第2章 夏の雪
8月13日迎え盆の日、佐藤家の面々は先祖代々のお墓へ提灯を持って先祖を迎えに行った。朝から雨の降る嫌な天気だった。6人がお墓に着くとパパが水を桶に汲みに行った。バアバが花を添えてママがお線香の火をつけようとライターをカチカチと鳴らした時冷たい風が急に吹いて火を消し塔婆がカタカタ鳴った。皆で身体を密集させて火が消えないようにしてお線香に火をつけた。一束のお線香を皆で分けてお線香を供えた。あたりがお線香の匂いに包まれた。バアバがローソクに火をつけて提灯にローソクを入れて「お父さん、お母さん、今年もお迎えに参りました。お家に帰りましょう。」と一言添えていたら「お父さん、お母さんって誰?」ふうちゃんがバアバに尋ねた。「ジイジのお父さんとお母さんだよ。写真の人。」さゆりは風の問いに答えた。「うん。そっか?わかった。」風は口を尖らせわかってなさそうな顔をしていた。全員でお墓を掃除した。バアバは火を消さないように慎重に提灯を持って車に乗った。車に乗り込む瞬間冷たい風が吹いた。夏なのに珍しいわね。今朝の天気予報で太平洋に南岸低気圧があるとか言っていたわよ。これから雪になるかもしれません。」まりかが言うと太陽の光に照らされ雪がキラキラと舞い落ちて来た。「雪だ!」なっちゃんが叫ぶと皆で雪を手にとった。雨が雪に変わった瞬間だった。全員車に乗って、走りだすと雪が風に舞ってフロントガラスにあたりキラキラと光る。ワイパーで雪をはらうがガラスに当たった瞬間に水になった。周りの景色が少し雪で白くなりつつあった。家に着く頃には雪は止んで雨に変わった。ルイとエイミーが玄関まで迎えにきてくれた。「ただいま。ルイ、エイミー帰ってきたよ。お留守番ご苦労さまでした。」ふうちゃんが言うと「ニャー!」とルイが鳴いた。ルイの目を見つめると何時もと違ってルイの目はキラキラしていた。「皆さん、おかえりなさい。寂しかった。」ルイが喋った。風がビックリした表情を見せた。「ルイが喋った!皆聞いた?」風は興奮しながら皆の顔を見たが誰も気づかなかった。「ふうちゃん。何、バカな事言っているのよ!ルイが喋るはずないよ。」茉莉花が風の顔を見て微笑んだ。「嘘じゃないもん。おかえりなさいって言ってくれたもん。」風がママの目を睨みつけた。「私にも聴こえたよ。ルイの声。おかえりなさいって言ってくれた。寂しかったって!」夏が風とママの目を睨みつけた。「わかったわ!信じるわよ。大人には聴こえないんだわ。」茉莉花が風と夏の目を見つめた。「ニャー!」エイミーが鳴いた。「なっちゃん。何処行ってきたの?」エイミーが夏の目を見て目をキラキラさせて聞いて来た。「皆でお墓参り、ジイジのパパとママを迎えに行ったんだよ。」夏がエイミーのキラキラした瞳を見て説明した。「ニャー!」「人間の世界の儀式たんだね。」エイミーが夏の顔キラキラした目を見て話した。「エイミー?なんで私の名前わかったの?」夏がエイミーのキラキラした瞳を見て聞いた。「ニャー!」と鳴いて「だって、初めて会った時からなっちゃんって呼ばれていたじゃない?もう一人はふうちゃん。だよね。ママがまりかさん。パパがけんいちろうさん。バアバがさゆりさん。ジイジがけんざぶろうさん。だよね。エイミーは覚えたよ。家族の名前。」エイミーは夏の顔キラキラした目で見た。「エイミー、あなたお利口さんだね。」夏はエイミーの顔に自分の額をつけて喜んだ。それを見た大人達が夏がおかしくなったと勘違いした。「なっちゃん。大丈夫?おかしくなった?」ママが夏の目を見つめた。「ううん。おかしくなってなんかないよ。エイミーと話をしていた。皆の名前覚えたってさ!」夏がママの目を見つめた。「ママ、今、なっちゃんが言った事、本当だよ。エイミーは皆の名前言っていたよ。本当だよ。信じて!」風はママの目を見つめ涙ぐんで伝わらない気持ちに悔しさが滲んだ。「ママもふうちゃんとなっちゃんが嘘ついているとは思ってないわ。信じてあげたい!でも大人には聞こえないのルイの声もエイミーの声」まりかは夏の目を見つめた。「なっちゃん。私達の声は大人には聞こえないの!ごめんなさい。」エイミーは目をキラキラさせて、夏の顔を眺めた。「なっちゃん。お腹空いた。ご飯頂戴。」エイミーは目をキラキラさせてご飯を頼んだ。夏はお皿にカリカリご飯を二匹分用意した。「召し上がれ。」夏がエイミーの目を見るとエイミーは目をキラキラさせながらご飯を美味しそうに食べた。ルイもその隣でウゴウゴ言いながらがっついていた。ルイとエイミーはご飯を食べ終えて水をペチャペチャ、ゴクゴクと飲んでお腹を満たすとゴロリと床に転がった。表の庭を見ると薄っすらと雪が積もっていた。裸寒かった。「ご先祖様が来たから。ママが御馳走作らないといけないなあ?」まりかが仏壇の大ジイジと大バアバの写真を見て手を合わせ呟いた。「まりか!二人ともおはぎがすきだったからおはぎでも作ってあげてください。」バアバがまりかに声をかけた。「あずきなかったからスーパー行ってくる。」まりかが皆の顔を見た。「道路雪が積もっているから気をつけなさい。」バアバがまりかの顔を見て微笑んだ。「はい。お母さん。夏の雪だからすぐに溶けちゃいますよ。」まりかは笑った。しかし、道路に出るとあちらこちらで車が事故をおこしていた。まりかは慎重に運転してスーパーでお昼のおかずと晩ご飯のおかずとあずきと砂糖ともち米を買って家に無事戻った。「ただいま。」まりかがホッとして玄関を開けるとそこには、ルイとエイミーが迎えてくれた。「ニャー!」「まりかさん。おかえりなさい。ご無事でなによりです。」ルイとエイミーは目をキラキラさせてまりかの顔を見た。「あら!あんたたちの声聞こえたわよ。可愛い声だこと。ただいま、お迎えご苦労さま。」まりかは笑いながら部屋に入ると「ママおかえりなさい。雪大丈夫だった?」ふうちゃんがママの顔を見た。「ママは大丈夫だったけどあちらこちらで事故していた。後、ふうちゃん。ルイとエイミーの声、ママ聞いたよ。ふうちゃんとなっちゃんの事、嘘つき呼ばわりしてごめんなさい。ルイとエイミーが喋る時目がキラキラしていた。」ママは笑顔で風の顔を見た。「大人には聞こえないって言っていたんだけどルイが!ママには聞こえたんだね。私が嘘を言ってないことがわかって貰えて嬉しいよ。ママ。」風は笑顔でママの目を見つめて涙を流した。「ふうちゃん。どうしたの?何かあったの?」夏が風の涙をティシュで拭いた。「ママがルイとエイミーの声聞いたって!私達が嘘を言ってない事わかってくれたんだ!」風が夏にハグをして二人は大声で泣いた。「何?騒いでいるんだ!」パパがママに尋ねた。「あなた、お父さん、お母さん。ルイとエイミーが話すの聞いたんだ。私も。この子達は嘘つきではありません。信じてあげて下さい。お願いします。」まりかはけんいちろうにハグをし抱きついた。「あなた、お父さん、お母さん。雪にあたればルイとエイミーの声、聞けるんじゃないのかな?外出て見れば?」まりかが三人の顔を見て微笑んだ。「そんな?お墓であたったじゃないか?少なかったのかも?」パパがママの顔を見て微笑んだ。「お父さん。お母さん。外出てみましょう?」パパが二人の顔を見た。「出て見ましょう」さゆりがジイジとパパの顔を見た。三人は玄関を出て降ってくる雪に身体を預けた。「冷たい!」バアバが口にした。「お父さん。お母さん。それくらいで良いんじゃないですか?部屋に入りましょう。」けんいちろうが言った。三人は玄関を開けて部屋に入るとまりかがタオルを渡した。「ニャー!」「けんざぶろうさん。さゆりさん、けんいちろうさん。僕達の声聞こえますか?」ルイがキラキラした目で三人を見た。「あら!ルイ君、良く聞こえるわよ。可愛いいなあ!」さゆりはルイを抱き上げた。「ニャー!」「私の声も聞こえますか?エイミーだよ。」目をキラキラさせて三人を見た。「エイミー!やっぱり女の子だな?可愛いぞ!良く聞こえる。」パパはエイミーを抱き上げてハグをした。「ニャー!」「パパ、痛いわよ。そんなに強く抱いたら。私、乙女なんだから?」エイミーは少し怒った。




