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職業とスキル

 豪華な調度品に囲まれた応接室へ通された一同、祭儀場は王城の地下に存在しており、そのまま城の中へと案内されていた。


「私達の希望としては数年以内に復活する邪龍の危機を君達に助力願いたい」


「俺達にそんな力があると思えないんだが?」


「それに関しましては問題御座らないと思われます」


「召喚された勇者様には稀有な職業と強力なスキルが宿ると言われております、私も勇者様方から力を感じておりますので間違いないと思っています」


 案内された4人の対面にはカイベルとスイレムが座りその傍らにサイモンが地球儀の様なものを持って控えている。


 切り出された話題に疑心を隠さず問い掛ける瑠璃斗だったが、その問いにはサイモンとスイレムが補足を入れて説明した。


「まずは勇者様方にも実感頂く必要があると思い、こちらを用意させて頂きました」


 サイモンが手に持ったそれをテーブルへと置いて、彼らによく見えるようにする。


「此方は鑑定用の道具になる、手を触れていただければ勇者様方の職業とスキルを表示してくれるのだ」


「順番に確認させて頂きたい」


 目の前の道具にお互いの顔を見合わせるが、瑠璃斗が先陣をきって手を触れてみる。

 触れた瞬間球体の水晶の中に見た事のない文字が浮かび上がるが、自然と彼らにも文字の内容が理解出来た。


 佐野 瑠璃斗 17歳 ♂︎


 職業・竜騎士


 スキル

 言語理解・成長促進・成長限界突破

 龍擊・熱耐性・雷魔法


「職業……竜騎士」


「おぉ、これはドラゴンスレイヤーとも呼ばれる希少な職業ですな、なんとも邪龍に対して切り札になり得る職業ですぞ」


「スキルも伝承通りだ、言語理解に成長促進、成長限界突破、やはり勇者に違いないな」


 その後清治、雲雀と手を触れてステータスが表示されていく。


 篠目 清治 17歳 ♂︎


 職業・大魔導師


 スキル

 言語理解・成長促進・成長限界突破

 4大属性魔法・魔力ブースト


 神城 雲雀 17歳 ♀︎


 職業・剣姫


 スキル

 言語理解・成長促進・成長限界突破

 風魔法・シルフの加護


「清治様は大魔導師ですね、魔法を極めし者とも言われる職業ですわ、時をも操る魔法を使用する力を秘めていると言われております」


「雲雀様は剣姫ですな、華麗なる剣技を身につけた戦姫が所持していた職業です、鮮やかな剣筋は切られた事も気付かないとか、それに精霊様の加護を所持しているとはこれもまた珍しい」


 次々に絶賛の声を上げざる負えない結果に興奮の色を隠せない声で騒ぎ立てるサイモンとスイレム。


「落ち着くのだ二人とも、それでは最後に千莉よ、そなたも触れて貰おう」


 カイベルが雲雀にしがみつき縮こまっていた千莉へと道具を動かす。

 勧められて断る事も出来ずに手を伸ばす彼女だが、一度ピタリと近づけていた手が止まり数秒の間が出来た。


 どうしたのかと周りが彼女に視線を集める。

 しかし、頷く様な素振りを見せた彼女は、止めていた手を再び動かし水晶に触れた。


 東条 千莉 17歳 ♀︎


 職業・未定


 スキル

 言語理解・ーーーー


「何だこれは、未定等見た事が無いぞ、どういう事だサイモン」


「私も見た事がございませんな、言語理解がございますがそれ以外は不明の1つ、勇者の特殊スキルも持っておられないと言うことは彼女は勇者では無いと言うことになりますが……」


 予想外の結果に戸惑うカイベル達、彼らの視線に千莉は雲雀の服を掴み怯えた姿を見せ始める。


「彼女は召喚される予定じゃなかったのかも知れないな、僕達が包まれる後で突き飛ばされて陣に入ったのが原因かもしれない」


 召喚時を思い出し推理する清治が予測を口にする。

 千莉は召喚のイレギュラーとして恩恵を受ける事が出来なかった、その為に色々と不備が出た結果がステータスに現れていた。


「そうか、巻き込んでしまったと言うことか」


「しかし、困りましたな。こちらの不手際ではありますが彼女を城に置いておけば貴族からも反発が免れませんぞ。力がないのに勇者様方と共に戦場へ送り出す事になるやもしれませぬ」


「そんな馬鹿な話があってたまるか、あんたらが勝手に連れてきたんだ、俺達は道具じゃないんだ無責任だろ」


 サイモンの懸念に声を荒らげたのは瑠璃斗だった、正義感が強い彼がサイモンのこぼした言葉に怒りを顕にするのは必然だった。


「瑠璃斗、少し落ち着け」


 今にも殴りかかりそうな瑠璃斗を清治が止めに入る。


「清治!」


「責任を取らないとも言っていないだろ、サイモンさん召喚出来たなら返す事も出来るんじゃないか?」


「送還に関しての記述は残っておりませぬ、聖女様も召喚に関してしか知識を持っておられませんでしたので」


「申し訳ございません、帰す方法は私も知らないのです」


「こちらとしても国の全力を持って方法は探す予定だ、しかし、その間匿い続ける事は難しいだろうな」


 清治が予想していた通りの言葉が返ってきた。

 帰す方法が本当に無いのか、方法を隠して縛りつけようとしているのかは分からないが想像通りの展開になった。


「最初から僕達に選択肢は無かったという事だね、保護してもらうにしてもその対価を求められる、拒否して身の安全が保証される事もないと」


「確かに君の言う通りだ、勇者を召喚する事は広く周知されている、勇者の力を借りない選択肢はない、しかし、王族の名にかけて勇者の安全は守ってみせる」


「待って、東條さんは勇者じゃないんでしょ、彼女の安全はどうなるの」


 カイベルの言葉に違和感を感じ取った雲雀が声を挙げて問いただす。


「王家が庇護するには勇者として公表するしかありません、ですがそれでは東條様は無理にでも戦場へ出てもらわなければならなくなるかと思われます」


 雲雀の懸念にサイモンが予想される結果を口にするが、それは能力を持たない千莉に死にに行けと言っているのと同義であった。


「城にいればいずれ巻き込む事になってしまう、彼女には悪いが城を離れてもらうのが一番の方法になるだろう」


「それこそ身勝手じゃないか」


「生活の援助はこちらでも行うことを約束しましょう、帝都から離れた街ならば目立つ事も無いでしょうから」


「結局それじゃあ責任を取る事にはならないと思いますが、それでは安全も保証されないでしょう」


「これでは話が進まないな、こちらにも話し合う時間が欲しい、今日は城で疲れを癒して明日また話し合いの場を設けさせて貰おう」


 平行線で進みそうにない話にカイベルがお互いに時間は必要だと判断したようで、日を改める為その場はお開きにする事となった。

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