いつもずるいずるいが口癖の性悪妹を懲らしめるために、悪役令嬢と妹にいわれ、いじめられていた姉が婚約破棄を仕掛けた妹にした仕返しとは?なんだったのでしょうか。
「お姉さまだけずるい、ずるい、ずるいですわ。リリアナも欲しいですわ~」
また小さな妹が私が父からもらった熊のぬいぐるみを見ておねだりを始める。
誕生日なのだから贈り物をもらってもいいじゃないですか。
「リリアナのぬいぐるみさんはないのですか? お父様」
「悪かったな、私のせいだ、お前の分を忘れるとは、エリー、そのぬいぐるみを妹にあげなさい。お前の分はまた買ってあげるから」
妹だから、妹だから、お姉さんなんだからあげなさい、何度繰り返されたことか!
私は嫌だと首を振りますが、お姉さんなんだからと、あとずるいずるいという妹の大合唱にまけて、とうとうふわふわのぬいぐるみを妹に渡しましたわ。
どうせ、またそのぬいぐるみも飽きられてすぐ捨てられますのよ。
私はいつもこんな風に人からの贈り物ですら、いつも妹に奪われてきましたわ。
お父様がこの後買ってくれたぬいぐるみでさえ妹のもにになりました。
いつもずるいずるいお姉さまだけずる~いの妹に私は腹を立てていました。
妹といっても一つしか違わないのです!
妹は確かにかわいらしいです。金の髪の毛、愛らしい青い目、どうせ私は茶色の髪に瞳の平凡な顔立ちでしたわ。
お父様は妹を愛し、お母さまは妹を生んですぐ亡くなったそうです。
そして、お母さまによく似た妹を父は溺愛しました。
ええ、私はいつも姉だからという理由で、妹のわがままに付き合わされたのです。
私はいつも割をくっておりましたわ。
そして私たちは十六と十七になり、私の婚約者が選ばれました。
「お姉さまずるーい、どうしてお姉さまが王太子様の婚約者になるのよ!」
という妹のずるーい攻撃をかわし、私は王太子の婚約者としての日々を送りました。
いや私とてさすがに荷が重かったのですが、どうしても上からということになりました。ふう、胃に穴があきそうです。
そして半年後……。
「エリアナ、お前との婚約を破棄する!」
「はあ」
「リリアナをいじめた罪により」
「いじめてませんわ、証拠もあります」
婚約破棄を宣言する王太子様に私は笑顔であるものを捧げました。
『お姉さまはいつもずるいのですわ、私のものを取り上げるのです!』
私が水晶玉を掲げると、そこには王太子様に訴えかける妹の姿がありました。
私は取り上げられたといわれるアクセサリーはいまここにあります。と壊れた首飾りを見せます。
『お姉さまから貸してもらったこれ、やっぱりリリーには似合わないので、お返ししますわ』
にっこりと笑う妹が、私が妹と貸してとねだられ、貸したはずの首飾りを床に落として、足で踏みつける様子がそこには映っていました。
「え?」
驚いた顔で王太子様と妹が私を見ます。ふふふ、だてに証拠をあつめていたわけではありませんえわ。
「う、嘘です。リリーはこんなことはしていません、魔法でう……」
「宮廷魔術師殿のお墨付きです。これは現実の過去の画像ですわ」
私は横から出てきた魔術師がうんうんとうなずくのを見ます。根回しをしていないわけないでしょうが、嘘ですわというのはお見通しですのよ!
「リリーは、こんなことしてませんわ、クリス様はしんじてくださいますわよね?」
「あ、ああ……」
困り顔の王太子様、横にはいつものぶりっ子声で焦った様子の妹、ざまあみさらせです、でもこれだけではありませんわよ!
『レオン様のような人が好きなのです。リリーは~』
レオン様というのは王太子様のいとこ殿ですわ、甘えかかりしなだれる妹とレオン様の姿が映し出され、いやいやと妹が首を横に振るのを見ます。
あ、王太子様の手が妹から離れましたわ!
「私は、妹をいじめた性悪姉でしょうか?」
「いや、い、い……」
「ではいじめたといったのは誰でしょうか?」
「そ、それは……」
「どこのどなたが言われたのでしょうか!」
「いやそれは……」
「そこにいるひとですわよね!」
私は妹をびしっと指さしましたわ。つうっと王太子様の額に汗が流れましたわ。
ふふふ、否定しようとしても駄目ですわよ!
『お姉さまがリリーをいつもいじめるんです~クリス様~』
違う画像が水晶玉から映し出され、妹が冷や汗を今度はかきだします。
いい気味ですわ。
「さあ、罪を認めてくださいまし」
「リリーは!」
「リリアナ! あなたがすべてたくらんだことですわよね?」
私が大声で断罪すると、そんなことしてませんわとリリアナが泣き出し、そして周りは茫然とする人々が残されましたわ。
私はさあ、婚約破棄でもなんでもしてくださいましとちろっと王太子様を見て、彼は「いや……悪かった」と誤ってくださったのですが……。
ずるいずるいと言い続けた妹のその後ですか? ええ証拠により、私を陥れようとした罪がわかって国外追放になりましたわ。そして王太子様もきついお仕置きを受けて、え? 婚約破棄? それは……。
「婚約破棄をいつしてもいいのですのよ!」
「いやそれは勘弁してくれ!」
私は今日も王太子様の横で、おバカさんをしつけるために脅しの文句を耳にささやきます。
私は結構このおバカさんが好きだったのですわ、だからね、妹を逆に陥れたのです。
これで私たちのお話はおしまい、妹はどうなったのか誰も知りませんでしたわ。
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