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第20話 棺桶、マイアを落ち込ませる

「あはははは! 続きがめっちゃおもろいっしょ!」


 マイアが笑いながらステータスの続きを読んでいた。


「0点ばっか! 力も素早さも器用さも!」

「そりゃ棺桶だからなあ……」


 スリーサイズ暴露のお返しとばかりに笑い転げるマイア。

 メルリーネも笑っちゃ駄目ですよとは言ってるものの、どうフォローしたものか困惑してる様子。


 しかしこう、自分の能力を明確にしたものを誰かに見られるというのは、むずむずするものがあるな。

 確かにこれはプライバシー侵害スキルかもしれん。


 そういやスキルと言えば『生還』。死んでも生きられるやつ。

 これ、自分には適用されんよなあ……ボロボロの棺桶を首都教会に持っていったところで大神官も儀式をしてくれるとは思えない。そうなると自分は死んだら終わりか。厳しいな。


「体力と魔力、知力はいくらかの数値があるけど。……移動力、0笑」


 しかしマイアは笑いすぎである。


「……その0点の棺桶に宿ってるのは、どこの精霊なんだ、もっとレベルの高い精霊なら

 高級家具とかに宿ったりしてるんじゃないのか? 上級精霊ってのが居るんだろ?」


 笑うマイアにやり返してみる。しかし、ちょっとした軽口のつもりだったが、


「うるさいわね……どうせアタシは低級精霊ですよ……」


 地面に手と膝をついて落ち込み始めた。ありゃ、地雷だったか。


「中級以上の精霊、お姉さま方はもっと良いアイテムに宿って日の当たる場所で人間の手助けをしてるワケ……

 中級以上ならもっと女神樹からの支援を受けれるし、アンタの魔力回復量ももっと大きくなるんですけどね……

 悪かったわね魔力回復量・小で……」


 うーむ、レベルの低いのを気にしていたのか。


「ま、まあまあ棺桶だって立派に人間の役に立つものですから」


 メルリーネがフォローするが、


「それでもなるべくならお世話になりたくない系っしょー。低級な精霊はそゆのに回されがちなワケー。

 どうせアタシはその程度の雑魚精霊ですようだ」


 拗ねてしまった。


 どうも精霊にもレベルによる格付けがあり、格の高低で宿るアイテムが決まるっぽい。

 そして好き嫌いがあり、あまり宿りたいとは思えないものを低レベルな精霊に回しがちと。

 精霊界もいろいろあるんだな……ここは慰めておこう。


「アイテムに貴賤はないと思うぞ、どんなものでも人間に必要とされてるもんだ。差別いくない。

 それに仲間の精霊だって、マイアと同じようなレベルのがたくさんいるんだろ? そいつらも雑魚扱いするのか?

「ん……それは……」 

「それにレベル16なら、まだまだ伸びしろがあるってことじゃないか。今後に期待だ」


 じろりとこっちを見るマイア、ちょっとの間があったがふふんと笑って


「そうよねー今後成長の余地がないヤツより未来があるわよね」


 などと返してきた。

 このやろう……


 しかし機嫌は戻ってきたようだ。

 ま、そのうち俺も人間の体を取り戻してレベルアップをしてみせるさ。


 魔王を倒して彼女の魂を救ってから、という気の長い話になるけど。

 体を取り戻す方法自体も探さなければならないしな。


「つか、精霊のレベルアップってどうすりゃ出来るんだ? 人間は鍛錬をしたり魔物を倒したりでアップするが」


 レベルの確認方法は例の水晶である。今は鑑定で出来るけど。


「宿ったアイテムを最後まで見届けることで、少しずつ上がっていくっしょ。

 ……ん? あれ? ……だったらアタシはアンタに宿ってる限り、レベルアップしないってことじゃん!」


 また地面に膝と手をついてしまった。

 今の俺、魔力で半永久的に活動できる棺桶だもんな……徹底的に破壊でもされない限り、アイテムとしての最後がない。

 『生還』スキルもおそらく意味をなさない。破壊されてしまったらマイアも消える。


 ……しまった聞かなきゃよかった。


 その後、落ち込むマイアを立ちなおせるのにしばらくかかった……

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