オイルトテス.5 ステータス
いつもありがとうございます!
門番の人は、サーナちゃんを見ると優しく話しかけてきた。
こんな可愛い子を見るとみんな甘やかしてしまうのかもしれない。
「サーナちゃん、お出掛け?」
「うん。ライルさんもご苦労様~!薬草採取なんだー」
皮袋から取り出して門番に身分証を見せる。
「でも、女子二人で大丈夫か?」
「うん。こちらのマキさんは冒険者だから大丈夫だよ」
「……ふむ。とてもそうは見えないがな。着てる服装だってどっかのお嬢様の制服に見えるし……」
う~ん。やはりこの制服はこちらではそう見られるのかな?
まあ、こちらの世界の服装はなんかみんな生地が薄そうだし冬は寒くないかな?
これは、サーナちゃんにはお洒落な服をプレゼントしないといけないか?
「にゃん?」
あんずがなにを考えてるのって感じで見てくる。なんでもないよ。
「駄目だよ、いくらお仕事だってこんな素敵な女性をじろじろ眺めていたら不審者で捕まっちゃうよ?」
「う、うむ。まあそうか。サーナちゃんの知り合いに悪い奴はいないか……すまんが身分証の提示をしてくれ」
サーナちゃんにジト目で見られて慌てるライルさん。
サーナちゃんに嫌われたくないのだろう、うん。私はギルドカードを見せるとやはりびっくりされた。
「はーい!行ってきます!」
その後ライルさんはこちらにも挨拶してくれた。サーナちゃんにメロメロな人が多いな。やはり、この街のアイドルなのか。
「あんた、冒険者だろ?サーナちゃんを守ってやってくれよ」
「ええ。それはもうしっかりと」
にっこりと愛想笑いで答える私は、サーナちゃん恐るべしと戦慄した。
きっと、将来は男を手玉に取るタイプね。
それにしても、街を出る時。街の猫たちが名残惜しそうにジッと見てくるから出掛けづらい。
猫使いは、猫に好かれるのかな?
しかし、無責任に猫を飼う訳にもいかないしね。
それにしても異世界ってどうしてこう大自然なんだろう。何千年もしたらここら辺も建物ばかり立って人も多くなって、自然もそうだけど魔物も居場所がなくなるかもね。
じゃれついてくる狼やらスライムを軽く蹴散らす。
「わあっ!真姫さん強いです!綺麗で憧れます!」
「そう?ありがとう」
「えへへ」
サーナちゃんの頭を撫でると嬉しそうに目を細める。
この子をちゃんと守らないとね。
森は、街道を反れた場所に合った。
見た目、普通の草と区別がつかないけれど、サーナちゃんは、薬草をホイホイと皮袋に摘めていく。
私は、辺りを警戒しながら、それを微笑ましく見ていた。
時折、昨日の狼と定番のスライムが、襲いかかって来たものの、飛脚の靴のお陰で、ひとひねり。スライムは、正面から体当たりを仕掛けてきたので、サッカーの要領で蹴ると、スポーンと面白いように飛んで行った。
狼は、ウェアウルフと言うらしい。狼でいいか。
涎足らして私の足にしがみたこうとしたとこ、肩に乗るあんずが飛びかかり引っ掻いた。
「うにゃあ!」
「あんず、ナイス!」
怯んだとこを、横から顔面を蹴る!更に、続けて飛びかかって来た狼を、半身ずらしてかわす。
ああ、スイスイと避けられるよ。遊んでる場合じゃなかった。肘打ちで、地面に叩きつけると石ころがまた出る。説明書によれば、ギルドで換金か。合成する時に使えるらしい。まあ、今はいいか。
「ルンルン♪」
ルンルンが似合う女の子がいるだろうか。
サーナちゃんは、こちらに気づかず、薬になりそうな植物を採取していたけど、きりがいいとこで立ち上がり、私の方を見て笑顔で手を振る。ヤベー。まじヤベー。天使の微笑み。無関心の私が守らなくてはと思わせるはんて。私に百合の趣味はないからね!?
「お昼にしましょうよ」
「そうだね」
しかし、スライムはともかく狼の肉が集まったな。こんなに食べられないよ。
しかし、ゲームだからか倒すと肉の塊と魔石になるなんて。便利で良き良き。
「お肉屋さんで買い取ってもらえますよ」
「そうなの」
魔物が落とした物は、専門のお店に持って行けばいいのかな。
「もし良ければ、これ調理しますか?」
「あ、うん。食べれるんだね」
料理はそこそこと言える私は、サーナちゃんを見る。え?料理出来るんだね。
「えへへ。もちろん私がしますよ?守ってもらってるんですもん」
仕事なんだけどね。うん。でも、サーナちゃんに頼もう。
「ありがとう。お願いするよ」
「はーい!火を起こしますので、辺りを警戒してもらえますか?」
「うん、分かった」
ホントに、しっかりした子だ。そして、生命力が違うと言うか。
今の内に、ステータスを確認しよう。
マキ
人間 17才
職業 学生
称号 猫大好き
Lv.3
HP 250
SP 170
STR 198+30
DFF 103+115
SPD 184+100
LUK 3250
SKILL 格闘技Lv1 長距離ランナー-走ってもあまり疲れない
猫大好き-猫たちが集まってくるよ
無関心-人が暴言吐いても傷つかない。だって他人がどう思っても興味ないんだもん。
装備
拳士の手甲―クリティカルが少し出やすい。技の出が少し速い。
学生服―高校の学生服。魅力アップ。
飛脚の靴―通常より早く歩ける、走れる。蹴り技が痛い。いくら歩いても疲れない。歩くたびに銅貨一枚が自動で貯まる。
あの。猫好きが大好きになっているんだけど。ま、いいか。好きだし。
「マキちゃん、どうしたの?」
火を起こし、皮袋から小さめなフライパンをセットして、油を引いているサーナちゃんは私を見て首をかしげる。
「ああ、うん。ねえ、称号って自動で変わったりしているの?」
「うん、そうだよ。行動によって変わるみたいだよ。ちなみに私は、看板娘だよ。えへへ」
「そっか。職種がモリガールなのは?」
「森に採取に来ることが多いからかな?」
微笑みながら話して、野菜を切っていく。いや、調理キットみたいのまで用意してスキル高いねサーナちゃん。評価されて当然の女の子だよね。
まあ、職種のことは置いといて。歩いていたから、銅貨も貯まっているよ。
「しばらく、サーナちゃんの宿屋でお世話になっていい?」
「わーい!もちろんですよー!」
私も、サーナちゃんを見習って料理を教えてもらおうかな。
狼の肉と野菜の炒めもの。抵抗あったものの、ゲームの中なんだから大丈夫。
その後も魔物を退治しつつ、薬草採取すると。夕暮れ時になったので、街まで戻ろうとして、近くで地鳴りを確認した。なんだろ?
「……今のは?」
「わ!もしかして!?」
サーナちゃんが目を丸くして、森の中へ行くので、慌てる。
「どうしたの?いきなり駆け出したら危ないよ」
「だって、ほら!」
珍しく興奮するサーナちゃんを連れて草を掻き分け、飛んで来た鳥の魔物を裏拳で瞬殺する。
レベル低くてもこのステータスの高さだからね。ごめんね鳥さん。ちなみにイーグルクローって名前だった。
つづく
門番のおじさんは、サーナちゃんに優しいから、実の娘にふてくされてるんだって。
門番のおじさんは、サーナちゃんに優しいから、実の娘にふてくされてるんだって。