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ロイヤルマリッジがじれったいので、私いやらしい雰囲気にしてきますね?  作者: 鴇田 孫


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第5話 朝一新鮮採れたて野菜と指遊び

 王都の朝は、やけに騒がしい。

 ハゥラは窓の外を見ながら、パンを口にくわえた。

 朝も早よから、せっせと畑仕事を終え、素振り、組み手、稽古、筋トレが終わると、朝御飯である。


 「ふわぁ〜……畑の朝の方がずっと静かだなぁ」

 朝の支度をメイド達が忙しく働いているのを眺めているとコンコンと、扉を叩く音が。


 「はぁい?」

 「失礼いたします。お嬢さま、申し訳ございません。本日…“にんじん”を収穫して綺麗に洗って、葉を落として厨房に置かれていませんでしたか?」

 「ああ、在庫が2本くらいだったから、補充しといたよ!?」

 「お嬢様、普通はご来賓のかたが厨房の野菜の在庫管理や採れたて野菜の補充はいたしません!!」


 そんなやりとりをしていると、廊下の向こうから足音がした。

 姿を見せたのは、エリザベス。

 相変わらず気品に満ちているが、その眉は少し曇っていた。


 「……あら、ハゥラ嬢。朝から元気ね」

 「エリザベス様! おはよう〜一緒にお茶しヨーヨー!」

 「声がデ……いえ、なんでもないわ」


 ハゥラの笑顔をテレっと、しながら見つつエリザベスはテーブルに座り、そっと紅茶を口に運んだ。

 けれどすぐに、遠い目をする。


 「……殿下は今日も政務にお忙しいのでしょうね」


 ハゥラは首をかしげた。

 「アルフレッド殿下って、ほんとに働き者だよね。大丈夫かな?んーでも好きなんでしょ?そういうとこも」


 「えっ!?」

 「だから、殿下のこと!」

 「は、え?そ、そんな軽々しく……!」


 エリザベスの顔がみるみる紅茶みたいに赤くなった。

 その反応を見て、ハゥラは得意げに頷いた。


 「うん、やっぱり好きなんだぁ!」

 「ヘッ?ちょ、ち、違いますわ! 私はただ……敬意を……!」

 「敬意って恋の別名じゃないの?」


 「ち、違います!!!」


 「あ、愛か、愛があるんやな?」


 「だだだ、だから!違うと言ってるでしょー」

 令嬢とは思えないてれっぷり。



 その声が、廊下にいたセオドールの耳にも届いた。


 彼は立ち止まり、深いため息をつく。


 「……また、始まったか」

 

 アルフレッドの側近の騎士達は、今回領主会議を開く予定で、じゃあそのついでに王太子の嫁探しもしようぜと、国王が一言言ったために、宰相始め部下達がイイネした結果、妙齢のお嬢様達を先に王室に送り込まれ、一人づつ警護に当たることになったのだ。

 勿論、王国の騎士団なので、みんな頼りになるはずである。


 セオドールはその一人で、ビッグマッソゥ伯爵が来られると知って、そして、そのお嬢様の護衛につけるときいて、とても喜んでいた。

 毎朝稽古に付き合わされ、自分の体力や剣術の自信を粉々に砕かれるまでは。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 その日の午後、ハゥラは王宮の庭園でスコップを構えていた。

 「ねえ、聞いて種さん、球根達、恋ってね、育てるものなんだよ。土がよければ芽も出るし、愛情をかければ花が咲く!だからしっかり恋の花咲かせてね!!」

 どこぞのきらっきらんな発言である。


 「ハゥラ嬢、何をなさっている」

 背後で低い声。振り向くと、セオドールが腕を組んで立っていた。


 「あ、セオ、恋を育てる畑を作ってるの!」

 「……恋の、畑?」

 「そう! ここに種を植えて、二人で世話をすれば、きっと仲良くなるはず!」


 セオドールは眉間を押さえた。

 「その“二人”とは……もしかしなくても、殿下とエリザベス様のことか」

 「そう!」


 「なぜそんなことを勝手に……」

 「だって二人、絶対に両想いだもん! もったいないよ!」

 「あまり、人が介入しない方が良い事もある。」

 「セオだって、焦れったいのずっとみてきたんでしょ?いい加減進展しても良いんじゃない?」

 「うぐっ…」


 そういわれると、過去、アルフレッドを護衛している手前、どうしても遠目にストーキングしているエリザベスを気にはかけてた。プラカードは持っていないが、小さなメモをとって、いつもはぁはぁしている姿を目撃しているのだ。

 「かれこれ…10年になるな…確かに…」

 「えーーーーーーーー?」


 信じられないと言った顔でセオドールを見るハゥラはため息をつく。

 「それは、こんな舞踏会も開いちゃうわよねぇ…よっし、そうと決まれば、アルフレッドとエリザベスをいやらしい雰囲気にしてきますね」

 「え?」

 令嬢とは思えない発言にセオドールは耳まで赤くなった。

 ニタリとしながら、2つのピンクのスコップに赤と青のリボンをかけてカゴの中に潜め、ルンルンと出掛けるハゥラであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 「アルフレッドさーん、失礼しまーす。」

 「さん付け令嬢きたぞ」

 「これはまた、何かが始まる予感」


 ヒッチとコックもハゥラの動向に釘付けである。


 「なんだ、今日はどうしたら、そんな格好に…ぶふ」

 書類の隙間からこれから農作業しに行きますの格好の令嬢がカゴと、青いリボンをつけたピンクのスコップをもって現れたのだから、これから一揆でも起こすのかな?と、疑いたくなる。エリザベスには様をつけるのに相変わらずの“さん“づけに少し吹き出してしまった。


 「ふっふっふ…アルフレッドさん、市井の人達の気持ちになって、作物やお花を育ててみませんか?やったことないでしょう?ね、ね?」

 「すでに、各領地の農村地帯は視察済みだ。」

 「ちが~う!それじゃあ、作物達の声が聞こえないじゃないですか!」

 「?」

 アルフレッドの顔に?である


 「作物達の声、土の香り、農業って、奥が深いんですよ、土からしか得られない養分もあるんです(恋のエピソードもね!)」

 「養分…」

 セオドールは、変な汗がでてきた、お構いなしに喋るこの令嬢、自分には出来ないことをやってくれるので、そこが痺れる汗吹き出す状態である


 「兎に角、明るいうちにキューピッド…じゃなかった、球根植えちゃいましょう!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 そして偶然(ハゥラによる偶然)通りかかったアルフレッドと畑に呼び出されていたエリザベスが邂逅する

 「あ、あ、アルフレッドしゃま!?(噛んだ)」

 「やぁ、最近ハゥラ嬢と、仲良くやっているな」

 「え、あ、ひゃい」


 (ひゃいって、やっぱりエリザベス様は殿下の前だとポンコツすぎる)

 ハゥラと、セオドールは、同じ様に思った。


 「エリザベス様、この種を、こちらの畝に蒔いていきましょう!等間隔で指を入れて印をいれていきましょう」

 「こ、こんな感じかしら?」

 「アルフレッドさんも、同じ様に等間隔で指を入れて印をいれていきましょう」

 「こうか?」

 あせあせと、柔らかい畝に指を入れていく


 ハゥラは声を押さえてセオドールに話しかける

 「どうかしら?この指を入れていく作業、ちょっぴりいやらしい雰囲気になるんじゃない?」

 「ちょっとまて、想像力がいる作業をさせても、二人にそういう知識がなければ意味がないぞ?っていうか、何を連想させようとしてるんだ?」


 セオドールは、顔を手で覆いながら赤くならないように、精神統一を始めた。

 「よーっし、ねぇねぇ、エリザベス様ー」



 「効果無しだね」

 「こんなことで効果があればとっくにくっついてるよ」

 と、ヒッチとコックが遠くから眺めている。

 「でも、これからどうでるかだね」



 「エリザベス様、アルフレッドさんの指の使い方、ちゃんと見習ってね!」

 「え、アルフレッド様の…指?」

 作業に一生懸命なアルフレッドの指を見るエリザベス…

 「す、素晴らしいわ、等間隔で穴を開けていくのに親指と小指を使って図ってらっしゃる!私には無理ですわっ」

 「あーーー。そうくるかー、じゃなくて、みてみて、あの優しい指の動き!何か思うところはない?」

 「?」

 エリザベスの顔が?である。



 ハゥラはスンってなった。もう、直接言おう。


 「ほら、あんな風にアルフレッド様にツンツン触られたら、エリザベス様はどうなっちゃうのかな?」

 御前は何を言っているんだ?ん?といった表情の後に、熱42度越えてるレベルでエリザベスは、赤面した。

 「…は、ハゥラ…あ、あな、あな…」

 「穴?あーーーー、穴もねぇ…」

 「!!!!」

 「は、はしたない!恥を知りなさい!」


 エリザベスがプンスコ涙目になって怒っていると、作業を終えたアルフレッドが近くに来た。

 「何か問題でも起きたか?」


 「ひゃっ、アルフレッドしゃま!(また噛んだ)」

 「あ、良いところに、等間隔で指を入れていくのがエリザベス様には難しいらしくって、さっきからお上手なアルフレッドさんの印の付け方をお手本にしましょうって言ってたところなんですぅ」

 「成る程、ほら、こうやってやるんだ」

 なにも知らないアルフレッドは、エリザベスの近くでやって見せる

 (は、はわわ…しゅてきなアルフレッドしゃまがこんなに近くで、長くて綺麗な、それでいて男らしい指でしるしをつけていくなんて、ズポ、ズポ、ずぽ、等間隔で、アルフレッドしゃまの指の形が残っていく、こんなの、こんなの、こんなの)

 と、その時アルフレッドの手がエリザベスの手に触れる。

 二人の目が合う…

 「た、耐えられませんわーーーー」


エリザベスは、鼻血を吹いて倒れ込んだ。


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