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『ヘブンスガール・コレクション』~悪役第二皇子に転生したが、気付けば主人公格に?!~  作者: 月詠 昼光


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第43話:血の繋がり

 飛車の運転は、普通自動車 (マニュアル)よりも少し難しい程度だが、そもそもが前世で普通自動車免許を持っていなかった二人には、少々難し過ぎた。


「ム!デッドリッグ、少し高度が落ち始めているぞ!」


「判ってますよ、兄上!少し黙って運転の仕方を見て学んで下さい!」


 そこに、ピーッ、ピーッと警告音が鳴る。


「ム!何だ、この警告音は?!」


「急に高度を上げ過ぎたせいですから、気にしないで下さいませ!」


 幾つかコアが増えたせいか、前回ほどスムーズに運転出来ないデッドリッグ。


「運転は熟練していると思ったから、誘いに乗ったが、まだ全然運転出来ていないではないか!」


 文句を言うバルテマーに対して、デッドリッグは苛立った。


「複雑な操作を省いて操縦しているから、スムーズに運転出来ていない、って云う側面もあるんですから、大人しく観察していて下さい!」


 だが、バルテマーは落ち着かない。


「コレ、着地はちゃんと出来るのだろうな?


 若干不安だぞ?」


「オート着地システムを組んでいますから、心配なさらないで下さいませ!


 ソレが完成しなかったら、『飛車』の開発そのものを許していないんですから!」


 今、デッドリッグが手を出したくて堪らない、幾つものスイッチ群を、バルテマーは恐ろし気に観察していた。


 実は、ソレラのスイッチ群がオート制御システムに重要なものであり、かつ、操作を誤ったら危なっかしいスイッチ群なのだ。


 なので、本来はオート制御に任せる部分を、デッドリッグは今、マニュアル操作で賄っており、本来の実力を出せないでいる。


 コレが、教える為の操縦でなければソレラのスイッチ群を操作出来るのだが、一つ隣のスイッチを触ったら、予定とは真逆の効果を発揮したりする。


 なので、デッドリッグは今、『盗難予防』の為の『セーフティコア』とは別に、『安定走行』の為の『ハイ・セキュリティコア』を作ろうか、頭の中で考えていた。


 だが、所詮は基本情報のレベル。『プログラミング』の本領を発揮する余地の無いレベルでの知識であり、果たして『ハイ・セキュリティコア』をデッドリッグのイメージ通りに作れるかは謎だ。


 問題は、単語の辞書が無い点にもある。デッドリッグは、本当に簡単なやり取り程度しか出来ないレベルの英語力である。


 キーとなる単語が思い出せなかったら、ソコで『龍血魔法文字命令』として実行は出来ない。


 ただ、不思議な事に、デッドリッグには本当に必要となったら、『天啓(てんけい)』のように英単語が思い出せるのだから、まだ恵まれている。


 本来なら、『龍血魔法文字命令』自体は知識として知っているものの、『HTML文命令』を詳しくは知らないバルテマーは、デッドリッグに遠く及ばない。


 どれだけ画期的な魔法機なのかすら、バルテマーは理解していない。ただ、その便利さは強く判っている。


「コレが、量産出来たらなぁ……」


 ただ、そんな夢を見ていたが、デッドリッグには、その夢の実現性を強く知っていた。


「何を(おっしゃ)っているのですか、兄上。


 コレは、俺が責任を持って量産化させますよ!」


「本当か、デッドリッグ!」


「ええ、勿論!


 大人気商品にして見せますよ!」


 そんな無邪気なデッドリッグに対して、バルテマーはボソッと、こう呟いた。


「デッドリッグは、ズルいなぁ……」


「何を仰っていますか!


 兄上も、中々のチート振りを発揮していらっしゃるじゃないですか!」


「デッドリッグ、ソレは井の中の(かわず)だよ」


「だとしたら、俺も大概な井の中の蛙ですよ!」


「……そうなのか?」


 バルテマーが、一瞬、本気で世界の広さを夢見た。


「ああ、そうか……。


 どう足掻(あが)いても、一流になれない所以(ゆえん)があるのかよ!」


「ええ。俺達が俺達である限り、必ず限界があります。


 そして、その壁は、一流たり得る者には、かなり突破し易い壁でしか無いのです。


 考えてもみて下さい。俺達の知名度を」


「ああ……」


 確かに、知名度は低かろう。


 だが、今回はそんな理由で終わる訳にはいかない。


「今度こそ、俺は卒業後の領域まで辿り着く……!!」


 その希望を見出す為には、デッドリッグ一人の努力では済まない。


 6人のヒロイン達。彼女たちが、かなり重要だ。


「俺は今、実はかなり恵まれているのかも知れない……」


 そう言ったデッドリッグは、無意識にオート制御ボタン群を触っており、バルテマーを混乱に陥れた。


「なぁ、デッドリッグ」


「何でしょう、兄上?」


「ハンドルの握り方から教えてくれろ。


 多分今、このセリフが必要かと思った。


 ……深い意味は無い。ただ……見る者から見れば、『不快』なのかもなぁ……」


 デッドリッグは慌てて、オート着地システムを起動し、周回を終える際に自動的に飛車が着地して止まる設定をした。


「兄上。その発言は取り消して下さい」


「否、多分、既に手遅れなのだ。


 だが、事と次第によっては、一人か二人の犠牲で済むかも知れない。


 デッドリッグ。安心しろ。


 俺はお前の味方だ。お前が俺をどう思おうとも、自ら敵対しない限り。


 父上がな。もっと言えば、カーリンもか。


 お前の敵は、二人居る。


 だが、コチラも最低でも二人居る。


 ──俺が皇帝に成る。その後は、俺に任せよ。


 父上が裏で糸引く事など、許しはしない。


 俺達は、俺達の力で幸せになろうぜ!!」


 そう言い切ったバルテマーは、デッドリッグから見れば(まぶ)しい程、頼り強かった。


 そして、この瞬間、デッドリッグは前世の記憶に引っ張られず、間違い無くバルテマーを血の繋がった兄だと認識したのだった。

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