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無能だと追放された令嬢、実は世界唯一の「土楼建築士」でした  作者: ☆もも☆


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第六話:数千年の時を超えた邂逅

「……この、土の配合。まさか、そんな、馬鹿なことが……っ」


エドワード教授は、震える手で一冊の古びた手帳を取り出した。


それは彼の家系――かつて土楼の一族から分かれ、

知識を求めて街へ出た傍系に代々伝わる「秘伝書」の写しだ。


そこには、数千年も前の古語で、

もはや御伽噺として扱われていた予言が記されている。


『始祖の猫、黄金の瞳を持って現れん。その傍らに立つ乙女、

土を捏ねて城を成し、万物を癒やす円環を築く――』


エドワードは、目の前で鼻歌交じりに土を練る桃花を見た。


そして、その膝の上で、

傲慢なまでに金色の瞳を輝かせている三毛猫を。


(一族に伝わる迷信だと思っていた。

 歴史の闇に消えた、遠い神話だと。

 だが、見てみろ……あの猫の神々しいまでの毛並み。

 そして、あの少女が土を撫でる時の、

 魔法が『呼吸』しているかのような完璧なリズム。これは……本物だ)


エドワードの心臓が、早鐘のように打ち鳴らされる。


今の土楼一族は、ただ土を魔法で強引に固めているだけの

「砂の城」の住人に過ぎない。


だが、この少女がやっているのは、

大地そのものを味方につけ、建物に魂を宿す神代の建築術。


「教授? さっきから固まってるけど、

 魔法の使いすぎで知恵熱でも出た?」


桃花が、ひょいと顔を覗き込んできた。


その無邪気な瞳の奥に、エドワードは

深淵のような魔力のうねりを見た気がして、思わず後ずさった。


「桃花様……。

 失礼ながら、その『練り方』……一体、どなたから……?」


「え? お父さんに教わっただけだけど。

 あ、でも、この『魔法を振りかけるタイミング』は、

 おじいちゃん猫が横でうるさいから勝手に覚えたのよ」


おじいちゃん猫が、フンと鼻を鳴らす。


「(教え方が良いからに決まっておろう。

 この小僧、わしの姿が見えるのなら、

 少しはマシな感性を持っているようじゃな)」


エドワードは確信した。

目の前にいるのは、単なる天才という言葉では片付けられない。


「失われた一族の、正統なる支配者」。

それが数千年の時を超え、この冷たい鉄の街に降臨したのだ。


「……桃花様。私は、決めました」


エドワードは、その場に跪き、 まるで聖域で

神に祈りを捧げる騎士のように、深々と頭を下げる。


「このエドワード、そして我が研究室のすべてを、

 あなたの『土楼再建』のために捧げます。

 あなたが築くその円環こそが、この歪んだ

 魔導建築の世界を照らす、唯一の真理となるでしょう!」


「……ええっ!? ちょっと、大げさすぎない!? 

 私はただ、あの一族を見返して、快適なマイホームを

 作りたいだけなんだけど……」


困惑する桃花。

だが、エドワードの瞳は燃えていた。


彼の中に眠っていた「一族の血」が、

真の主を前にして、歓喜に震えていた。


「(桃花、言ったであろう? 

 お前はもう、ただの追放令嬢ではない。

 この世界のくさびとなる存在なのじゃ)」


「……おじいちゃん、ハードル上げすぎだってば」


桃花の呟きを余所に、王立学院で最も権威ある研究室が

一人の少女を「主」として仰いだ瞬間だった。


ご覧頂き、ありがとうございますm(_ _)m

本日、第7話まで投稿します。

よろしくお願いします☆


明日は、8話と9話を連続で投稿していきます。

12話で完結しますので、よろしかったらブクマをポチッと

して頂けると嬉しいです。(*^-^*)

よろしくお願いします☆


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