8話 1年後
8話 1年後
あれから俺は、強くなるために魔物を狩り続けた。
最初の一ヶ月は、”不死身”を良いことに昼夜問わず殺し続けた。
腕を食われても、足を切られても、体を腐らされても、何をされても狩り続けた。
おそらく狂っていたのかもしれない、いや狂っていただろう。
そして、さすがの空腹で気絶し、寝ながら魔物の肉を食い続けた。
そして、五日間寝続けた。
それからは、三日に一度は寝て。
飯は、狩った魔物の肉を生で食った。
最初は、生臭くて気持ち悪かったが、次第に慣れた。
そんな生活を半年間続けた。
もうその時には、超級の魔物を正面から単体でならギリギリ相手にできた。
そして、それまで使っていたバタフライナイフを使うのを止めて。
半年間狩り続けた魔石を3/2ほど消費し、『黒刀 夜叉姫』を創作した。
夜叉姫は、特にこれといった特殊能力はないけれど、使用者の戦闘能力によって強化されるという刀だった。
漆黒の鞘に白いラインが入っており、柄は白を基調に黒い布が巻いてあった。
刀身は80センチはあって、漆黒色で紅色のラインが一線入っていた。
そして、それを使ってまた魔物を狩った。
狩った魔物の数が2万を超えたあたりから、戦闘スタイルが決まり始めた。
夜叉姫を使った、抜刀術を主体とした戦闘を気に入り始めた。
そして、スキル『刀術』が『抜刀術』になり『二刀流』になった。
なぜ、二刀流になったのかはわからないが、おそらく上位変換だろう。
そして、スキルが全てでは無いと知った。
いくらスキルがあっても、それを使用者が100%力を引き出せるとは限らないと。
なぜ気づいたかは、オークと呼ばれる魔物が剣術のスキルを持っていて。
それなのに、明らかに強さが違い、マルコに理由を聞くと。
『それは、強い方の魔物が長生きで経験を積み、剣術をスキルではなく自身の力として鍛えているからだろうな』
それからは、魔物を狩るのを止め、ただ無心に刀を振った。
それこそ、昼夜問わず振り続けた。
半径五メートルの輪から動かず、刀だけを振り続けた。
そんな生活を3ヶ月ほど送った。
その時には、最初に魔物を殺してから11ヶ月経っていた。
そして、刀術が人の身で到達できる限界を超えていた。
頭の上から振り下ろした刀の刀身が肉眼では見えなくなり、音を置き去りにした。
抜刀が、神獣マルコの目を持ってしても見えない速度になってしまった。
納刀状態からの抜刀を、機械のようにただ繰り返し続けたからだろう。
刀を振っただけで、簡単な竜巻が出来上がるほどに。
そして、その時にはもう超級級の魔物を単体で正面から一瞬で殺せた。
相手はトロールと呼ばれる、ゴブリンの上位変換の様な魔物を一瞬で殺した。
索敵で探し、おそらく超級では上位に入るトロールを一刀で殺した。
それからは、歩行術や様々な超近接格闘術をスキルでは無く、技術として鍛えた。
そう。スキルでは無く、自分の”技術”として。
俺は、スキルをあまり信じていない。
いや、それは違うな。
おそらく俺は信じるとゆう感情が欠落している。
何かを信じれば、裏切られる。
それがまるで、一定の決まり事のように、一種のルーチンワークの様に。
だからおそらく、この先一生何かを信じるとゆう事は無いだろう。
誰かと行動することはあるだろう。
だがそれは、相手と俺の利益が勝った時だけだろう。
マルコの事も、俺は戦闘を教えてもらう対象程度にしか思っていない。
マルコの事は嫌いでは無いだろう、ただ人質に取られても何とも思わ無い。
目の前で殺されても、おそらく何も感じ無いし思わ無いだろう。
しかししょうがない、だって俺は全世界に嫌われる存在なのだから。
マルコはただ、”面白そう”とゆう感情が俺の事を”嫌い”の感情を一時的に上回っているから、一緒にいるだけなのだから。
だから、スキルは信じ無い。
俺は何も信じ無い。
そんな事を考える事が増えた。
そして、初めて魔物を殺してから丸1年たった。
髪の毛は胸あたりまで伸び、それを後ろにまとめて前髪は眉毛あたりで切った。
右目には黒い皮の眼帯を着けている。
目は、実際に刀で刺し潰した。
右目を見えなくするのは、一種のハンデだ。
(右目の負傷は不死身と自己修復の所為で治ってしまうので、マルコに頼み潰した瞬間にその部分だけ時間を封印した)
なぜこんな事をするのかは、すぐわかる。
身長は全く変わら無い、おそらく一生変わら無いだろう。
筋肉が付き、引き締まった体にはなったが、身長は一生変わら無いだろう。
服は、気にして無いのでマルコがスキルで作った服を着た。
黒い皮靴に灰色のズボン、黒の襟の付いたシャツに灰色の外套を着ている。
そして、武器は刀では無く、大鎌を背中に背負っている。
漆黒の刃に、持ち手は包帯の様な物で巻いてある。
2メートル程ある為、斜めに背負わ無いと地面についてしまう様な。
なぜ、刀では無く大鎌を使うのかは、すぐにわかる。
そして、マルコと言えば。
何も変わら無い。
強いて言えば、最近面倒くさがりになった。
と言うか、俺を馬鹿にし始めているのか。
何かと言えば俺を使う様になった。
やれ、飯を作れ。
やれ、何々しろと。
まあ、そのくらいの事は多めに見ている。
そして、マルコと会い初めて魔物を殺して1年。
俺は強くなった、『ステータス』はこの様になっている。
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零識白夜 16歳 レベル:4790 ギルドランク:ーーー
二つ名:瞬速の超絶者
スキル:隠蔽・索敵・空歩・瞬歩・暗殺術・二刀流・格闘術
言語理解・自己修復・痛覚軽減・重圧・殺気・
エクストラスキル:七雲創刀・十六夜武具・物質生成
アイテムボックス・自動素材回収
オリジナルスキル:武具創作・不老不死
種族:不死族
職業:剣豪
状態:平常
筋力:37452
体力:41643
俊敏:73492
魔力:189341
魔法耐性:37842
打撃耐性:59272
魔法属性: 闇・雷・氷・時空
使用可能魔法:
『闇』ダークネスフォース・エクリプスフォース・暗黒世界
『雷』ライトニング・・サンダーストーム・雷神轟雷
雷獣召喚・
『氷』アイジング・コキュートス・永久凍土・ブリザード
ブリザードカラミティー・
『時空』転移・リターン・タイムストップ・メテオインパクト
所持武器:バタフライナイフ(A+)(使用者の強さに応じて強くなる)
『黒刀』夜叉姫(S+)(使用者の戦闘能力によって強化される)
『死神鎌』デスサイズ(SSS+)(相手の存在、精神・魂を刈る。輪廻の輪から外れる)
称号:勇者・疫病神の寵愛・不幸の体現者・耐える者
超える者・超絶者・不死鳥殺し・竜殺し・殺戮者・冷徹者
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ステータスは大きく変わった。
まずは、人間では無くなり、不死族になった。
不死族には、スキル『不死身』が『不老不死』になった時になった。
だから、外見は変わってい無い。
スキルや魔法属性も増えたし、全てのステータスが大幅に成長した。
詳しい事は説明しないが、おそらくこの世界で俺に勝てる生物は数える程度だろう。
いや、いるか確実に22人が。
俺と同じ異世界から来た人間達が。
俺より強いわけ無いか…。
だが、それもどうでもいい事だ。
それに、確実に俺よりも強い生物は確かにいる。
マルコや七つの大罪と呼ばれる魔物や、他にもいるだろう。
そして今日、この島を出る。
俺は、強くなる為にここを出る。
なぜ、七つの大罪の居るこの島を出るのかとゆうと。
ここに居る七つの大罪が一柱、怠惰を司る”奴”だった為だ。
七つの大罪の中で、怠惰が一番強いそうだ。
怠惰の”奴”は基本何もし無い、何もし無いし動かない。
ずっと横になってる、それを俺は見た。
とゆうか、怠惰の”奴”とは知り合いだ。
どうしてそうなったかは、まあ今度いつか話すかもしれ無いな。
ただ、あいつを一言で表すなら『絶対王者』
傲慢よりも傲慢で、暴食よりも暴食で、憤怒よりも憤怒で、色欲よりも色欲で、嫉妬よりも嫉妬で、強欲よりも強欲で、全生物の頂点に立つに相応しい強さだった。
ともすれば、神さえも殺せるほどに、いや殺したそうだが。
だが、彼奴の根本は”怠惰”なのでマジモードの時以外は、生きる屍のようだった。
そのため俺は、この島から離れ旅をする事にした。
だって、彼奴話しかけても『お』『ん』『そ』しか話さ無いんだもん。
だから、島を出る。
そしてその時思った、俺は強くなりすぎて全力を出す事が出来無いのでは無いかと。
だから、俺は片目を見えない様にし、刀では無く大鎌を使う様にした。
そして、魔法の使用をほとんど使用禁止にした。
それはなぜか、俺が強すぎるからだ。
いや傲慢ではなく、実際にこの島を出れば自動的に俺が強くなる。
いや違うな、俺が強くなるのではなく、俺以外の殆どが弱いからだ。
相対的に俺が強くなってしまうのだ。
俺は力を封印し、それを解放する時の為の決まりごとを作った。
(一回の戦闘で)
1、俺が、四肢のどれかを二回以上損傷した場合、片目の封印を解く。
2、俺が、戦う前に危険だと思った場合、片目と魔法の封印を解く。
3、生存の危機に陥った際、刀の使用を許可する。
4、俺が、本気で戦いたいと思った相手の場合、全ての封印を解く。
5、マジで面倒くなった時、全封印を解放。
これらが、俺の決めたルールだ。
めちゃくちゃ甘い条件だが、まあいいだろ。
もしかしたら、片腕を切り落とし、隻腕になるかもしれ無い。
それくらいしなければ、俺は退屈で”世界を壊して”しまう。
だから、俺は………まあいいか。
そうこうしている内に、俺は島を出る準備を全て整え終わった。