第23話 棺桶、ゴスロリ幼女と出会う
「えっ……全く気付かなかったっしょ……」
マイアの声が震えている。
突然の出現もあったが、話の流れから言えば……この幼女が魔王軍、東部方面軍司令。ドーナなのだ。
メルリーネもそれを理解し固まっている。
ゴスロリドレスに大きな赤いリボンのついたドレスハットをかぶり、フリルのついた日傘をさしている。
リボン以外は黒で統一。銀髪の姫カット、透き通るような白い肌。見た目は10歳ほどだろうか。
こんな幼女が、本当に魔将三傑の1角、東部方面軍を束ねる司令……!?
しかしその異様に赤く光る眼に射すくめられると、納得がいく。
巨大な威圧感。畏怖。戦慄。
目に見えるようなオーラなんてものがなくても、そういうものがビリビリと感じられた。
「ホワイトワーグの目を通して見てたけど。棺桶が魔法を発射したように思うのは。気のせい?」
(目を通して……あれは斥候とか調査部隊とかだったか)
あれを見られてたのかと警戒を高める俺。
回避しようと思っていたドーナ軍ではなくその指揮官ご本人が来てしまうとは……!
しかし人間にしか見えないじゃないか。人間が魔王軍に?
「固まってないで。なにか喋ったら。どう?」
地上数メートルをふわふわ浮きながらドーナが不満げにつぶやく。
「お……おう。初めまして。棺桶のフィンだ」
油断なく構えながら挨拶をする……
そういえばコイツは、もしかしたら俺の魂を棺桶に封じた本人かもしれないんだった。
初めまして、にどう出る?
「? え……棺桶に自我。あるの? 喋るの? 初めて。見た」
嘘はついてないように思える……本当に初めましてなのか。
とりあえず、中の人などいない事を証明するために棺桶の蓋を開く。
「しかし棺桶はからっぽだった。おどろき。本当に。棺桶が喋ってる」
紅眼がやや見開かれる。
本気で驚いてるようだ。コイツが犯人じゃなかったら一体……
ともかく、本人確認をしてみるか。
「勇者の魂を奪ったという、ネクロマンサーのドーナ……でいいのかな?」
「いい。……あなたの魂も。棺桶の中にあるみたい。全体に宿ってる。
勇者の魂と似た輝き。これも魔王様に献上したら。喜ばれるかな」
これは良くない流れ……
バトル不可避かもしれんけど、話せるうちにいろいろ情報を引き出しておきたい。
「その勇者の魂だが。献上、って魔王は魂を一体何に使うんだ? 握りつぶしたりして殺すのか?」
「殺したら勇者。また復活する。ばか? 勇者の魂。珍しい輝き。インテリアに使ってる」
なんかランプにでもしたような感じだな。少なくとも無下には扱ってないようでやや安心か。
「今度はこっちが聞く。スケルトンの混合軍。消したのは。あなた?」
しまったターンが入れ替わった、まだまだ聞きたいことはあったが。
しかし素直に答えるのもヤバそうな質問だが……
「そんなことが出来るように見えるか?」
質問に質問を返したらキレるようなタイプでないことを祈って。
「見えない。でもさっきの会話。そういう内容だった」
そんなところから聞かれてたのか。そしてタイミングを見計らって話しかけてきたと。
会話に加わりたくて上空をうろうろしてたゴスロリ少女、なんて解釈するとかわいい感じなんだが……
「否定しないね。じゃああんたたち敵。魔王軍の敵。倒さなきゃ」
うーん、話はここまでか。
「黒エルフはスケルトンにする。精霊もスケルトン。みーんなスケルトン。精霊がなった例はないけど。実験実験」
「ひぅ!」
「実験台とか一番嫌っしょ!」
固まってた2人がようやく会話に加わってきた。加わりたい内容ではないだろうけど。
「棺桶は……どうやればいいかわからないけど。無力化しよう。そしてうちの砦の喋るインテリア。
よく見れば可愛いかも。棺桶」
ドーナがゆらりと動き、彼女の魔力がぐっと高まったのを感じる。
ゴスロリ少女に棺桶はある意味似合うのかもしれんが!
そんな置物人生、送ってたまるか――!
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