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第9話 棺桶、街にたどり着く

 しかしマイア、俺が目覚めてからずーっとベッド(『場』)に必死にしがみついてたっていうのか。

 時間にして1か月くらいはなかったか?生き死にがかかってるとはいえ凄い根性だ。


 気づけずにいたのはちょっと申し訳なくなるな。


「アンタも近くに居たんだからもっと早く気づいてよね、メルリーネ」

「申し訳ないです」


 うつむくメルリーネ。


「メルリーネは悪くないだろ……」

「いえ、同じ女神樹に関わるものとしては未熟なのは確かです。

 言い訳になりますが、フィンさまの良い香り、極上の手触りに気を取られて気配を察知できなませんでした……

 あまりにも、良いものでしたので(うっとり)」

「うっ……あっそ、いいケド……」


 やや引き気味のマイア。これは仕方ない。

 しかしメルリーネのおかげで?毒気を抜かれた感じになりマイアの怒りもとりあえず収まったようだ。


「なんにせよ、俺を棺桶にした何者かのせいってことで」

「うーん、とりあえずそういうことにしておくか。いつかそいつ殴るっしょ、マジで」

「俺もやってやるぜ(拳はないが)」


 ここでメルリーネがおずおずと手を挙げた。


「その辺の状況は良く分かってないので、フィンさま、棺桶になったとかいう前後の事などを

 教えていただけると助かります」


 そういや未だにその辺説明してなかった。でも長くなりそうだからな……


「とりあえず街について落ち着いてからにしよう」

「わかりました」

「しかし、モノに宿る精霊か……」


 そういや首都で土産の木刀買った店でも、神木製である事をうたってるものをたまに見かけたな。

 木刀は普通の木製だったけど。


 しかし魔王に対抗する神木製道具、タダじゃないとこは女神さまも意地が悪い?

 まあ加工職人もボランティアじゃないから仕方ないところか。


 高級家具ともなると、女神樹純正品とかいってすげえお高かったり。

 そういうの一つ一つにも精霊は宿ってるのかな。


「そうよー。世界女神樹のモットーは『いつでも皆様のそばに。あなたの親愛なる隣神』だし」


 どこかで聞いたようなそうでないようなキャッチフレーズだな……

 しかしそうなると、とんでもない数の精霊が居るってことになる。

 精霊じたい、見たこともないぞ……?


「そりゃ普通の人間には見えないっしょ。精霊は道具を使う人間を見守るもの。

 大事に使ってくれる人間には、その道具の性能を最大に引き出せるよう、働きかけたりもするケド」

「そうだったのか。なんで俺には今、見えるんだ?」

「知らないっしょそんなコト。そもそも何で人間の魂が棺桶に宿ってんのよ」

「こういう状況になったのはこっちとしても謎なんだっての」


 ほんと誰か教えてくれ……


 勇者の力に目覚めなければ、捨てられた街道わきで腐って土に還るところだったわけだし。

 生きながら腐る……うう、考えたらめちゃくちゃ怖い状況だ。ゾンビみたいにボロボロになっていくのに、意識はちゃんとあるという。それなんて拷問かよ。完全に土に還ったら魂はどこに行くんだろうか……


「……ん? そういや棺桶って、そのうち土に埋められてしまうんじゃないか?

 精霊が宿ってる意味ある? 埋められちゃったらずっと土の中? 精霊はどうなるんだ?」


 ふとわいてきた素朴な疑問をぶつけてみた。ずっと土の中なら、神木製棺桶で人が埋葬された数だけ精霊が土に埋められてるってことになる。人柱ならぬ精霊柱みたいで地味に怖い。


「そうなれば任務を全う出来たことになって、アタシら精霊はまた世界女神樹の元に還れるワケよ。

 基本的には壊れるか使用不能になったら道具からは精霊は離れる、って感じになってるっしょ。

 棺桶はちょっと特殊な例かも」


 なるほどね……いつまでも宿ってるってわけじゃないんだな。精霊にも魂があり人格があるなら当然か。


「しかしあれだな、結局神木って道具に加工されるわけだろ。神木を世界に広げれば広げるほど神木製道具を

 作るためにいちいち伐採に行くのが大変になるな……」

「だから最近は、加工業者が保有している山に集中して神木の苗を植えていくエルフが増えているそうっしょ」


 なるほど、どのみち道具に加工するならまとめて伐採しやすい所にあった方がいいよな。でもそれはエルフが楽してるようで名誉ある任務って感じが全くしなくなるな……


「世界女神樹の考えからすれば、褒められた行為ではありませんが……今はそういう方が多いようですし

 道具のほうを重要視するなら効率面でもそのほうが良いというのも分かるんですよね……」


 複雑そうなメルリーネ。


「んで?アンタらはこれから街に行くんだっけ?何するつもり?」


 マイアが両手を頭の後ろに回し、この話題には飽きたっていう感じで聞いてきた。


「いや、別にこれといった目的はまだないんだけど」

「フィンさまのこれまでについて、落ち着いたところで聞きたいかなって」


 とメルリーネ。


「おっとそうだった。じゃまた街までの移動を開始しますか、あと2日くらい?」

「乗り合い馬車でも通りがかってくれれば、もっと早く着けるんですが……」

「棺桶担いだ人間なんて乗せてくれるとも思えんっしょ」

「おまえなー。まあそうかもだが……」



 ――そして結局馬車も通りがからず、さらに二晩自分をテント代わりにする野宿を重ねてようやく小さな街についたのだった。


 大陸の北東にある田舎街、小さいが村ではなく街と呼べるほどには人口はそこそこの規模で、冒険者がそれなりに準備を整えられるくらいには、武器屋などの施設が存在しているところだ。


「さて……目立つことなく穏便に宿が確保できればいいが……」

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