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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆
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(59)新たな依頼

 本来はここまで一気に酔うのは珍しいのだが、屈辱的な事を思い出した影響か一気に深酒しているドロデス、ジャレード、オウビ。


「んで、これからどうすんだスロノ?」


 昔話も終わりSランカーの説明も終了したころ、トロンとした視線でまじめな口調のドロデスがスロノの今後の活動について問いかける。


 スロノとしてはいくつかの選択肢があり、【黄金】と共に行動するか継続して今迄の様に単独で行動するかが選択し易い案なのだが、身の安全が十分確保できるだけの能力は収納済みなので、敢えて冒険者として活動しなくても良いのかも……とも思っている。


 となると残りは商人として活動するのはセンスが無いので除外され、Sランカーの話を聞いた以上はここで満足する事なく継続して能力を得つつも安定的な収入を得られる仕事は……と考えた結果、ギルド併設の納品場の職員が思い浮かぶ。


 冒険者達が日々納品してくる魔獣やら獣やらを処理する職員なのだが、スロノとしては公にしている収納の能力を使える上に動かぬ物体になっている納品された存在から能力を得られる。


 今迄に結構な修羅場とも言える戦闘も経験してきたので、年齢から考えると相当早いが一旦休憩の意味も兼ねて臨時職員でも良いのでその方向に行こうかと口を開こうとした所、受付の声で止められる。


「あの、そろそろ私の依頼の話をさせて頂いても良いですか?」


 全員すっかり忘れていたのだが、そう言えば受付が依頼書を持って何やら説明したそうにこの場に来ていた事を漸く思い出していた。


「ご、ごめんなさい。私達、話に夢中になっちゃって!」


「いいえ。色々と問題がありましたから、大丈夫です。ではお話させて頂いても大丈夫ですか?」


「はい。お願いします。スロノ君も聞くでしょう?」


 今後の行動をどうするか決めてない状態なのだが、話を聞く分には特段制約を受ける訳ではないのでミランダが言う通りに共に話を聞く事にしたスロノと、自分の依頼について詳細を話せていないのでこの場にいるしかないハルナ。


 残りの三人は聞いてもろくに理解できる状況ではないと判断したのか、ミランダはどうするのか聞くことはしない。


「そうですね。ハルナさんもそれで良いですか?」


「はい。お気遣いありがとうございます、スロノ様」


 【黄金】との会話によって無意識で敬語に戻っているスロノだが、ハルナも違和感なく受け入れている。


「ありがとうございます。では説明させていただきます。正に今話題にでていたSランカーのお一人である聖母リリエル様からの指名依頼になるのですが……」


「何?ちょっと待ってくれ!」


 恩を受けた別格の存在からの指名依頼と聞いて、酔ってはいても即座に反応して水を飲み顔を叩き強制的に酔いを醒ましているドロデス達。


 その視線は真剣そのもので、恩を返すべく何をおいてもこの依頼を達成しようと意気込んでいるのは嫌でも伝わってくる。


「えっと、進めますね?リリエル様は各国を回って癒しを行っていただいている素晴らしい方です。種族も関係なく癒しを与えることができる人格者なのですが、今いる王国バルドでは少々困ったことになっているようなのです。今すぐ何かがあるというわけではないようなのですが、距離もあることから早めに来てほしいとの要望です。これ以上の具体的な内容はないのですが、如何でしょうか?」


「受ける!当然だ。ミランダは場合によってはこの場に残って待っていてくれても良いぜ?恩を受けたのは俺達三人だからな」


「は~。三人だけで行動すると食事も適当、片付けも適当、何もかもが適当になるでしょう?私がいないと交渉すら怪しいのだから、【黄金】として私も行くわよ!メンバーが受けた恩を一緒に返すのは当然よ?」


 自分も【黄金】によって救われているので、仲間のために行動するのは当たり前とばかりに同行を申し出るミランダ。


 ドロデス達としては言われた通りに食事等に関して非常に助かるうえ、そもそも<魔術>Aを持っているのでミランダは庇護の対象でもないことから依頼遂行の重荷になることもなく、その申し出をありがたく受けている。


「わ、私も同行させてください!」


 今まで大人しくしていたハルナが突然割り込むように大声を出したので全員の視線が集中するが、その視線を受けても決意の目をもって【黄金】の回答を待っている。


「えっと、ハルナさんは俺とここで待っていても良いですよ?」


 突然の豹変に何が起きたのか不思議そうにしながらも、この町・・・王国シャハのテョレ町に滞在していても問題ないと告げているスロノ。


「いいえ。私もついて行かせてください」


 王女の目をしている事から、スロノはひょっとして・・・という気持ちで確認する。


「えっとハルナさんの国って、まさか今話に出ていた王国バルドですか?」


 ハルナの視線はドロデスに向けられているのだがスロノの問いかけに対して明確に首肯しており、この態度から何を言っても同行する意思を曲げることはないだろうと判断したこの場の全員。


「スロノ。この嬢ちゃんの意志は固てーぞ?どの道国に関する俺達への依頼があったんだろ?一緒に片づけりゃ良いじゃねーか?」


 Sランカーからの依頼のためにそう簡単に解決できるモノではないだろうと思っていたスロノなので、その上ハルナの依頼はいくらドロデス達でも厳しいという思いがあった。


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