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第22話 棺桶、骨を焼き払う

 ――数日前、さきほどのワーグ部隊とは規模が段違いのスケルトンの軍勢に遭遇したことがある。

 ワーグ部隊が30体くらいの小隊なら、スケルトン軍勢は10000体を超える師団ってところだ。


 この規模の軍勢を目にしたときはさすがに「うおっ」とか声が出た。


 ゴブリン、コボルド、オーク、トロル、オーガ、ミノタウロス……

 さまざまな亜人系モンスターどもが骨となって動き、軍を形成している。


「あ……あれが話に聞く……」

「魔王軍の主力となる魔将三傑の1角、ネクロマンサーのドーナの直轄部隊、っしょ」


 メルリーネは体の震えが止まらず、強気を装うマイアの声も少し弱弱しそうだ。

 妹の魂を奪ったとかいうネクロマンサーの、直轄部隊か……


 この規模だと、この大陸に居る冒険者パーティ総出でも無理なレベル。勇者パーティだって、妹がキチンと戦える勇者であったとしても五分の一を倒すのがせいぜいだろう。

 国軍で対抗するなら半数を出す必要がありそうだ。


「ドーナってのは姿かたちは人間の幼女にしか見えんらしいっしょ」

「つっても魔王軍だろ。モンスターじゃないのか」

「そこまでは女神樹ネットにも」


 人間の魂を奪って別のものに移し替え、意のままに操る能力があるというネクロマンサー。

 それであれだけの軍勢を統括しているのか、能力が大規模すぎる。


「奪った魂はモンスターの骨に移し替えているわけか……」


 亜人系のモンスターのみなのは、元が人間だからその方が馴染みやすいのかな……

 人間と全く違う形のものに移し替えても、うまく体を動かせないのかもしれない。


 ましてや棺桶など。手足すらねえ。


「しかし、ちょうど小高い丘に登ったところで発見できたのは僥倖だったな……」


 見渡す限りの骨骨骨。

 それらがうじゃうじゃ動いてるさまはなかなかに気色悪い。


 マイアの遠目能力と自身で作ったモンスター辞典を生かしてもらって、上記の種族が判明したところだ。


「どどどどどどうしましょう? さすがにあの数は危険では? 見つかってないうちに逃げます?」

「たぶん斥候みたいなのにもう見つかってそうな気もするし、こっちの進路上の真正面から来てるし」


 思い切ってやっちゃいますか。


「駆け出しの冒険者が鋼の剣を奮発して買うかのように!」


 マイアの長々とした突っ込み。


「さすがにこの数で近距離に寄られたらアウトだ。遠距離の先制攻撃で片付けよう」

「なるほど棺桶ビームですね!」

「それはちょっと燃費悪い感あるのでまた別の手で」

「何するっしょ?」


 俺ら棺桶一行は丘から下って平地に位置どる。


「ちょっとメルリーネ、頼む」

「はい?」


 俺を立った状態から少しだけ後ろ向きに倒れる感じで支えてもらう。

 棺桶本体をやや斜めに、仰角を取る形だ。


 そして。


「ドッペルゲンガー!」


 初めて使う、特殊魔法。自身の分身を作り出す効果があるが――


「うっわ!?」


 マイアが驚愕(引き気味)の声を上げた。


 ドッペルゲンガーで増やした俺の、棺桶の数。実に百体!!

 やや斜めにかしいだ棺桶が、百体も横並びに列をなしている。


 それらがいっせいに蓋を開き――


「炸裂火球魔法!!フルバースト!!」


 すべての棺桶から、炸裂火球魔法が連続して放たれた!


 大量の燃える火球が弧を描いてスケルトン軍勢の上空に飛んでいき、一斉に弾ける。

 無数の細かい火球が軍勢の頭から降り注ぎ、そのすべてを焼き尽くした。


「……スケルトン、全滅したっしょ」

「あ、あれだけの数を……!相変わらずフィンさまの魔法の使い方には驚かされます」


 マジかという口調でマイアが報告し、メルリーネが驚愕と讃嘆のつぶやき。


 スケルトン達も多分何が起こったかわからないうちに消滅しただろう。

 

「魔力残量、問題なし」


 分身の棺桶をすべて消しつつ、満足気につぶやく俺。

 この方式なら軍勢相手でもどうにでもなることが実証された。

 火球魔法でこれなら、棺桶ビームだとさらなる威力が期待できるだろう。


 しかし、その場合はとんでもない魔力消費になるというか、即魔力切れになりそうだ。

 もう少し魔力消費が減ったり回復量・速度が上がったりしないものか……



 ■■■



「――というアレだったか」


 回想おわり。


「アレで東部方面軍が一部壊滅っていうね」

「そろそろ魔王軍もこちらの存在を認識しだすかな?」

「あんだけ派手に立ち回ればそうもなるっしょ」


 目立ちたくて目立ったわけではないが、隠れてやり過ごしてもやつらが進軍すれば国レベルで被害が出るし。

 帰る場所がなくなってしまうのもやはり困る。


 まあだからといって魔王軍を片っ端からつぶしていくわけにはいかないけど。


 一番の目的は妹の魂を救うことだ。

 その最短距離を、行くだけだ。


「この近く……といっても馬車で1週間程度の距離だったか? 東部方面軍司令ドーナの砦があるんだろ。

 砦からスケルトン軍全滅の調査部隊でも派遣されてきたりすると面倒くさい。

 早いところこの雪原を抜けよう」


 ホワイトワーグ(骨)とのひと戦闘を終え、女神樹ネットの情報について話し込んでいたため足が止まっていた。

 馬車に戻り、出発しようとしたとき――


「私の話……してた?」


 後ろから声がした。

 振り返ると、白い雪雲を背景に、黒いゴスロリドレスに身を包んだ幼女が浮かんでいた。

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