情報 [わかると怖い話]
タイトルに[わかると怖い話]と書いていますが、怖いかは正直微妙です。
加えて、小話にしては無駄に長くなったので、更に怖さ半減って感じです。
感想・助言をよろしくお願いします。
今日もいつも通り、意味があるのか無いのか解らない授業を受けるはずだった。
いつもと違ったのはホームルームに主担任ではなく副担任が来たことだ。
主担任は小言が多い中年の先生であるのに対し、副担任の先生は20代後半の若い先生だ。
年が高校生に近いせいか話も通じやすく、よく放課後に生徒とおしゃべりをしたりする。
ただし、主担任からは「学生気分が抜けてない」と怒られるらしい。
朝から主担任ではなく、副担任の先生だったので、今日は運の良さそうな日だと思っていた。
ホームルーム自体は出席をとって終わった。
そして、1限目の数学を受けている途中に、副担任の先生が息を切らせて入って来た。
先生が息を詰まらせながら言うには、今日欠席だった伊藤さんが遺体で発見されたらしい。
しかも出刃包丁で背中を3箇所も刺されていたらしい。
正直、ショックはあまり無かった。
殆どしゃべったこともない子だったというのもあるが、何より、同級生が殺されたなんて実感が湧かない。
そんなわけで、今日一日の授業は中止となり、親が迎えに来れる生徒は帰ることに成った。
「美野里~。お昼ご飯できたわよー」
「はーい」
呼ばれて2階の自室から1階のダイニングに降りる。
平日の昼間なのに、家でご飯を食べる。休日とはまた何かが違っていて奇妙だ。
『警察の発表によりますと、今朝7時頃に発見された遺体は○○高校の伊藤聡子さんだと判明しました』
「あ、伊藤さんの事件、また言ってる」
『○○高校に中継をつないでおります。現場の金村さんお願いします』
自分が通っている高校をテレビで見るなんて不思議な感覚だ。
『はい。えー、本日、発見された女性が通っていた高校の前に来ております。事件のことは既に生徒に知らせているとのことです。生徒の精神状態を考え、今日の授業は中止として、親の迎えがある生徒のみ帰宅をさせているとのことです。正門も裏門も硬く閉ざされており、生徒の様子はここからでは窺い知れません』
さっきまで友達とケータイで連絡を取り合っていたけれど、迎えが遅かった友達にはかなりメディアの人達が襲いかかってきたみたいで、帰るのに苦労したと愚痴をこぼしてた。
『えー金村さん? 伊藤さんはどういう生徒だったのでしょうか?』
『えー、はい。帰宅途中の生徒さんたちに窺ったところ、真面目そうな子だったとのことです』
『はい。ありがとうございます。えー、伊藤聡子さんは昨日、日曜日の昼に友達と遊んでくると言って出て行ったきり連絡がつかなかったそうです。警察の最新発表によりますと、昨夜の10時には捜索願いが出ていたそうです。遺体には鋭利な刃物で2、3箇所刺された痕があり、死亡時刻は昨夜の7時頃とのことです。遺体が見つかった場所ですが、・・・』
「怖いわねー。速く犯人を捕まえてくれないかしら。けど、警察の発表じゃ、まだ凶器の特定とかも出来てないんだって」
お母さんはそう言ってテレビを消した。
「・・・うん」
「美野里、大丈夫?」
「え? あ、うん。大丈夫」
「そう? なら、ご飯食べ終わったら洗濯物取り込んでちょうだい」
「え? やだ、そんなのお母さんがやってよー。いつもお母さんの仕事でしょー」
私はどこか違和感を覚えたが、直ぐに忘れてしまった。