めんどくさい!めんどくさい!めんどくさい!
掌編小説5
お題:元日、サイコロ、紅葉
あぁー、めんどくさい!めんどくさい!めんどくさい!生きることがこんなにめんどくさいなんて!
30度を超える部屋のなか、タンクトップに半ズボンでワンカップを仰いでいる女がいる。ボサボサの髪を掻きむしりながら怨嗟の声を振り撒いている。
この国が資本主義で、競争を強いられるのが悪いんだ!
進路だ、人生設計だとどうせ死ねば無になるのに語ってんじゃねぇよ!
バーカ!バーカ!
めんどくさいんだよ!金が勝手に入ってくればそれでいいのに!なんで良い給料を得るためにめんどくさい努力なんかしなきゃいけないんだ。なんでやりたくもない仕事をするために職場を選ばなくちゃいけないんだよ!
そうだ!選ぶんだ!
選ぶ選ぶ選ぶ選ぶ選ぶ!
高校も大学も就職先だって全部選んでるんだ!選ばされてるんだ!
結局どこを選んだって大して変わらないのにさ!
あーあ、めんどくさい。死を選ぶことすらめんどくさい。絶望に囚われることすらめんどくさい。ただ、運だけで全てが決まればなぁ。
サイコロ転がしてさ、出た目が1ならあなたは死にます!だとか出た目が6なら億万長者!だとか簡単に決めてくれればなぁ!
女は怨嗟の声を撒きながら、自分しかいない部屋でサイコロを振り遊んでいる。
「6が出た。億万長者だー!げふふ」
「1かよ。じゃあ私死にまーす。ぐえー」
サイコロに一喜一憂する女の声が辺りに侘しさを振り撒いている。
あー、疲れた。貯金も10万円しかねぇし、無駄に腹を空かせて無駄に糞をして寝る!
あー!楽しくなってきたぁ!
なんか飯でも食おーっと。
女は冷蔵庫に向かうがめぼしいものはなかったらしくワンカップを片手に戻ってきた。
あーあ、新年早々めんどくっさ。
スーパー行かねぇと。
女は一息で飲み干すと、床に撒かれシワだらけとなった1000円札を手に部屋を出た。部屋の外から炎天下への悪態が聞こえてくる。
私は彼女の声が聞こえなくなるとサイコロを振り天気を決めた。
出た目は1か。今夜は暑くしないとな。
今日は1月1日、元日である。
外には紅葉がハラハラリと舞っている。
またお題要素少ねえよ…