表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRMMOのヒーローを目指して!  作者: 桜の葉にぎり
2/3

ようこそ!ノアへ!

 ん?ここは…。

 VRMMOのノアの世界なのか?

 目を開けるとそこは白い部屋だった。

 何もない白い部屋。そこの真ん中にポツーンと机と椅子が。

 そして


「あ、人がいる」


 その椅子に1人のメガネの男の人が座っていた。

 男は俺に気付くとメガネをクイッと直して、立ち上がる。


『ようこそ!新たな冒険者よ!我々は君を歓迎する!』


 と大きな声でいった。


「ど、どうも」

『私の名前はセバス。君のような、初めて訪れた冒険者たちの案内と冒険者登録を任されているものだ。よろしく』


 と俺に近づき、手を差し伸ばす。


「よろしくお願いします」


 と握手に応じた。冒険者っていうのが俺たちプレイヤーの呼称なのだろうな。


『さて、早速…そうだな。先ずは君の名前を聞こうか?この世界での君の名前を教えてくれたまえ』


 あ、そうか。名前…リアルネーム入れるわけにもいかないしな。ヒカリさんがよく呼ぶソウとか…は安直だな。せっかくだし、普段入れないような名前にしてみたいな。ソウタ…んー。織部ソウタ…おり…べ。あ、そうだ!


「オリーヴでお願いします!」

『ふむ。いい名前だ!因みに、その名前には由来とかあったりするのかい?』

「え?」

『あ、いや。もしリアルネームとかのもじりとかだったら、リアルワレしないよう注意しなくちゃだけど』

「えっと一応名字のもじってますね。あと夕飯のオリーブオイルの効いた料理が美味しかったので…つい」

『成る程…オリーブ…と』

「あ、ヴはバ行じゃなく、うの濁点のほうでお願いします」

『おっと失礼。オリーヴね。なかなか洒落ていていいと思うよ』


 ちょっと女の子チックだったかな。まぁいいや。


『では次に君のアバター作成だ。これからこの世界で過ごす大事な体だからね。じっくり時間をかけて選びたまえ』


 そういうと俺の目の前に青白く光る人型が現れた。

 これ使って作るわけか。

 さて、いよいよ本題だ。作るぞ!まさにヒーローって感じのキャラ!やるぞ!

 先ずはどうするかな。体型はやっぱりガッチリ系。

 そうイメージすると人型の体の輪郭がガッチリした。

 おお!イメージを読み取るのか。

 顔は濃い目のハードボイルド系ミドル。

 髪は黒髪、髭はなし。

 あとはここをこうして…こうしたら…こうで……よし!出来た!

 黒髪、長身、ゴリマッチョでありながら爽やか甘いスマイル!俺の理想的ヒーロー像そのまんまのアバター完成だ!


「おお!」

『そ、それが君の趣味なのかい?現実の君とだいぶ違うようだが…』

「はい!」

『そ、そうかい。よし、試運転してみようか。今から君の体として仮定着させるから動き回ってみてくれ』

「おお!はい!」


 俺の体は俺の作成したアバターへと姿を変えた。

 おお!高身長から見る景色。何もかもが小さく見えるよ!素晴らしい。


『ささ、歩いてみたまえ。違和感がないかとか確認するんだ』

「はい」


 そう。これから俺はこの理想ヒーローの姿で一歩を踏み出すんだ!他人ひとからしたら小さな一歩。けど俺には栄光の一歩である。噛み締めて歩み進む。

 ガンッ!


「っ!え!?」


 バタンッ!


『ありゃりゃ』


 こけた。そりゃもう盛大にこけた。自分の足にけつまずいたんだ。


『うーん。やっぱりか』


 セバスさんがそう言う。

 やっぱり?


『割と君のような小柄のプレイヤーは少なからず、やはり理想として長身のアバターを選ぼうとするんだ。だが、人間そんな体の変化に対応できるほど簡単に出来ていない。どうしても今までと違う体の動作に脳が違和感を覚え、混乱をきたすんだ。このVRMMO世界のような特に脳からの信号が重要になる世界では尚更ね』

「そ、そんな〜」

『悪い事は言わない。慣れないうちは自分の体に近いアバターに作っておいた方がいい。一応あちらの世界に、体の見た目を変える店がある。かなりの額を請求されるが、熟れた頃にはそれくらいの金は手に入っているだろう』

「うう。仕方ない。わかりました」


 渋々ながら俺は自分の体を元にアバターを作成する。

 慣れるまで待っててね。俺のヒーロー像。


 暫くして、ようやく俺元のしっくりくるアバターが完成する。

 黒髪の髪は銀髪に変え、肩幅も少し広げて弱チビマッチョな見た目へと変わった。

 俺は小さい体になる宿命なのな。


『さて、これであらかたの初期設定は終えた。最後にジョブだ。君のなりたい職業を選びたまえ』

「待ってました」


 今度は何もない空間にウィンドウが表示された。そこには職とそれで提供される武器が描かれていた。


「おお!…お?おお?ん?」


 俺の探してる職は何度も言うようにヒーロー。なのだが、表示されてる職にそれらしいものが見当たらない。


「あのすみません」

『はいはい。何かな?』

「前情報でこの世界にはヒーローって呼ばれるジョブがあると伺ったんですが、見当たらなくって」

『ああ、ヒーローは進化後ジョブだからね。初期ジョブには設定されていないんだ』

「な、なんと!ジョブが進化するんですか?」

『うん。例えば剣士を選んだ人は妖刀使いとか聖騎士とかに…魔法使いを選んだ人はアークウィザードとかヒーラーウィザードなどにと、ジョブには様々な分岐が存在し、自身にあったジョブを選択して進化するシステムとなっている。君が望むヒーローは最高位進化ジョブだ。しかもどのジョブからも進化が可能だ。ヒーローは万能ジョブでもある。ヒーローに進化すれば、様々な武器、スキルを使うことができる。最高位の中でもかなり優遇されたジョブの一つだ』

「すげぇ!流石のヒーロー」

『但し、最高位ジョブはそう簡単になれるものでもない。実は進化するには、ただレベルアップをすればいいと言うものでは無いんだ。初期の分岐ジョブならそれくらいでできるが、上位に行くにつれ、進化には条件が含まれる。しかもその条件は人によってランダムと来た。例えば、先に出た剣士ジョブが聖騎士になりたいと言うのならば…そうだな。ダンジョンでレベルが一定より上のモンスターを1000体討伐とかが報告されている。最高位ジョブにもなると、その条件はかなりシビアなものになるね』

「おお!成る程…」


 これはやり込み要素もかなり詰め込まれているみたいだ。

 そしてこれは…かなりわくてかする。

 そりゃそうだよ!ヒーローがそんな一朝一夕で出来るものじゃない。どんなヒーローも、長く辛い経験を重ねて初めて本当のヒーローになるんだ!ゲームだからってそこは甘くないのですね。これは燃える!


「教えてくれてありがとうございます!俺、ヒーローになる為、がんばります!」

『うん。頑張ってね。んじゃとりあえず初期ジョブどれにするか選びな?』

「はい!」


 俺はとりあえず格闘系スキルに特化したファイターを選んだ。理由としては俺が好んで見てるものが、パンチャー系のヒーローが主だからだ。

 俺は規定事項とか主な話を聞き終わり、ようやくと俺はノアの世界へと行くのだった。


『ああ、そうだ。これを』

「?」

『ナビの玉だ。これから君が困ったときに助けてくれたりする。便利アイテム。道に迷ったりしたらこれを使いなさい。最後に一言。ノアの世界を思う存分楽しんでくれたまえ。未来のヒーロー』

「…はい!」


 そう返事をして俺は部屋を後にした。


「ここは…東京の駅?」


 目を覚ますとそこは見慣れた都会の駅…いや、違うな。

 空を見ると明らかに俺たちの住む世界とは違うものがあった。空飛ぶ車やバイクが空を走っている。

 よく見ると周りの街も俺が知る街より未来的になっている。

 それにこれがVRMMOの世界。肌に感じる風や匂いまでわかる。これが本当にゲームの世界とはな。


『ここは始まりの街『日本ネオトウキョー』となります』


 と手に持ったナビの玉がそう言った。


「ネオトウキョー…ね。なんか新鮮な感じだ。よく知ってる街並みのはずなのに…」

『オリーヴ様。メッセージが1件届いています』

「お?」

『読みますか?』

「うん」


『作成終わったら、駅近くにあるカフェまで来てくれ。店名は『スペースバックス』って店な。姉貴と待ってるよ タク』

「タクマからか。おっと!リアルネームを言うのはNGだな。気をつけよう」

『ギルドカフェ スペースバックスへの道を、ナビしますか?』

「うん。助かるよ」

『では、案内します』


 …これはかなり便利アイテムだな。こりゃ。


 街並みを楽しみながら、ナビ玉の案内で目的のカフェへとやってきた。若い子が集まりそうなお洒落な感じのカフェだった。俺も若いけどね。


「おーい!」

「ん?」


 俺に向かって手を振る人影があった。

 金髪のイケメン男だった。誰だ?


「あ、もしかしてタク?」

「俺の名前を知ってるって事は当たりだな。よかったー!5人目でようやく合ってたわ!」

「え?5人目?」

「タクったら、慣れない感じのプレイヤー全員に声かけてたの。下手なナンパみたいで運営に通報されるところだったわ」


 横に座ってる女性が笑いを堪えてるように笑っていた。


「ひか…姉さんだよね?」

「そうよ。名前はシャイニーよ。よろしくね」


 おお、ヒカリさんは普段、黒髪長髪の大和撫子って感じだけどこっちでは彼女ベースに髪を赤色に変えて後ろでまとめてる。ポニーテールってやつだ。


「お前は?」

「俺はオリーヴ。ヴはバ行じゃなくて、うの濁点ね」

「え?…料理の?」

「…うん」

「なんで?」

「あー、もしかして私の作った夕飯のせい?」

「ほかに思いつかなくて、俺の名字とそれで。美味しかったし。割と気に入ってる」

「そっか。お前がいいならいいや。てか、そう考えると俺だけ単純じゃね?」

「いいんじゃない。覚えやすくって。あんたらしいわ。単純バカっぽくって」

「ひどっ!」


 ヒカリさん、普段優しいけど弟のタクマに割と容赦がないんだよな。


「んでよ?姉貴、これからどうするんだ?」

「そうね。折角だしパーティー組んで、ダンジョンでも潜りましょうか。近くにいいのがあるのよ」

「お!いいね。早速モンスター討伐と洒落込もうぜ!」

「ああ!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ