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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆
40/233

(40)再びあの町に戻る

 色々考えた結果ここまでこじれてしまってはミランダがあの町で冒険者として活動する事は不可能だと考えたスロノは、再び【黄金】パーティーがおり配慮が出来るギルドマスターのいる町に戻る事を決意して、今はかつていた町に戻っている最中だ。


 本来の能力を使って有り得ない程の成果を叩き出す事は出来るのだが、秘匿していたおかげでギルドから無駄に引き留められる事も無く、同じくミランダも一度だけその実力を如何なく発揮したがその後はスロノと共に底辺の依頼しかこなしていなかったので、少々惜しまれつつも強引に引き留められる事は無かった。


 初日は勢いもあって夜中の移動となってしまったのだが、スロノがさりげなく能力を使って安全を確保していたおかげで相当距離を稼ぐ事が出来ており、その後は安全な日中に移動する事で楽しく旅をする事が出来ている。


「あっ、ミランダさん。見えてきましたよ!」


 今回の旅の終着点である【黄金】パーティーが所属している町に到着すると、そのままギルドに向かう二人。


「ギルドって、どこも変わらないのね」


「正直、俺も同じ事を思った事がありますよ。初めて他の町に行けばきっと全員が同じ事を言うのでしょうね」


 以前の自分と全く同じ感想を言っているミランダに笑顔を向けた後、スロノは受付に移動する。


「あの、すみません。以前【黄金】の皆さんと行動を共にしていたスロノと言いますけど、ドロデスさん達はどうしていますか?」


 受付に対しても丁寧に接するとそのやり取りを聞いている他の冒険者に舐められると言う意識が冒険者には根付いているので、このように話しかけられた経験がない受け付けはマジマジとスロノの顔を見てしまう。


「し、失礼しました。スロノさんですね?【黄金】の皆さんは、以前にギルドマスターの指名依頼を受けた際に相当無理をしたらしく今はその疲れを癒す期間が続いておりまして、週に数回依頼を受けている状態です。ここ数日は依頼を受けておりませんので運が良ければ今日、悪くとも明日にはギルドにいらっしゃると思います。宜しければ伝言を残しておきますが?」


 スロノが【黄金】と別れた時にギルドマスターから他の町のギルドマスターからの救援の依頼を受けていた事を思い出したスロノは、その依頼が今受付の言っている内容なのかは判断できないが、とりあえず無事かどうかを改めて確認する。


「あの、皆さんは無事と言う事で良いでしょうか?」


「はい。流石は高レベルの冒険者の皆様なので勿論怪我なども無く、単純に相当精神的に疲れたと仰っていました」


 受付の女性に対してそのように説明したのは、間違いなくパーティーの中で唯一普通に話せるリーダーのドロデスなのだろうなと思い出しながら無意識のうちに笑顔になっているスロノ。


「ふふ、スロノ君。やっぱり相当信頼できるパーティーの方々なのね。自然と笑顔になっているわよ?」


 ミランダに言われて初めて自分が笑顔になっている事に気が付いたスロノは、自分の中で【黄金】の三人は身内と言っても良い程の存在になっているのだなと思っていた。


「そうですね。相当信頼できる人達ですよ。えっと、それじゃあ【黄金】の皆さんがギルドに来ましたら、スロノが会いたがっていたと伝えて頂けますか?一応夜は暫くこのギルドで食事をする事にするので、そこも伝えて頂けると助かります。って、それで良いですよね?ミランダさん」


 話の流れで夕食の場所を決めてしまったので慌てて確認しているスロノだが、ミランダに否がある訳も無い。


「大丈夫よ、スロノ君」


 そのやり取りを見て、普通の冒険者とは相当違う雰囲気で有難いと思いつつもしっかりと対応する受付の女性。


「わかりました。では【黄金】の皆様がギルドに来られた際にはお伝えしておきますね。スロノさん達は今日の依頼はどうされますか?」


「えっと、俺としては町を懐かしむと言うか、散策でも良いですか?」


「そうね。これから私のホームになるのだから、しっかりと案内してもらえると嬉しいわ。スロノ君」


「任せてくださいよ!では、そう言う事で申し訳ありませんが今日はこのまま撤収させて頂きますね」


「承知しました」


 受付としては確認のために聞いただけなので強制的に依頼を振り分けるような事をするわけも無く、普通の冒険者ではあり得ない優しい雰囲気を出しながら歩いている二人の後ろ姿を笑顔で見送っている。


「こっちに・・・そうそう、武器とかいろいろ使える品が売っている店があるんですよ。でも、そこの店主は商売上手なのでしっかり交渉しないとダメなんです。売っている品は良い物しかないので安心ですけど」


 ミランダに色々と案内しながら懐かしんでいるスロノだが、やがて日が暮れ始めたので宣言していた通りに夕食をとる為に再びギルドに戻る。


「お!本当にスロノじゃねーか。で、そっちのねーちゃんは・・・姉ちゃんか?まさか、奥さんとか言うんじゃね~だろうな?」


 ギルドに入ると、受付から伝言を聞いていた【黄金】の三人は依頼を受けずにスロノが来るのを今か今かと待っていたのだ。


「そ、そうじゃないですよ!ジャレードさんもオウビさんもニヤニヤしないで!」


 無口な二人の【黄金】にも釘を刺しつつ、久しぶりの再会を楽しむとともに本来の目的であるミランダの加入について話を始めるスロノだ。


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