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小噺3『ボッチ』

作者: usomuki
掲載日:2026/06/02

○『ボッチ』あらすじ

クラスでいつも一人で過ごしている男子生徒。本人は特に気にしていないが、周囲からは「ボッチ君」と呼ばれている。

ある日の放課後、それを心配した担任教師は生徒を呼び出した。そして、


「お前がいつも一人ボッチなのが心配だ。悩みがあるなら話しなさい。先生は、お前に絶望してほしくないんだ」


と優しく声を掛ける。しかし生徒は、自分が一人ボッチだとは認めようとしない。それどころか、


「絶望の『絶』は、『糸と色』から成るから、絶望とは、望みへと繋がるカラフルな糸、つまり、輝かしい未来が待っているんです」


と言い始めて、更には、


「僕は一人ボッチではありません」


と話し始める。それに対して、呆れた教師が、


「じゃあ何ボッチなんだ」


と尋ねると、生徒はニヤけて、


「ダイダラボッチです」


と言い出す。その理由を聞かれた生徒は、自分が発言すると教室が静まり返り、クラスの景色が一変することを挙げ、「景色を変える」という一点から、山や湖沼を作って、日本の景色を一変させた伝説の巨人・ダイダラボッチと自分は同じ存在だと主張する。それに対して、教師が否定しても、生徒はさらに、


ダイダラボッチは一人で山を作った

自分も一人で行動している

ダイダラボッチは巨大な存在だった

自分もクラスでの空気を一変させるぐらい存在感は巨大である

ダイダラボッチは人々に強い印象を残した

自分も発言すると、クラスでの空気を一変させるぐらい全員に強い印象を与える


と続けて、以下のような言い合いをした。


生徒「ダイダラボッチは足跡が湖になりました」

先生「お前の足跡は何になる」

生徒「穏やかな湖みたいな静かな空気になります」


や、

 

生徒「ダイダラボッチは山を作りました」

先生「お前が山に関するものなんか作ってないだろ」

生徒「山頂のような寒い空気を作りました」

先生「どっちも空気じゃないか」


このように、次々に無理な共通点を見つけては、「やはり自分はダイダラボッチだ」と珍説を展開していく。教師はそのたびに、


「それは友達がいないだけだ」

「誰もそんな意味で驚いていない」

「空気を変える話ばかりじゃないか」

「全部こじつけだ」


と反論するが、生徒は聞く耳を持たない。やがて教師が、


「お前はダイダラボッチなんかじゃない。ただの一人ぼっちだ!」


と一喝すると、生徒は急にうつむき、カバンから被り物を取り出して、それを被ると、肩を震わせ始める。教師は言い過ぎたと反省し、


「すまん、先生が悪かった」


と謝る。すると生徒は顔を上げ、被り物を外して、


「安心してください。泣いてませんよ」


と答える。生徒が嘘泣きしていたと知った教師は、軽く舌打ちをした。更に生徒は、


「ちなみにこれの名前を存知ですか?」


と聞いた。教師はため息をついて、


「知らん」


と疲れ気味に答えると、生徒は得意げに


「フロシキボッチ(風呂敷帽子)です」


と言い放つ。

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