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第15話 棺桶、旅立つようで旅立たない

「身の安全を最優先、その条件、当然だな。メルリーネも同じだ、二人の安全を守るよ」

「ありがとうございます!」


 喜色満面といった表情のメルリーネ。

 マイアの了承も得て心置きなく旅立てるってものだ。

 早いとこ妹の魂を解放してやらないと……


「でもさっきの棺桶ビームってネーミング。ないっしょ」

「なかったか……」

「そうでしょうか?」


 やや意見が割れる。

 ……と、その時ダンジョン自体が震え始めた。

 ダンジョンにはウケが良かったか?


「ダンジョンコアが破壊されたからここ、もう潰れるっしょ!」

「マジで!?」


 ダンジョン崩壊に巻き込まれるわけにはいかない!

 慌ててさっきの直通エレベーターまで戻り、


「上がれえ!」


 足場を操作して速攻で地上まで帰還。

 足元、地面の奥底で振動が起きているのが感じられる。

 地面も陥没するようなことにはならず、ダンジョンが潰れるのに巻き込まれずにすんだようだ。


 全員無事で戻ってこれた……!

 その目標はちょっとしたプレッシャーでもあったが、なんとかなってほっとする。


「ふう……んっ? うおお……なんだこの脱力感は」


 立ち眩みと脱力が一緒にやってきたような感覚があり、倒れそうに……なるがそもそもメルリーネに抱えてもらってるのでその心配はなかった。


 ……なんだろうな今の、割とすぐ治ったけど。


「どうしました?」

「いや、なんでも……

 しかしこんなすぐぶっ壊れるんなら、正攻法でダンジョン突破して守護獣を倒した冒険者、どうやって帰るんだ?」

「コアを守るものが居なくなったら、爆発魔法が封じられた宝珠を時限式発動状態にして

 コアにセット、それが爆発前に脱出するのが普通の手順っしょ」


 なるほどね。最後は脱出ミッションになるのか。


「でもこんなインチキな方法でダンジョンを攻略したのは、たぶん後にも先にもアンタだけじゃない」

「これが自分の正攻法だって……」

「真の勇者ならインチキなどせんはずっしょ。汚いさすがかんおけ汚い」


 できることをやっただけだし。一般的な棺桶への風評被害はやめたまえ。

 しかし実力は認めてもらったけど、接し方は変わらないなマイア。

 まあその方が気楽かもしれん。呼び名がかんおけ野郎からただのかんおけになったのも良い方に捉えよう。


「じゃあそろそろ、本格的に魔王討伐への旅を始めるとしますか!」

「はい!」

「こうなったらやってやるっしょ!」



「……ところでどこに魔王っているんだ?」


 ずこー。


「そこからかい!!!」


 マイアが突っ込んでくる。


 何の情報もないので仕方がないのだ。

 自分の出身の村に来る程度の情報だと、とりあえず西に居るらしい、くらいしか……


 てことでマイアに例によって女神樹ネットにつないでもらって、最新情報を得ることにした。


「しょうがないわねー。『魔王 城 場所』で検索して出てくるかな……」

「あ! そういえば俺がこんな姿になった理由、その辺の情報も探せないだろうか」

「……うーん……それって人の魂をどうこうする系の情報よね。

 そういう情報はアタシ程度のレベルだと、アクセスできる権限がない領域っしょ」


 すべてがオープンにされてるわけじゃないのか。


「つかそんな閲覧制限をするような情報なのか……?余計知りたくなってくる」


 しかし精霊のレベルによってアクセス権限が制限されてるとか。

 なかなかに面倒くさいな女神樹ネットとやら。


「まあ仕方がないか。それで魔王の居場所についてだが……」



 ――現状、この大陸はほぼ中心から魔王側と人間側で縦に二分されている。

 大陸西部が魔王の支配下、大陸東部は人間の領地、という塩梅だ。


 魔王軍は東部方面軍と西部方面軍の二大軍団で構成されており、人間の領土と面している位置にいる東部方面軍が人間と全面的にぶつかり合っている。

 

 かつて魔王がこの世界に出現してほんのわずかな時間で、大陸の半分は魔王軍のものになった。

 それも魔王一人で暴れまわった結果、である。

 しかしその後は、なぜか配下の者に自分の能力を一部与えて戦線を引き継がせ、魔王自身は城に引きこもってしまった。


 そのせいもあってかここ数年ほどは、戦争は膠着状態となっていた。

 世界女神樹の人間への支援が始まったのも膠着の一因だろう。


 ――マイアの調べによれば、大陸北西にある魔の山と呼ばれる領域に魔王の居城があるらしい。

 らしい、というのは人間はまだ誰も実際に確認したことがないからだが、以前勇者のパーティが放った使い魔の情報がソースなので、ほぼ確定と言って良いとのこと。



「ふむ……で、俺たちの現在地は大陸の北東部あたり。西に見える山岳地帯を超えれば、最短距離で魔王城に

 つけるというところかな」

「メルリーネの足が頼りね。アンタ、空を飛ぶ魔法とか使えないの?」

「勇者の魔法にはそういうのないんだなあ……一度行った街へ瞬間移動したり普通に飛んでみたりしたかった」

「使えないかんおけねー」


棺桶にしては相当色々できる方だと思うのだが?棺桶は基本的に使用方法一つじゃん……


「ともかく目的と目的地ははっきりした。仲間の了承も得た。

 いざ魔王討伐の旅を始めるとしますか!……メルリーネ、頼む」

「はーい」


 いちいち俺を抱えてもらわなければならないのはちょっと情けないが。


「……おっと、旅に出るなら街に戻ってそれなりの準備をしなければ」


 ずこー。


「旅を始めるっつって二度! 急制動かけるのやめるっしょ!」

「悪い悪い。しかし準備もなしに魔王城へは乗り込めないだろ。……今から街に戻れば真夜中過ぎか、

 旅の支度は次の日に店が開いてからだな」

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