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ダイヤモンドの女神  作者: 駿河ギン
1章 大嫌いな野球の神様は
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双子、神野ツインズ

「連絡付いた!まだ、学校にいるみたい!急ごう!」

 と駆け足で廊下を駆ける少女、凜子の後をゆっくり歩いて追いかける少女、有紗と俺は体育館から隣の校舎に移りに階に上がる。放課後で静かな校舎は俺たちの足音だけが響く。再び少女、有紗とふたりっきりになる。ここでさっき聞きそびれたことを再び問いかけてみる。

「えっと、君は」

「有紗でいいですよ。あ、そういえば、ちゃんと自己紹介していませんでしたね」

 話がそれる。

「私は綾元有紗です。15歳です」

 15歳を若いなって思えてしまう年になってしまったのか。

「で、いつも元気で行動が早いけど、忘れるのも早い凜子ちゃんが林田凜子って言います」

 さりげなくひどいことを言っているように思えるが事実なんだろう。実際、俺の名前を何度忘れたんだよ。あいつは。

「改めて不束者の私たちにどうか野球を教えてください」

「俺はまだやるとは決めてないからな。バイトも忙しいし」

「…そうですか」

 しょぼくれてしまう少女、有紗。喜怒哀楽が激しい。というよりもなんか打たれ弱いというか、ダメだと思ってしまうと諦めてしまうようなそういう性格なのかもしれない。

「それよりもえっと、有紗は、君は」

 と本題に入ろうとしたとき、階段を上りきってある教室の前で少女、凜子が頬を膨らませて待っていて再び邪魔される。

「遅い!」

「凜子ちゃん。廊下は走っちゃダメなんだよ」

「事は一刻を争うの!」

 そんなに急いでやることか?

「さぁ!入ろう!」

 と勢い良く教室の戸を開けると複数の少女が楽しそうにおしゃべりをしていた。

「きたよ!」

 と少女、凜子が手を振って呼ぶとふたりの少女がおしゃべりを中断してやってきた。そう、顔がまったくそっくりなふたりの小柄な少女。ひとりは髪を右にまとめて、ひとりは左にまとめている。高校生なのにまるで小学生のような顔立ちのロリっ子少女たち。

「おー!凜子ちゃん!」

「と有紗ちゃん」

 そして、ふたり同時に俺の方を見る。

「「この人誰?」」

 はもるな。

「コーチだよ!」

「ということは!」

「ついに野球部が動き出すんだね!」

「そうなんだよー!」

「「いえーい!」」

 もう、喜ぶ姿を見ても小学生にしか見えないのは俺だけか?

「つか、俺はまだコーチになるなんて」

「今日からうちのコーチをやってくれるこの人が…松野浩一郎さんです!」

 最初の松以外一文字もあってないぞ!

「松葉俊哉さんだよ。凜子ちゃん!いい加減に名前覚えてあげてよ!コーチになるんだよ」

 もう、ここまで来ると少女、凜子は俺の名前覚えるきないだろ。あと、勝手に話を進めるな。

「双子の姉の神野右樹です!」

「妹の左樹です!ふたりあわせて!」

 背中合わせになって腕を組んで手を振る。

「「神野ツインズで~す!」」

 しばし、教室に静寂が支配する。何?今のアイドルみたいな自己紹介は。

「仲良くしてあげてください」

 有紗さん。それはフォローになってないから。

「つか、やっぱり双子か。どっちが姉でどっちが妹かややこしくなるくらい似てるよな」

 ここで話を流れを変えて微妙な空気を切り替える。これが大人のフォローの仕方だ。

「右に髪を結ってるのが姉の右樹で!」

「左に髪を結ってるのが妹の左樹だよ!」

 それ髪を下ろした途端わからなくなる奴だろ。

「早速今から練習するから!」

 と元気良く合図を送るとそれに神野ツインズも答える。

「おっしゃー!」

「任せろー!」

 と元気良くバックを持って飛び出して言った。

「おい。待て、俺はまだコーチに」

 と俺の声を掻き消すように神野ツインズが同時に喚く。

「そうだ!」

「そうだそうだ!」

 もう、声もいっしょだからどっちがしゃべってるのかわからない。

「なっちゃんと桃香なら美術室にいると思うよ!」

「コンクール終わったばっかで暇だと思うし!」

「ありがとー!また、後でね!」

 と元気たっぷり3人娘を見ているとこっちまで疲れそうだ。

「というか、俺はまだコーチになるって了承してないぞ」

「え?そうだっけ?」

「覚えてないんかい」

 駆け足で少女、凜子は階段を駆け上がっていく。

「ごめんなさい。本当に凜子ちゃん忘れるの早いから」

 いや、覚える気ないだけだろ。

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