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ダイヤモンドの女神  作者: 駿河ギン
5章 今度は負けない
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6回表 満身創痍

 そうだよな。

 考えが安易だったこと、不甲斐ない自分が情けなくて声も出ない。

 雪音と対した四之宮のコントロールは今まで一番良い精度というわけではなかった。いつも通りの剛速球。それが甘いコースに来た。だが、雪音はそれを捉えられなかった。バッティングセンターで早い球を打ち続けて練習していたのはわかっていた。だから、初回立ち上がりで不安定な四之宮からヒットを打つことが出来た。

 それはまぐれだったというのか?

 まぐれじゃない。彼女たちはこの日のために必死に練習してきた。その成果だと俺は言ってやりたい。でも、この世の中練習した分だけ結果がついてくるわけじゃない。練習しても勝てないときは勝てないし、うまくいかないときはうまくいかない。それを誰よりも俺自身が知っていた。だから、彼女たちに練習の成果だといってやることが出来ない。

 事実、実力というものが点差として顕著に現れているではないか。

 6回表の守り。

 良長川女子野球クラブは下位打線から。先頭バッターは8番、八王子。上位打線に比べて決して厄介なバッターではない。だが、回を追うごとに蓄積されて行くダメージが彼女たちを襲う。

 カキーン。

 八王子が打った打球は二遊間へ。若干セカンドよりだった。右樹の守備範囲内だったが、捕るよりも投げることを意識したせいで捕球し損ねた。

 エラーで出たランナーを確実に帰すために9番の九条は送りバントをした。バント処理の練習なんてしていないメンバーはバント処理にもたついた。だが、バントの構えをしてバットに当てた瞬間、ミキがすぐにマスクを脱ぎ捨ててボールを捕る。セカンドには投げられずファーストへ投げて確実にアウトをひとつ取る。

 バッターは先頭に帰って一瀬に。粘りに粘られて甘く入ってきたストレートを弾き返されてライト前へ。セカンドランナーの八王子は一気にホームへ向かう。桃香の投げる力では到底間に合わず、再び追加点を取られた。

 ここまで初回以外はすべての回で点を取られている。これが実力なのだ。

 その後、2番二葉をサードフライに。3番三村をセカンドゴロに打ち取って良長川の攻撃を終える。今までなら意気揚々と攻める姿勢を見せていた星美高校ナインだが、皆満身創痍でそれどころではなかった。

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