3月
「卵巣嚢腫・子宮内膜症と診断されて」の続編です。
紺野貴子は、36歳独身である。
35歳の半ばに、卵巣嚢腫と診断され、腹腔鏡の手術を受けた。
順調に退院し、職場復帰を果たした。
再発予防に、ルナベルというピルを飲んでいたが、体調は良好だった。
これで普通の生活が送れる。
当たり前のことが当たり前にできる幸せ。
それを喜んだのは、少しの間だった。
その後、自分との戦いが始まった。
2月後半から、不安感に襲われ始めた。
2月24日、はじめて手帳に「不安感」と書き込んだ。
それからは、毎日のように「不安」、「落ち込む」等の言葉が続く。
ピルの副作用と思いたかったが、ピルの休薬期間も不安感はとれない。
この先の私に何があるのだろう。
他の人が輝いて見える。
不妊治療を頑張っていたり、子育てを頑張っていたり、何だかんだ文句を言いつつも皆やるべきことをやっている。
それに引き換え私は。。。
私は芯がしっかりしてないから。
そもそも私に芯なんてあるのかしら。
私のやりたいことって、何?
結婚したいわけでもない。
出産したいわけでもない。
彼氏はいる。
仕事もある。
ピルを飲んでいるが、健康である。
他の人から見たら、ただの甘えだろう。
暇すぎて、あれこれ考えるのだ。
何もしたくない。
仕事も行きたくない。
何もかもが怖い。
打開するため、ゴルフの打ちっ放しにも行ってみた。
思わず1万円のプリペイド券を買ってしまった。
ゴルフの打ち方なんて知らないのに。
行動がちぐはぐだった。
人生ではじめて、手相占いもやってみた。
疑り深い貴子は、元々手相占いなど半信半疑である。
何の解決にもならない。
誰か助けて!
36歳独身女子。
私は、何がしたいんだろう。
いっそのこと、死んでしまいたい。
3月は、そんな毎日だった。






