初めて貰った バレンタイン
どうする どうする どうする どうする
貰った!もらった!
貰ってしまったぁ!
タオルを借りて
少し話をするあの子
気になってた 気になってた
もっと話をしたいな
もっと知りたい
一緒に並んで
あ、歩きたい……
そんな俺にやって来た
聖なるバレンタインー!
神様、ありがとうございます
心臓が、バクバク バクバク
そう!返事を!返事を!
しなくては
す、すすすす……
い、言える……のか?
俺は 悩みになやむ
夜を過ごし
ほぼ徹夜で 朝を迎えた
その日の授業は 覚えていない
小テスト?何を書いたやら
覚えてない
後で 追試の決定は わかっている
とにかく ギクシャク ギクシャク
全てが 固く 緊張の世界
い、いつ!いつ!いつー!
いつ、よ、呼び出し?こ、声かけ?
め!メッセージ!アカン
クラス連絡網だから
先生にも バレてしまうがなぁぁー!
俺はつくえの上に突っ伏して
腕の隙間から あの子をうかかがう
友達の子といるなぁ、うぐ!
その子が俺に突き刺す様な
視線を送る、早く言え!
そう言葉が槍になり、飛んできた
グサリ!と突き刺さる
どうする どうする どうする どうする
言わなきゃ 言わなきゃ 言わなきゃ
周りを見れば それとなく
ほんわかムードの 友がいる
くっ!アイツ いつの間に
返事をしやがったのだー!
ほ、放課後、放課後、放課後
俺はそう決意をすると
チャンスを伺う。
神様 かみさま!力を貸してくれ
なのに やってしまった!
気がつけば あの子の姿がない!
慌てて俺は
君の部室の方向へ向かう
心臓が、バクバク バクバク
お願いだから
そこまでの間にいてほしい
そして追い付いた 間に合った!
かみさまが チャンスをくれたかな
あ!あの!あの!待って……
後ろ姿をとらえて 声をかける
振り返る
ちくしょー!足が震える!
唇を嘗めて 一世一代 大勝負
あ、あの!ありがとう!
ウウンと 赤くうつむき
頭を振る
流れる
ぎこちない
沈黙
……!
おわ!どう言えば!どう言えば!
俺は言葉に詰まる
早くしないと、じゃぁって
このまま去ってしまう
なので、なのでー!
俺は手を差し出した
そして
よろしくお願いします!
一礼と共に 頭を下げた
情けないがこれが
俺の出来ることの
精一杯なんだよ!
だから かみさま 神様ー!
この想い この子に届けてくれ。
そして 俺は
閉じていた 目を
そろっと開けて
顔を上げ
……見る。
気になるあの子は
とびっきりの笑顔で
真っ赤になって
あ、ありがとう
うれしい
よ、よろしくお願いします!
ぐ!か、可愛い
もう、俺……
ここで死んでも いい。