。しかし、


「回復……しねえ! なんでだ!?」

「呪いがかかってるっしょ、解呪しないと回復意味ない!」


 解呪魔法!? あったっけそんなの……あ、光魔法にあるっぽい。

 さっそくかけてみると、傷穴から黒い霧が空へ上るように消えた。

 その後はメルリーネの回復魔法で穴はふさがり、痛みも消える。助かった。


「……いきなり殺しにかかってきたな! 無力化発言はどこいった!」

「うーん。これ以外。攻撃魔法ない。どうしよう」


 おいおい。


 しかしなるほど、魔弾で相手を腐敗させ骨にした後、誰ぞから奪った魂を入れるなりして操るってわけか。

 ネクロマンサーらしい特化した魔法スキルだが、確かにこれだとこちらを無力化はできないな。


 そういや魂を奪って無力化ということもしてこない。

 なんか喋るインテリアにしたいらしいし、魂奪ったらただの棺桶が残るだけだからなあ。

 その点安心……なのか?


「仕方ない。これしかない」

「ひえっ」


 ドーナは両手を開いて魔弾を各指からばかすか飛ばしてきた。棺桶内部に引っ込むマイア。

 何発か食らったが即解呪・回復で修復したのち、


「メルリーネ耐えてくれ! 無理なら手を放せ!」


 メルリーネに警告したのち鋼鉄化を自身にかける。


「っんん!! ……大丈夫!!」


 メルリーネのスキルでもこの鉄と化した棺桶の重量、さすがに重いと感じられるくらいになったようだが、なんとか踏ん張って耐えてくれた。


 魔弾はさすがに鉄を侵食する威力はないらしく、当たってもすぐ飛び散って消える。


「鉄にもなれるんだ。でもそっちのほうが好都合ね。そのままよろしく」


 ドーナはお構いなしに魔弾連射攻撃を続ける。


(そのまま? どういうことだ?)


 このままではこちらも攻撃できないが、一切ドーナの攻撃は通らない。

 ドーナの魔力もいずれ尽きるはずだ。



 ■■■



「……膠着状態っしょ」


 どかどか降ってくる魔弾の雨の中、しばらく動きがないのでマイアが多少緊張感を解いて棺桶の中で話しかけてきた。


「メルも大丈夫?」

「だいじょぶですぅ」


 棺桶はいい具合に魔弾の雨から身を守る盾になっている。

 ドーナに回り込んでメルリーネに攻撃を当てようとする動きもない。

 まあ、そういうことされたらメルリーネにも鋼鉄化をかけるだけだが。


「なんか緊張感の糸が切れた感じっしょ」

「相手は何を考えてるんでしょうか、魔力無限なんでしょうか」

「そんなはずは……しかしいつまでもこの攻撃を続けられるわけも――ん?」


 いつからそうしていたのか。

 ふと気づくとドーナは魔法を放つのを両手ではなく片手だけに変えていた。


 黒もにゃの雨は視界を覆うためだったのか!?

 もう片方の手は……?


「何か別の魔法を使うつもりっしょ!」


 魔弾を放っている手はこちらに向けたまま、もう片方は天を指し何か魔力を集中させているように見える。


「同時に二つの魔法を……! そんなことができるのか……!?」


 今までそんなこと出来るやつは勇者パーティにもいなかったし、自分も試したことはなかった。


 しかし攻撃魔法は魔弾しかないと言っていたぞ?

 嘘だったのか、それとも今度こそ魂を奪うような魔法か……?

お読みいただきありがとうございます!


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