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第7話

お久しぶりです。この作品では1年ぶりですね。ごめんなさい。そして、そんなに字数多くない。ごめんなさい。



起きるとそこは異世界だった。



なんていうライトノベルが流行っていたが今はどうなんだろう。

皆さんおはようございます。1年ぶりの7話目でやっと2日目です。って俺、誰に言ってるんだろう。


まぁそれはさておき。

起きたら記憶も日常も戻ってるんじゃないかと思ってた時期が俺にもありました。昨日運び込まれた家具を見なければ。

何時なのか全く分からない。窓もないから朝なのか夜なのかも見当がつかない。

「起きなきゃ…」

身体を起こせばほとんど真っ暗な部屋になんとなく不安になる。


外、行かないと。


そう思うと行動は早い。玄関に歩いていく。でもドアノブに手を掛けたとき間の抜けたチャイムが鳴った。


ピーンポーン……。


誰…だろう。あぁでも、開けなきゃ。

「どなたですか?」

そうして開けたドアの前に立っていたのは

「大丈夫?顔色悪いよ?」

大きな喋る犬でした。そこからの記憶がさっぱりです。



「で、大和が倒れたからここまで運んできたけど……多分色々なことが一気に来すぎて疲れたんだろうね。昨日倒れなかっただけでもすごいことだと思うよ」


「俺も…そう思います」

俺は今、ベッドに逆戻りしている。キッチンでは喋る犬が何か作っている。いや…喋る犬じゃなくて……。

「狛先輩はどうしてここに?」

そう疑問を投げかけるとあからさまにビクッとした狛先輩。「先輩」慣れしてないって確か言ってたな。えっと…あぁ専務だ。


「僕は今日から大和の教育係だからだよ。今日の朝に専務が来て『教育係よろしく』って言いに来たから」


……そうなのか。やばい…頭がぼーっとしてきた。えっとなんであの犬じゃなくて狛先輩は喋ってるんだっけ?えっと…そうだ犬族だって言ってたな。いや…俺が見てきた普通の犬も犬族に入るよな。あれ、普通って何だ?まずなんで俺はここにいるんだっけ?えっと……


「俺誰だっけ?」


「ルート課新入社員で記憶喪失の大和だよ。ここは昨日大和が住み始めた社員寮の部屋。今日は買い物に行くから食べながら何買うか決めよう」

少し離れた場所から味噌汁の匂いがした。振り返ると味噌汁のほかに焼き魚やご飯もある。ぼんやりしていた頭が一気にお腹に伝えたのは


ぐぅきゅるるうぅぅぅ。


まぬけな腹の虫に狛先輩は腹を抱えて笑っていた。



「おっまえ、ほんっとう面白いよ。いきなり変な質問するわ腹の虫は鳴らすわ、さては前世お笑い芸人だな!」

「知りませんよ、そんなこと。俺だって鳴らしたくて鳴らしたわけじゃないんです」

一通り笑い終えた狛先輩と朝食を食べる。さっき時間を聞いたら9時30分頃だと言われた。10時には買い物に行くつもりらしいのでそれまでに買い物リストを作っておく。


「食器類と調理器具、あとは歯ブラシとかタオルあたりは必要だね。まぁ日用品店には行くつもりだから。あとは服と…」

「目覚まし時計ですね。時間とか分からないので」

「そうだね。でも一式揃えるとなると10万はするんじゃない?」

大きな前足?手?がメモ帳に書いている姿は滑稽だったが、その割には綺麗な字なので驚く。もともとの性格からなんだろうか。


「それに関しては心配しないでください。俺、借金100万以上あるんで」


笑顔で言った一言に狛先輩がぎょっとする。驚かないようにと思って笑ったが逆効果だったらしい。

「まぁ…社宅者が通る道だしね」

遠い目をする狛先輩にあっこの人も、と察した。人じゃないけど。


それから朝食を食べ終え、買い物へ行く準備をしていたのだがあることに気付き狛先輩に尋ねた。

「狛先輩、ここら辺って買い物する場所ありませんけどどうするんですか?」

「あぁ、妖街あやかしがいに行くつもりだけど?」


……ちょっと俺には理解が追い付かない。


「アヤカシガイ?」

「ごめん。要するに妖怪達が住む世界の街に行くんだ」

「ヨウカイタチガスムマチ…ですか」

「そう。昨日ザシキワラシっていう引っ越し業者が来たよね?あれはここのスタッフでも専属でもなくて、その妖怪の世界の会社なんだ。その世界の話は後で話すよ」

俺を置いてけぼりにする狛先輩はきっと確信犯だ。そしてそれを右耳から左耳に流してる俺も俺だ。


身支度が整い、あらかじめ渡されていた鍵を取り出す。すると狛先輩に、ここはオートロックだと言われた。

「ここから直接出勤する社員もいるからやり方見て覚えといてよ。でも鍵と社員カードは持っておいて」

「…?はい」

狛先輩はドアの横に備え付けてあったタブレットみたいなもんに「妖界 妖街」と入力した。

こんなのあったのかって感心しながら見てる俺はまだ状況が掴めてない。

「行きたい世界の名前、行きたい場所の名前を入力する。で、この完了ボタンを押してドアを開けるとその世界に繋がってるわけ。遊びで使うととんでもないことになるらしいから気を付けて」

「とんでもないことって何ですか?」


「僕はしたことないから分かんないけど、遊びで使った社員がそのまま行方不明になったって聞いた」


何でもないように言ってるけどそれって結構ヤバいんじゃないか。あと、流しちゃったけど使い方メモりたい。


「じゃ、開けるよ」

完了ボタンを押した狛先輩がドアを開く。

すると外は昨日見た廊下ではなく、よく分からない者たちが歩いていた。よく分からないというのは人らしい者や二足歩行の動物、ちょっとグロテスクな者までいる。多分、あれらが妖怪なのだろう。


一歩外に出てみると、どうやら使われなくなった建物のドアらしい。ふむ…

「どこ●もドアではなかったか」

「ド●えもんが仕舞っちゃうから、どっちかっていうとハ●ルの動く城のドアだね」


冷静な対応に「こっちでもそういうのあるんですね」と動揺を隠せない。


「その世界に行きたいっていう死人もいるから。まぁ、そうでなくてもこっちでも人気なんだけどな」


「僕、『もの●け姫』好きなんだよね」と話す姿は犬である。今日は黒の着物に深緑の羽織を着ている。普段着だろうか。


「ここは妖界あやかしかい。さっきも言ったけど妖怪が住む世界だな。いろんな職種があるけど、大体の妖怪が『地獄』に勤務してる」


「へぇ~。あれ?でもここって地獄じゃないですよね?それに、同じ名前の世界があったらどうなるんですか?」


歩き始めた狛先輩の隣を歩く。およそ2メートルもあるせいかずっと見上げている状態だ。首辛いわ。


「ここが地獄の近くにあるのが答えかな。もともとは地獄だったところを妖怪の世界っていうか国にしたわけ。

あと、僕たちがドアから行ける場所は限られてるから死人が行く場所には9割がた行けない。ただ、ここにいる妖怪たちのほとんどはルート課を通ってるしルート課の存在も知ってる」


2足歩行の狐のキャッチセールスを無視して話し続ける狛先輩。人間だったら絶対イケメンの部類に入るな、この人。人じゃないけど。


「複雑ですね」

「そうだね。僕も最近やっと分かり始めたからすぐ理解しなくていいと思うよ。それに今は買い物だ。難しい話をしてごめんね」

「いっいえ。丁寧で分かりやすかったです」


そう言うと、しっぽが視界の端でブンブンと揺れていた。本人は「ショッピングモールに行こうか」と顔一つ変わらない。もしかして…嬉しいのか?


えっ、なにそれ可愛い。


と、口に出さなかった俺はすごいと思う。



























大和と名付けられた人間の教育係に任命された。


専務から告げられた仕事に昨日の男を思い出した。

どこにでもいそうな日本人だった。何か特筆してるわけではなさそうな平凡な人間。喋り方は少しオドオドしていて、僕と対峙したときのやつらと似ていた。


「大和君は記憶喪失だから、最初は混乱して自分が分からなくなってるかもしれない。その時は『お前は大和だ』って言ってあげてくれる?」


専務の言葉に「分かりました」と告げた。それから、作ったお弁当を渡すと「いつもありがとう」と微笑まれた。そうして仕事に行く姿を見送った。


朝のことを思い出したあと、隣を歩く大和に視線を向ける。きょろきょろと辺りを見回す姿は好奇心や恐怖、異形の者を見ている感情でコロコロと変わる。

ただ、昨日と変わったのは僕を見る目だ。オドオドした様子は最初こそあったが、それもだんだんとなくなり「先輩」として見る目になっている。


順応力が高いのか、肝が据わっているのか、はたまたこんな場所だからか。

こいつが生前どんな人生を歩んだのか分からないが、末恐ろしいところがあるのは事実だ。


教育係に選ばれた僕には指導ともう1つ、監視の仕事がある。なんせこの職場は1癖も2癖もあるやつらの巣窟なのだから。


こいつにもきっと何かあるのだろう。平凡で覆われた非凡の本性が。



伏字って難しいし、まず出していいのかすら怪しいですよね。ちなみに作者は「猫の恩返し」が好きです。バロンイケメェン・・・(^p^)

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