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双子神と巻き込まれ男

「ごめんなさい、本当にごめんなさい」


 薄暗い空間を照らすように散りばめられた星の光が輝く空間、目の前には深々と土下座するドレスに包まれた金髪の美少女。


「姉さん、何もそこまですることないわよ、私達の責任でもないんだから」


 その横には同じ色違いのドレスに身を包んだ銀髪のこれまた美少女が腕を組んで俺にきつい視線を向けている。


「何が何だか分からないけど、取り敢えず顔を上げて下さいよ」


 手を伸ばし彼女の肩へ伸ばそうとするも、あるはずの腕の感覚が今の俺にはなかった。

 視界と体の感覚だけはあるようで自分の姿を認識しようとしてみる。


 丸い、見える範囲は光り輝いている、そう、ただの光る球体が今の俺だった。


「なんじゃこりゃ!俺どうなってんの、なにこれなにこれ」


「うっさいわね、あんたは今精神体なの、こっちに飛ばされる時に肉体から分離されちゃったのよ」


 面倒そうに銀髪の美少女が説明してくれる。


 彼女が言うには俺は召喚の際1人の少女に服を捕まれ精神体だけを召喚されたらしい、このまま召喚されればすぐさま消滅、そんな時に女神である二人に一時的に此方へ救助されたと言うことらしい。


「そうか、お助け頂いて感謝します」


「そんな、私達が与えた加護のせいでこうなってしまったのです、それに、貴方自身はあちらの世界で死んでしまいましたし」


「えっ?死んでるんですか?」


「当たり前でしょ、精神体は言ってみればコア、それがなくなったら肉体は抜け殻、活動を停止するに決まってるじゃない」


 ショッキングな出来事なのだが、これだけあっさりと言われてしまうと納得しなければならないのかと逆に冷静になってしまう。


「それで、俺はこれからどうなるんでしょうか」


「今その事で呼んだんでしょ、急かさずに話聞きなさいよ」


「セスメル、私達にも非はあるわ、彼の気持ちも考えてあげなければ駄目よ」


「くっ、それにしたってこんなやつを神界に呼ぶなんて場違いよ」


「なんだよ、女神様かなんか知らないけど、あんたの態度は悪女かなんかだな」


 ふてぶてしいセスメルの態度にこちらとしても怒りが湧いてこないわけがない、光球となった体を彼女の周りで動かしながら悪態をつき言葉を返す。


「黙るのよ、それ以上いったら潰す」


 ガシッとあっけなく掴まれた俺、彼女の力が入るに連れて、なんだが光がチリのように消えていっている気がする。


「いやぁ消える消える、ごめんなさい」


「分かればいいのよ、分かれば」


「あらあら、仲良しになったのね、じゃれ合うセスメルちゃんを見るのは久しぶりだわ」


「じゃれてない」

「じゃれてないわよ」


 二人でハモって言葉を荒らげるがそんな事はお構い無しと話を始める金髪女神。


「私はラメル、生命と豊穣を司っています、貴方には巻き込まれた少女を助けてあげて欲しいの」


「巻き込まれた少女?」


「本来はそっちをこちらに呼ぶべきだったの、召喚に巻き込まれた子はスキルなどの付与がされないから」


「貴方は呼ばないと消滅していたから、私が無理を言ってしまって」


「まぁ、仕方ないわよ、呼んじゃったんだし」


「でも俺に何をしろと?」


 そもそも俺も巻き込まれた1人、助けろと言われても体も存在しないのだから、何か出来るはずもないのだが。


「あんたには彼女とパスが繋がってるの、だから彼女の体を依代にして召喚することにしたのよ」


「全く意味がわからないんですけど」


「頭悪いわね、彼女のスキルとして力を貸してあげてって言ってるのよ」


「今のままだと貴方は輪廻に戻ることが出来ないの、どうにかする間、彼女のスキルとして存在を保って欲しいという事なの」


 ラメル様の説明は丁寧で理解しやすいな、セスメル様は少し黙ってラメル様に任してくれたら良いのに……


「あれ、消える消える消える」


 心の中で本音を吐露していたらセスメル様の手の中で握りしめられることとなってしまった。


「スキル等は私の管轄なの、取り敢えず、非力な彼女をあんたが手助けしてあげて欲しいのよ、わかった?」


「はい、とても分かりやすかったです、そのそろそろ消えちゃいそうなんで離して貰えます?」


 彼女の手の中でかなり縮小した体に危機感を持ち下手に出て願い出ておく。

 話されれば飛び散った光が集まり元の姿へと戻ることが出来た、危ない危ない。


「でも、俺が手助け出来るんですか?スキルになると言っても何をすればいいのか」


「今から説明するって言ってんでしょ、黙って聞いてらんないの、あんた」


 ひぇぇ、おっかない、ここはラメル様の近くで大人しく聞いていようとふわふわ寄って行けば、ラメル様の腕に包まれそのまま豊満な丘の間で抱きしめられた。


 とても残念だ、肉体がないから実感が薄い。


「聞いてんの?あんたには統括スキルになってもらう」


「統括スキルですか」


「スキルの仕様権限を持ったスキルね」


 要はスキル自信がスキル取得し、その効果を発揮、効果はスキル保持者も使用可能に出来ると言うことらしい。


 本来スキルの恩恵を受けられない彼女への代替案、俺がスキルの役割を代わりに行うという事らしい、全然分からん。


「取り敢えず時間が無いの、最初に幾つか使えるものを用意しとくから後はあんたがこの中から随時選んで行きなさい」


「女神の祝福パック、スキル盛り合わせですよ、ただ、ポイントで取得しないと使えないから気をつけてね」


 重要な事ですよねそれ、説明省略する為に可愛いキャラに言わせておけば許されると思ってるクソアプリみたいな事しないで貰えませんかね。


「あぁ、そうだ、召喚された国からは出来るだけ早く逃げて、じゃないとそこで終わる事になるから」


「出来るなら兄も止めて欲しいところなんだけど……それは欲張りすぎよね」


(説明不足が過ぎる、頼むから余計な疑問を増やさないでぇぇぇ)


 意識が薄れいく中で、付け足したように聞こえた声に叫びながら俺の意識は暗闇へと放り出される事になった。

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