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7月
6月に入って、年下の同僚の妊娠が発覚し、貴子は元の職場に戻ることになった。
元の職場に戻ると、あれもこれもやらなければならい状況になっていた。
貴子は、普通の人間なら何とも思わないことでも気にしてしまう完璧主義である。
貴子にとってもは仕事は山積みだった。
心理的に最悪の状況なので、仕事も要領よくこなせない。
勤務時間中は必死に仕事をし、できるだけ残業し、やりきれなかった仕事は自宅に持って帰って何とかこなしていた。
残業代は全く出ないが「こなせないのは私が仕事ができないせい」と、誰にも言わずこっそり残業していた。
そうしているうちに、少しだけ自信が出てきた。
"なんとか仕事をこなせている”という結果が、貴子に自信を持たせたのだ。
やる前からできないと思って尻込みしてしまう貴子には、その結果は予想外だったのだ。
要領が悪くても、その分時間をかければいいのよ。
そう思えるようになった。
職場の同僚も、貴子を評価しているような雰囲気になっていた。
目の前の仕事を必死にこなし、7月は過ぎた。