ダイヤモンドの女神は微笑む
有紗は飛び出して行った。今まで一番輝いていた。
「さて、練習に戻れよ」
は~いとそれぞれがそれぞれの練習をしに戻る。
始まりはひとりの少女の涙だった。
―――女の子は野球をやっちゃダメなんですか?
その少女の言葉が俺を野球の道へ再び加速させた。
大嫌いな野球の神様に苦しめられた俺と同じ道を辿らされそうになっている少女。
そんな野球の神様に抗うように仲間を集めてチームを作って試合をした。
大敗した。野球をするだけじゃあダメだ。
少女は集めた仲間をひとりひとり回って頭を下げて野球の楽しさを必死に伝えた。
そして、仲間たちはそれぞれの個性を生かして最後まで喰らいついた。
再試合は熱戦だった。
結果は負けしてしまったが、集まった仲間たちはまた集まってきた。
野球をするために。
今ならしっかりと答えることが出来る。
野球を諦めていた俺が野球をし始めて、迷いもなく少女に言うことができる。
「お待たせしました!」
元気良く走ってきて敬礼をする少女。
「おう!」
「じゃあ!走ってきます!」
「そうだな。それで―――」
ふたりで、みんなで。
「野球をしよう」
「はい」
少女の微笑みは眩しくて直視したら目がくらみそうだった。
でも、俺はしっかりと目に焼き付けた。これからずっと先も彼女が野球をしてあんなふうに笑えるように俺はこれからできることは何でもやろう。
ここに野球の神様はいない。女神がいる。誰もを魅了するダイヤモンドの女神がいる。
これは野球の神様に嫌われた俺とダイヤモンドの女神が楽しく野球をする物語である。
―――カキーン。
そして今日も甲高い金属が鳴り響く。当たり前のように―――。
『ダイヤモンドの女神』最後まで読んでくださってありがとうございます。
私も小学生の頃は野球をしていました。今はまったくやっていないんですけど、野球はすごく好きです。
だから、野球を題材したお話を描いてみたいと思ったのがこの話です。
野球は9人でやるスポーツで、誰も欠けちゃいけない、みんな大切なピースだよって思いで描きました。
誤字とか脱字とか相変わらず多いと思うんで、見つけたら教えてください。
最後に、繰り返しになりますが、読んでくださってありがとうございます。
これからも気が向けば、新しい話を作って投稿しようと思いますので、宜しくお願いします。




