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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆
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(58)Sランカー

 油断があっても相当鍛えているドロデス達なので、背後からでも普通の冒険者、まして商人からの攻撃で自己回復できないレベルの怪我を負うのはおかしい。


 その事実を指摘されて言われている事はこれ以上ないほどに説得力があると今更ながら感じていたこの場の全員なので、想像を含めて話が盛り上がる。


「じゃあスロノ君の指摘から想像すると、その商人に扮した人物はひょっとしたら五人の内の一人かもしれないのかな?」


「確かに、油断していたとは言ってもSランカーに癒してもらわねーと回復出来ねー怪我を一撃で負わされるとは考えられねー・・・と思いたい」


 語尾に少々自信がなさそうな部分が出てしまうが、ジャレードとオウビも激しく同意している。


「えっと、さっきの話ではSランカーは公になっているらしいですけど俺は一人も知らないので、今の話で聖母と呼ばれている人は理解しましたけど、他の四人についても教えてもらっても良いですか?」


 Bランカーで最強、Aランカーでありえないほどの強さと言われているこの世界なのだが、能力やレベルについて自ら明らかにするような冒険者は非常にレアだ。


 しかしSランカーにもなれば他者に明らかにしても問題ないほどの力がある他にもギルドから依頼を受けずとも多額の資金が定期的に提供される。


 認定を得るには実績の他に持っている能力と共にそのレベルも公にした上で現実的にその力をギルド所属審査官の前で行使するか、実績が無ければ能力を鑑定させて認めさせる事が必要になっている。


 この作業が有る事からもSランカーはその能力と共に存在が公になっているのだが、全員に積極的に告知されているわけではない。


 そもそも告知をしても一般的な冒険者が接触する必要があるわけもなく、仮に依頼を出すとしても聖母リリエルは特例としてあり得ないほどの金額が必要になる事から、ドロデス達のように相当な実力を持ちギルドマスターと懇意にしている者等ある意味限定的に開示されている。


 現実的には一般の冒険者にもSランカーについて聞かれれば答えているのでスロノのようにまるで興味がなければ知ることはないが、やはり別格の存在なのでその実績も凄まじく、いつの間にか二つ名がついているのが現状だ。


「うっし、そんじゃあ説明するがよ?俺の中では五人のSランカー以外にも同格がいる可能性があると付け加えておくぜ?相当額の資金提供が必要ないほど稼げる存在だからな。能力の公開と天秤にかけて申告しねー連中がいてもおかしくはねーだろ?」


 実際にスロノもレベルSの能力を収納しているうえ、そもそも<収納>の能力もレベルSを超える能力なのでドロデスのこの言葉に対して納得の表情だ。


「一人目は説明済みの聖母リリエル。金目金髪の可愛らしい外見だし経費も本当に最低限しか受け取らなかった二つ名にふさわしい人物だが、だからと言って舐めて良い相手じゃねーな」


 ドロデスの話しが長くなりそうなのを見計らいミランダは自分が引き継ぐと主張しているのだが、これはドロデスが寡黙なジャレードとオウビが酒を飲み始めているのを見て羨ましそうにしたからだ。


「スロノ君。私も今の立場になって色々教えてもらったので、私からも説明するね?私は会ったことがないので風貌はわからないけど、二つ名“流星ビョーラ”と呼ばれている<弓術>を持っている男性」


「その名前から察するに、星の数ほどの矢を射ることができるんでしょうか?」


「私もそう思うけど・・・敵対することはないでしょうけど、決めつけると危険よ?じゃあ三人目!男性の二つ名“陰のソルベルド”。持っている能力は<槍術>ね」


「えっと、名前と能力が結び付きませんね?そのあたりの情報は知っていますか?」


「一応噂だけど、なんでも存在が良くわからないらしいのよ。私に言わせれば聖母リリエルさん以外は同じく存在が良くわからないけど、それ以上の情報は持っていないの。ごめんね。で、四人目の二つ名は“魔道リューリュ”。その名の通り<魔術>を持っている女性ね。最後の五人目の二つ名“暴風エルロン”で男性。能力は<棒術>よ!」


「全員が異なる能力を持っているのですね。でも、<操作>や<棒術>は武器がなくなったら戦力が落ちますよね?公になっている以上、そこを突いてくる相手もいるのではないかと余計な心配をしちゃいますね?」


「そうねぇ。ウチ(黄金)の面々も武器・防具を失ったら本当の肉弾戦になるわね。それでも相当強いけど、不便は感じるでしょうね」


 確かにその通りではあるのだが、実際にSランカーを目の当たりにしたドロデスが身をもって知った情報を伝える。


「うーい、同格のSランカー相手だと話は別だろうが、俺達みてーな相手だとあいつら(Sランカー)にとっちゃ武器の有無なんて関係ねーぞ?さっきも言ったが、聖母リリエルでさえ勝てるビジョンが思い浮かばなかったからよ?」


「と言う事らしいわね、スロノ君」


 既に酔い始めているので、いつもの事ながら少しだけ呆れた表情のミランダ。


「えっと、最後に一つだけ確認したいのですが、五人のSランカーは全員人族ですか?」


 この場に獣人族のハルナがいるので、人族に限ったことではないのではと普通に疑問をぶつけるスロノ。


「そうかもしれないわね。でも、その情報は流れていないのよ。聖母リリエルさんだけは人族なのは間違いなさそうよ?実際にその目で見たのが三人もいるのだから、間違いようがないわね」


 最も重要な能力は明らかになっているが、その他は結構知られないようにしているのかもしれないと思いつつも、必ずしも知りたい情報でもないのでハルナの話を聞こうかと思い始めているスロノ。


 ミランダもスロノの視線がハルナに向いたのでその意図は察したのだが、その後にスロノと目が合うと肩をすくめて他の三人を見ている。


 その先には完全に出来上がっている三人がおり、早くもこの状態で真面目な話をしても記憶に残らなそうな程の泥酔ぶりだった。


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