第11話 棺桶、魔王討伐を決意する
「だからさっきから言ってるっしょ!マジメに!」
適当に聞き流されたと思ったマイアが怒り心頭だ。
「いやあまりにも唐突過ぎまして……」
メルリーネはあわあわしている。
俺も妹の事が心配になってもう気が気でなくなってきた。
ん、殺された、んじゃなくなんてったっけ?殺されただけ(だけというのもなんだが)ならまた復活するはずだけど。
「……魂が魔王の手に落ちた、つったな?」
思い出した。確かそう言っていた。
「魔王軍にいるネクロマンサーが、魂だけを抜き取ったそうよ。勇者って、死んでも生き返るっしょ?
だから、そうさせないために魔王軍も考えたんじゃない」
「魂が体に戻れないようにしたってことか」
「魂は魔王様に献上する。それがネクロマンサーの残した言葉だそうよ」
献上……魂って、魔法を使えば形あるモノとして扱うことが出来るのか。
そもそも、自分の魂も誰かにモノとして扱われてこうなったんじゃないだろうか。
もしかして俺を棺桶に封じたのも、ネクロマンサーとやらの仕業なのか……?
そして妹までやられたってのか!
「た、魂を取られた肉体はどうなるんでしょう……」
当然の疑問。
「そりゃ決まってるっしょ、眠りつづけるの。でも、そのうち本当の意味で肉体は死……」
「やめてくれ!」
思わず怒鳴ってしまった。
「フィンさま……」
「ごめん、ちょっと取り乱した……妹の体は今どうなってるんだ?」
「とりあえず首都正教会まで運ばれたっしょ。その後は教会の管理下で安全に守られるみたい」
とりあえずは体の無事は確保されてるのか。
しかしこのまま魂が戻らないと……くそっ。
「……また女神樹ネットに動きがあったっしょ。この事態を受けて、女神樹は新たな勇者選別儀式を
開始する方向で動くそうよ」
ここに来てさらにマイアのとんでもない報告が。
「なんだって……」
なんなんだそれは。
今の勇者がダメだったから次の勇者に切り替えるってことなのか?
なんだか無性に腹が立ってきた。
妹があっさりと切り捨てられたように感じたからだ。
「……これからの旅の目的だけど、今ここで決めていいかな」
マイアもメルリーネもたぶん何を言いたいか分かったようだった。
そして俺はその言葉を口にした。
「魔王を、討伐にいこう」
メルリーネはやっぱりといった感じで顔をほころばせ、マイアは「あちゃー」という表情になった。
「ですよね! 当然、助けに行きますよね!」
メルリーネは大賛成のようだ。
で、説得が要りそうなほう、マイアはいかにも乗り気ではない。
というか完全に拒絶モードだ。
「ちょっと待って、アンタが魔王を討伐とか、かんおけ野郎の分際でやれるワケ無いっしょ……!」
「こ、こう見えてもフィンさまにも勇者の力が与えられてるんですよ?」
フォローサンキューメルリーネ。
しかしマイアは納得しない。
「タダの箱じゃん!? 勇者専用の武器防具、一つでも装備できる? できんっしょ!
コイツがやられたらアタシも終わりなワケ! 魔のモノに存在を消滅されられたら二度と女神樹の元に戻れないの!
多少モンスターが魔法で打ち取れるからって! 魔王討伐とか! 勘弁するっしょ!」
声を荒げて激しく主張する。
確かに、女神樹に戻れないってのは切実な問題か……
しかしもう覚悟を決めてしまったのだ。妹を助ける。魔王も倒す。当然、自分もやられる気なんてない。
精霊と宿る物が同じで一蓮托生な以上、ちゃんと説得しなければ。
「完全に根拠のない話ではないぞ? 勇者の能力、正直言って今の勇者より使えると自負してる」
「その話自体が根拠ないように聞こえるんだケドー!?」
うーん言葉より実践で説得したほうがいいか。
でもそこらの雑魚モンスターを瞬殺したところで納得はしてくれなさそうだな……
「それじゃあ……メルリーネ、この街に冒険者ギルドってあるのかな?」
ちょっと思いついたことがあったので聞いてみた。
「あ、はい、確かあったかと」
「ちょっとそこへ行ってみるとするか」
「え? ……じゃ、フィンさまお持ちしますね」
俺を「んしょ」と抱えるメルリーネ。
「なに? なんなの? ちょっと待ちなさいよ!!」
なおギャーギャー騒ぎたてるマイアだったが、結局は物に宿る精霊。
俺から離れる事は出来ず、メルリーネが俺を抱えて持ち出せば自動的に連れ出さられるしかない。
こうやって問答無用で魔王討伐に行くことも出来るけど、さすがに了承なしってのは気が咎めるよな。
説得のためにも、まずは冒険者ギルドだ。
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