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クインさんの依頼.2

さてと。私たちは外に出るとクインさんに見送られて門の所へ向かうよ。パーティーリーダーの効果があるのか試して見たいので、リーダーをサーナちゃんに変更。


「サーナちゃん」

「はい。なーにマキちゃん?」

「あそこで、店番してるムスッとしてるエルフから、お菓子を買ってきて」

「え、いいんですか?」

「うん、いいよ。みんなの分もね」

「は~い」

マナと一緒に洋菓子店に向かう。看板を見ると『森のお菓子屋』。

そう言う名前だったのね。ここは、森じゃないけどね。

エメラルドは、なぜか離れたとこにいるわたしをぎろりと睨みつけ、サーナちゃんたちに対応している。

人間は嫌いだけど、対応は丁寧な感じ。戻ってきた二人にお菓子の値段を聞くと、1割安かったよ。ラッキー。

「ひゅ~、あのエルフいつも睨みつけてるよな?」

「あなたがいるからじゃないの?」

憎まれ口を叩いたら、バシバシと背中を叩かれるので、反射的に裏拳を出しそうになる。あぶな。

門番のとこに行くと馬車が用意されていた。

「わ~!お馬さんだ!えへへ」

お馬さんは、どうやらサーナちゃんにめろめろなようだ。すりすりしているよ。馬すらも虜にしちゃうなんて。サーナちゃん。末長く恐ろしい子だね。可愛いけど。


「……サーナ。気をつけてな」

「もう、見送りはいらないった言ったのに~」

サーナちゃんは、頬を膨らませてる。親バカと思いつつも、外が危険じゃ心配だよね。

「パパもちゃんとしてよね」

「おう。期待してくれ」

大丈夫だろうか。看板娘のスキルが無くなった時のお店は閑古鳥が鳴くのでは?

「マキ。サーナを頼むぞ」

「うん。心配しすぎだよ。でも、まあ任された」

笑顔で返すと、フッと笑われた。なに、鼻で笑ったかー?今の私では頼りないと?

「こいつは餞別だ、持ってきな」

「?なにこれ」

渡された皮袋。中には細長い筒みたいのが……て、これダイナマイト!?

「いいか?これでサーナに近寄る男どもを消し飛ばせ」

ドスの効いた声でロッカーさんは囁くので怖い。

「いらないです」

突っ返すと、残念そうにしている。この親父は……。

「心配しなくて大丈夫ですよ、お義父さん」

「ああん?誰がお義父さんだ!」

バカ、ドロン。イラつく態度でロッカーさんの肩を叩くドロンに右ストレート!ああ、やっぱりね。

「へろへろ~」

「家の娘を泥まみれにしやがったら許さんぞ!」

泥まみれと言うか、粘土で出来ている不思議な種族なんだけどね。変わった種族だよね。

「パパ、駄目だよ!旅の仲間にそんなこと!」

「ふん。サーナに近づく野郎は、変態が多いからな。俺は心配なんだよ、親として」

「過激なのは、駄目だよ?」

「………はい」

小さい子に諭されてるこの人。もう、とっとと出発しよ。たかだか二週間ちょっとなんだから。早く終わらせてのんびり散歩したい。お弁当を持ってピクニックもいいかも。


「お気をつけて、マキさん、みなさん」

馬車に乗り込みつつ振り返るとクインさんも心配気だよ。ホントは自分で行きたいよね。

「大丈夫、任せておいて」

このメンツで大丈夫と言えるかどうか。ドロンはふてくされ御者台へ。あんた馬車を操るのね。

「はい、サーナちゃんお菓子だ」

「わ~い!ありがとう!」

門番さんの甘やかし。こらこら。

「あなた、自分の娘とかに甘やかしなさいよ」

「駄目だ。そんなことしたら、ぐうたらになってしまう」

どこか遠くを見ながら呟く門番さん。経験談ね。

「制服はいい……サーナ。早く制服を……ハァハァ」

近所のおじさんはスルーしてと。息が荒いんだけどへーき?遠巻きな猫たちが一番しっかりしているよね。邪魔にならないように建物の上や端っこでこっちをじっと見ている。その瞳は、『行っちゃうの?』そう語りかけていた。

あんずも私の肩の上から見返している。猫同士の挨拶かな?


「じゃあ、行くぜ」

ドロンは、ふてくされながらも馬車を出すとゆっくりと揺れながら進み始める。サーナちゃんが乗り出して手を振ると、みんなが口々になにか言っている。うん、大袈裟だけど。気持ちは分かる。分かっていたとはいえ、サーナちゃんの魅力の成せる技かな。私は、猫たちとの別れが寂しいかな。


馬車はゆっくりと街道を進むけど、のんびりはしてられない。

時折、魔物たちが襲ってきたりするので、蹴り飛ばしたり、サーナちゃんや、マナちゃんの魔法で消し飛ばす。素材とかをいちいち馬車を止めて拾うのが面倒くさいけど。

私のパーティーリーダー能力で、揺れる馬車の上でも避けやすくはなってるよ。怖いのはマナちゃん。

「うぉら、消し炭にしてくれるわ!ファイヤーボール!」

襲ってくる餅つきウサギたちを、魔法を放つ瞬間だけ怖くなるのだ。この人、二重人格なのかな?さよなら、ウサギさん。

「はあ。スッキリしたですの」

「こ、怖いよ、マキちゃん」

制服にしがみつくサーナちゃんの頭を優しく撫でてやる。世の中にはいろんな人がいるんだよ。うん。ドロンは、口笛吹いてるし。もう機嫌なおった?こんな調子で大丈夫だろうか。


つづく

マナちゃんは、魔法を唱えるときテンションがハイになるんだよ。普段は頼りないけど。

餅つきウサギは、この地方に餅がなくて悲しいんだって。


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