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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆
79/233

(79)絶望から⑤

女子バレーボール、惜しかった!

 全てありのまま話しているのだが、一部を除き内容の全てが真実か判断する術を持たない【黄金】一行なので、ドロデスが改めて直接的な圧を加える。


「ほ~、そうかよ。馬車がいる場所まで一時間とは、お前の足で・・・だろ?で、他の情報は?」


 痛みに耐えつつ対応している騎士なので、脂汗をかきながらも必死で弁明し、命乞いをしている。


「自分が知っているのはここまでだ。本当に知っている情報を全て出した。命だけは助けてくれ!」


「どうやらこれ以上の情報持ってねーようだな。で、コイツはどうする?どうせ他の連中と同じで自分の事しか考えてねーぞ。平気でハルナをナンチャラ公爵とやらに差し出そうとしやがったからな」


 全て曝け出したのに助かる気配が消えつつあるので、他の手段はないのか必死で考えている騎士。


「ま、待ってくれ。直接的に関係あるのか分からないが、もう一つ情報がある!王位継承のゴタゴタに関する情報だ!」


 ドロデス達にとっては、本来他国の王位継承がどうなろうが正直知った事ではないのだが、兄姉と偽りつつも命を賭して逃亡を手助けした存在の話まで聞いている上、その当事者であるハルナを助けると約束しているので、交渉が不利にならない様に気を付けつつも情報を得ようとする。


 残念ながらこう言った作業はドロデスには不向きで、力技一辺倒の為に交渉担当のミランダが前面に出る。


「あら?可能性としては低い(・・)けど、知っておいても良い情報かもしれないわね。どんな内容かしら?」


「・・・簡単には話せない。俺の命が懸かっているからな。命の保障があって初めて明かせる内容だ」


 騎士もこれ以上何をどうしようが交渉になる手札を持っていないので、口調も変わり、何としても助かる為に必死だ。


「あらそう?じゃあ良いわ。どうせ私達の力があれば労せずに知る事が出来るでしょうから。何を勘違いしているのか知らないけど、偉そうに交渉できる立場だと思ったのかしら?笑わせないでもらえる?」


 底冷えするような表情で交渉にすらならないと言い切ったミランダを見て、自分の対応が間違っていたと思ってしまった(・・・・)騎士は慌てて情報を垂れ流す。


「も、申し訳ありません。ハ、ハルナ王女を王都から逃がすために行動した二人の主、二人の父であるパーミット侯爵の話しです。実は・・・」


「パーミット侯爵がどうしたのですか?」


 ミランダが、敢えて興味がない情報だと言わんばかりの態度であった事は誰しもがわかっているのだが、自らの命を賭して逃がしてくれた二人の存在に関連する人物の話しの為、思わず焦ったような口調で問いかけてしまうハルナ。


 助かる術を必死で探しながらも交渉できる可能性がある最後の情報を話そうとしていた騎士なので、これが最後のチャンスとばかりに直接ハルナと交渉を始める。


「ハルナ王女。おそらく王女にとってこの情報は非常に重要です。ですので、対価として私の命の保障をお願いします!」


 【黄金】の男性陣三人は交渉能力が著しく低いので、ミランダの敢えて突き放すかのような態度やハルナが焦って口を挟んでしまった状況を理解しつつも、直接的な表現が出てしまう。


「あぁ?テメー、随分と偉そうじゃねーかよ?ミランダの言葉が聞こえなかったのか?どんな情報かは知らねーが、俺達の力があればテメーごときが仕入れられる情報は直にでも手に入るんだよ!」


「ひぃ・・・」


 完全に怯えてしまうのだが、それでも情報の続きを話さないのはこれが最後の生き残るチャンスだと肌で感じてしまったからだ。


 たとえこの後痛めつけられようが、王族と約束する事で命だけ助かれば勝ちだと思い必死で耐えている。


「あぁ?この野郎・・・この期に及んでダンマリかよ?面倒クセーな。目障りだから埋めちまおうぜ?」


 全く交渉になっていないので少々頭痛がしているミランダは、敢えてドロデスよりも一歩前に出て騎士からは見えない様に背中に手を回し、ドロデスに対して少し離れるように手で追い払う仕草をしている。


 ドロデスは怒りのあまりどうでも良いと言う気持ちで脅しではなく本気で埋めるつもりだったので、ミランダの行動を見て“やっちまった”とでも言わんばかりの表情をしながら交渉の場からオウビとジャレードを伴って離脱する。


「ねぇ、私達の本気、わかった?私もいい加減貴方と話すのが嫌になってきたのよ。言いたい事があるなら今のうちに言った方が身のためだと思うけど?埋まっちゃったら何も話せないと思うわよ?」


 騎士にとって女性の方が御しやすいかと言えば決してそのような事も無く、ミランダも数多の経験をしている<魔術>Aを持っている強者なので、その圧力を受けてガタガタ震えてしまうが、視線は助けを求めるかのようにハルナを見ていた。


 ハルナも恩人とも言えるパーミット侯爵の名前が出てしまったので我を忘れて交渉中に口を挟んでしまったのだが、仮に今ここで侯爵関連の情報を聞いても出来る事はないのだろうと反応する事はない。


 震えるだけで何も話さない騎士を見て、時間だけが無駄に過ぎると思ったミランダがこう告げたので、騎士にしてみれば助かる為に僅かな希望の光が見えていた。


「は~、わかったわ。貴方には今選べる四つの選択肢があるの。これ以上譲歩しないからそのつもりで良く聞いてちょうだい」


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