下剋の剣 第一章 ──少年、血塗られし運命に立つ。
異世界転生もの多すぎるので
それに終止符を打つような物語を描きます。
「……っく、うぅ……母さん……」
燃えさかる廃村の跡、赤く染まった地面に跪き、少年──剣は拳を握りしめた。
血に濡れたその手のひらに、温もりはもう残っていない。
母の最期の言葉は、耳の奥で何度も木霊している。
「剣、あなただけは助かって……」
だが、助かった代償はあまりにも重すぎた。
周囲には、村人の姿も、笑い声も、日常も、何ひとつ残っていない。
あるのはただ、炎の匂いと、死の静寂だけ──。
「……オレが、弱かったから……っ!」
拳を地に叩きつける。
だが、そんなことをしても何も変わらない。母は戻ってこない。笑顔も、声も、もうこの世界には存在しない。
「オレが、変える……この腐った世界を……!」
涙と血を拭い、剣は立ち上がった。
その目には、炎のような怒りと、氷のような決意が宿っていた。
──この世界は間違っている。
強い者が弱い者を踏みにじり、善が虐げられ、悪が笑う。
だが、それを黙って受け入れるほど、剣は素直な少年ではなかった。
「覚えてろ……“黒い牙”!」
母を殺した張本人──暴力組織《黒い牙》。
彼らの黒いコートと仮面を、剣は忘れはしない。
必ず見つけ出す。そしてこの手で、すべてを終わらせてやる。
「この剣で……オレが世界をぶった斬る!!」
──こうして、一人の少年の“下剋上”が始まった。
その歩みは血にまみれ、苦難に満ち、幾度も絶望が襲うだろう。
だが、それでも彼は進む。母の想いと、剣を携えて。
世界を変えるために。
自らの手で運命を切り拓くために──!
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