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無能だと追放された令嬢、実は世界唯一の「土楼建築士」でした  作者: ☆もも☆


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第八話:その壁、反吐が出るほど安っぽいわ

演習場に、学院自慢の『自動攻撃魔導砲』が

重々しい音を立てて並べられた。


まずは、ゼクス・フォン・ロウが誇らしげに築いた、

光り輝く『多重屈折魔導障壁』への掃射が始まる。


ドォォォォン!!


猛烈な火球と雷撃がゼクスの壁を襲う。


壁は眩い光を放ち、最新理論の通りに攻撃を

あちこちへ反射(屈折)させて防いでみせた。


爆煙が晴れた後、

そこには一点の曇りもない硝子の壁が立っている。


「見たか! これが最新の魔導建築学だ。

 傷一つ、汚れ一つ付いていない!」


ゼクスが勝ち誇り、観客席からは

「これぞ次世代の守護だ!」と割れんばかりの拍手が沸き起こる。


次に、私の番だ。

私はステージの中央に、ただの魔法粘土を無造作に置いた。


そして、地道に、けれど淀みのない手つきで、

円環の一部を切り取ったような

「窓の少ない不格好な土の塊」を作り上げた。


「……ぷっ、あはははは!」


ゼクスが腹を抱えて笑い出す。


「おいおい、冗談だろ? 国家予算級の試験に、

 そんな泥団子を持ってきたのか? 恥を知れよ、田舎娘。

 そんなゴミ、魔導砲の風圧だけで砂に還るぞ!」


観客からも失笑が漏れる。


だが、エドワード教授だけは、

青ざめた顔でガタガタと震えていた。


彼は知っているのだ。


あの土壁が、大地の霊脈と直結している

「生きた城塞」であることを。


「(桃花、やってしまえ。

 あの腐った血筋に、本物の『重み』を分からせてやるのじゃ)」


「ええ、おじいちゃん。

 ……掃射、始めてちょうだい。最大出力でいいわよ」


魔導砲が火を吹く。


ゼクスの時を遥かに超える、

最大級の爆炎が私の土壁を飲み込んだ。


――ズゥゥゥゥン……。


不思議な光景だった。爆発音が響かない。


それどころか、攻撃魔法そのものが、

まるで底なし沼に吸い込まれたかのように、

静かに消滅してしまったのだ。


爆煙が消えた後、土壁は崩れるどころか、

炎のエネルギーを吸収して陶器のように

赤く、硬く、神々しく輝き、より強固な美しさを増していた。


「……なっ!? 攻撃が……消えた!?

  物理無効化どころか、魔力吸収だと!?」


ゼクスが椅子を蹴り飛ばして立ち上がる。


私は、肩のおじいちゃん猫を撫でながら、

冷たい目でゼクスの光り輝く壁を一瞥した。


「ふん。あんたの壁、変な臭いがするわ。吐き気がする。」


「な、なんだと……!? 僕の完璧な芸術品に向かって……!」


「計算ばかりで、住む人のことを

 これっぽっちも考えていない『虚栄』の臭いよ。

 そんな透き通った硝子細工に囲まれて、

 あんた、夜ぐっすり眠れるの?

  ――ああ、そういえば、あんたの先祖もそうだったわね」


私は、一歩ずつゼクスに近づく。


「人を騙して、奪って、見かけ倒しの権威を塗り固めて。

 そんな壁、私の土楼の足元にも及ばない。

 あんたの魔法は、ただの『自己満足』でできているのよ。

 ……安っぽいわね」


ゼクスの顔が、怒りと屈辱で土色に染まる。


「この……っ! どこの馬の骨とも知れん女が、

 僕の一族を侮辱するか! 今すぐその泥団子ごと粉砕してやる!」


「あら、そんな必要ないわ。

 ……今のあんたの壁、私の土壁が放つ『余波』だけで

 粉々になっちゃうもの」


私が土壁にそっと指を触れた、その瞬間。


土壁から同心円状に、

大地を揺らす圧倒的な「震動(脈動)」が放たれた。


パリンッ!! ガシャァァァァァン!!


耳を劈く派手な音と共に、

ゼクスが自慢していた最新の障壁が、

まるで安物の硝子細工のように粉々に砕け散った。


静まり返る演習場。


私は、腰を抜かした叔父の末裔を見下ろし、

おじいちゃん猫と一緒に悠々とステージを降りた。


「(ククク……桃花よ、最高じゃ。

 奴の顔、まるで腐ったカボチャのようであったぞ)」


「ふふ、そうね。……でもこれは、まだ利息分を

 返してもらっただけよ、おじいちゃん」


一族から奪われた誇りを取り戻す戦いは、

まだ始まったばかりだ。



ご覧頂き、ありがとうございますm(_ _)m

本日、第9話まで投稿します。

よろしくお願いします☆


明日は、最終話まで連続で投稿していきます。

12話で完結しますので、よろしかったらブクマをポチッと

して頂けると嬉しいです。(*^-^*)

よろしくお願いします☆


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