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ダイヤモンドの女神  作者: 駿河ギン
2章 少女は野球を始める
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先生は変態

「ということがありました」

「気にしてくれているだけでいい」

「肝心の練習には来てくれませんでしたけど」

 そう先生とふたりでキャッチボールをしながら昼休みにあったことを話す。相変わらず、観月さんは練習に来てくれない。

「つか、観月さん以前になんか人少なくない?」

「……そうですね」

 今日、練習に来ているのは神野ツインズと恵美ちゃんだけだ。

「凜子ちゃんは陸上部のほうに、雪音さんもバスケ部のほうに。桃香ちゃんとなっちゃんは美術部の集まりで今日は練習に参加できないって連絡がありました」

 これだと練習にならない。

 神野ツインズはいつも通りスーパーボールでキャッチボールをしてまじめに練習しないから恵美ちゃんが怒るんだけどどこまで自由な双子はそんなのお構いなし。

「今日の練習は中止にするか」

「え?」

「観月さんはまだ帰ってないだろ」

「なんでわかるんですか?」

「いつもグラウンドの脇の道を通って帰ってる。今日はその姿を見てないからな」

 一瞬ストーカーかなって思ったことは内緒にしておこう。なんでそんなに詳しいのか怖い。

「恵美には俺から伝えておくから着替えて。手伝って欲しい」

「え?何に?」

 先生時々変態発言するから少しだけ覚悟をする。

「観月さんがどうしてそこまで野球をすることを無駄って言うのか、何か理由があるんじゃないか?いつも忙しいって言ってるし」

 確かに帰りを急ぐように小走りで帰っている姿を部活が始まる前からよく見かけていた。髪の色が色だけに目立つから。

「あまり私情に踏み込むのはよろしくないけど、このままだと試合もままならない。ソフトボールをやっていたのなら大きな戦力になる。どうしても彼女には来て欲しいんだ。有紗にもっとピッチャーとしていろいろと教えてやりたいから」

「え?」

「有紗には足りないものがたくさんある。それにまだ15歳だ。どれだけ吸収してどれだけ成長するのか見るのが楽しみなんだ。そのためにはチームの不安要素を少しでも取り除く必要がある。観月さんの加入はするのとしないのとでは大きく違ってくる。このチームの今後が」

 経験者が私ひとりでは難しいって先生も感じているんだろう。素人7人を教えるには付きっ切りに教えるしかない。そうすると私のレベルアップに繋がらない。それは今までひとりで練習してきたことと変わらないから。

 先生は私のこととチームのことを考えている。あれだけ拒んでいたコーチを全力で取り組んでいる。手助けしないわけがない。

「何をすればいいんですか?」

「観月さんの後をつけて彼女が野球を拒む理由を見つける」

 つまり、ストーカーをするわけですね。

「先生って変態なんですか?」

「なんでそんな結論になるの?」

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