第55話:商業対策
第38話の、飛車の性能の修正を加えました。
スミマセン、見直しはしているのですが、中々修正が追い付きません。
少しずつですが、矛盾の生じない様に修正して行きます。
恐らくは、気付いている方もいらっしゃるでしょうが、何とか仕上がりは違和感レベルの矛盾も修正して行こうとは思っています。
何卒どうぞ、お読み頂ければと思います。
失礼致しました(`・ω・´)ゞ
協議の結果、ベーシック・インカムは一人につき銀貨7枚と定められた。
切り詰めた生活をした場合、2週間は生活していける金額だ。
それと同時に、デッドリッグは『最低賃金』と云う制度を導入した。
1時間当たりの金額は、銅貨7枚だ。
コレで、町民の生活は護られた、かに思われた。
だが実際は、大規模な人数の作業が、他の領のもっと低い賃金で行われようとしていた。
その情報を知る成り、デッドリッグは大規模な商人達を呼び集め、注意喚起を行なおうとした。
実際に集まった、大規模商人は少なかった。
デッドリッグは議事を進めようと、まず挨拶をしてからこう言った。
「まずは、この議事に集ってくれたこと、嬉しく思う。
そして、これはイチ領主としてのお願いだが、どうか聞いて欲しい。
大規模作業の労働者に、出来る限りこの町の者を募って行って欲しい。
ソレに対して、領主としても援助を出す。
一人1時間につき、銅貨3枚。
コレが、この領の限界だ。
援助を出す理由を宣告しよう。
この町に集まったお金が、外に出て行く事を防ぐ為だ。
コレは、この領にとって、重要な事項だ。
町から外にお金が出て行くと、町の中に存在するお金の総額が減る。
それにより、経済活動が停滞する可能性が高いからだ。
付け加えて、従業員の一人一人に、定期的な休みを与えて頂きたい。
コレに関しては、従業員の負担が減る代わりに、作業効率の向上が予想出来るからだ。
事は、町の豊かさを失う事態が想定される、深刻な事態だ。
原因が『最低賃金』の制度を設けた事にある事は承知でお願いする。
この町の中でお金が循環する限りは、経済は必ずや活性化する筈だ!
どうか、この町の発展に貢献して頂けるよう、お願いしたい。
宜しく頼む!」
そう言って、デッドリッグは頭を下げた。コレは、領主が行う行動として、稀有な事だった。
一般的な領主は、もっと高圧的なのだ。
だが、デッドリッグの前世は一般的な日本人。権力者では無かった。
故に、日本の問題を起こす高圧的な政治家等に対して、批判的ですらあった。
調子に乗った権力者は、容易に問題を起こす。
だから、デッドリッグは商人達に対して若干の下手に出た態度で応じたのだ。
それが、一番、誠意が伝わると思って。
正直、消費税30%は高い。
だが、だからこそベーシックインカムと、勤勉な労働者に対しては保護的に動いた事情もあるにはある。
かつて、日本の江戸時代頃には、『士農工商』と云われ、商人は軽視されがちだった。
だが、商人の持つ経済力は、馬鹿にならないチカラを持っていた。
故に、デッドリッグは商人に対して、『卑しい儲け方をしないでくれ!』と云う気持ちを持っていた。
それに対し、商人達の方は、利に聡く動こうとしていた。
だが、デッドリッグも商人も、この町の労働力の全てだけでは、この町に必要な豊かさを齎せないであろうと予測していた。
だから、デッドリッグはこの話をする際に、商人に対して『義務化』をしなかった。
外貨を奪われるなら、輸出すればいい。ソコで黒字を出せれば、町は豊かに発展して行くだろう。
ソレが故、今回の話をする事で、デッドリッグと参加した商人達との間で、暗黙の了解事項が出来つつあった。
──この話を聞きに来なかった商人への、情報の規制である。
デッドリッグとしては、どちらにせよ、町内での労働力には限界があるのを知っている。
商人としても、この町で確保出来る労働力は、限界が見えている。
だから、集まった商人の内、7割がデッドリッグの要望に応える事によって、絶妙なバランスでの経済力の発展を、この後、この町に齎す事になる。
引っ越してまで、この町に住み、この町で働く者も出て来る程にだった。
領主としての支出は、はっきり言って他領よりも多い。
だが、支出から生じた消費税によって、この領に齎される税金は、非常に多額だった。
そして、その結果生じる、書類の量は倍増した。
全てをデッドリッグが処理するのも限界があり、ローズ達の力も借りるのだが、どうもこの先、処理し切れなくなる事態が予想される。
よって、デッドリッグは皇国学園の卒業見込みの学生から、皇国高等学園に進学しない者の内、優秀な者を雇おうと動いた。
条件は、誠実である事、正直である事、そして勤勉である事。
能力は、学園で優秀であった事から、十分な能力を備えている事が容易に想像できる。
そして、皇国高等学園に通えない学生は、金銭的に余裕が無い者が大半だった。
デッドリッグは、自身と学生の両者にとって条件の良い報酬を約束し、7名もの文官を雇った。
武官は、募集のチラシを園内に貼り出して貰っただけで、応募待ちをして応募者の中から厳選した。
結果、武官は13名をも雇う事になるが、文官・武官共に、ベーシックインカムの存在を明かしつつ、他領に仕官するよりは安い給与を提示したが、実質的に、十分に高かった。
勿論、この条件で雇われようとする者は、一見安いようだが、実質的に少し高い賃金である事を判断できるだけの頭脳を持っていた。
消費税30%なぞ、他領でも当然の如く求められており、裕福な領地の者たちは、もっと高い税を掛けられていた。
累進課税によって、中途半端に高い賃金を、得れば良いものではないとも、理解をされた。
だが、グレーゾーンの存在によって、出世を望まない程の無欲な働き方はしない。
ギリギリでグレーゾーンの上の課税を課せられそうな際には、必要経費によって、実質的な収入をグレーゾーンに収めれば良い事も、全てを話さなくても理解された。
文官より武官を多く雇った理由は、害獣や魔物対策である。
この7文官・13武官は、後にケン公爵領の発展に大きく貢献し、後の世にまで、ケン公爵領では名が語り継がれる程であったが、それはまだ、後の話であった。




