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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆


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(229)メンティスの願い

 メンティスの説明・・・やがてはお願いになるのだろうが、話しは続いている。


「知っての通りに現在エルロンの所在はつかめていないが、過去に同様の事は幾度となくあった。その度に無法者がいなくなったと淡い期待を抱いていたが結果は言うまでもないので、今回もよからぬ企みでもしているのだろう。それを裏付けるかのように私の方にも闇ギルドから相当な頻度で接触がある」


 シャールやスロノも今回の失踪は期待通りの結果だと伝えたいのだが、言えずに黙って続きを待つ。


「私の場合には家族をある意味人質に取られているので、他の面々と同様の脅しを受けて止む無く行動している。その目的は本人を前に直接的に口にするのは申し訳ないのだが・・・スロノ殿を含むSランカーや【黄金】、ギルド本部やこの町そのものだ」


 あの狂犬(エルロン)であればこれほどの規模に対する理不尽な恨みを果たす為の行動でも躊躇なく実行するだろうと感じているが、幾ら闇ギルドを使っているとは言っても忠誠心はあまりないはずであり、力で抑え込める人物自体がいなくなっていると理解させれば自然と瓦解するのではないかと思っているシャールとスロノ。


 二人は互いにメンティスの話しを聞きながら視線を合わせているが、事実を口にするには自分だけの判断では不可能な事も知っている為に何か良い案が出てくるわけも無い。


「・・・あれ?お話し中にすみません。誰かここに来たようですね。一旦お話しは中断させて頂いても良いですか?」


 魔術を使用しているスロノであれば来訪者は把握できるし、基本的にギルドマスターが個別で会談している状況である事は職員が把握している以上・・・その状態でこの場に来るのは急ぎの用件である可能性が高いと理解している。


「・・・メンティス様。少しだけ宜しいですか?」


 シャールもその程度は理解でいるし、メンティスもわかっているので異を唱えない。


「し、失礼します。メンティス様・・・騎士の方から緊急連絡を受けております。宿に宿泊中のお二方が失踪したようです」


「は?」


 高級宿であれば内部に入るのにも身分確認は必要になるし、まして治安が良いはずの王都でそのような事が起こる事自体が想定外のメンティス。


「スロノ・・・これは闇ギルド起こした事で間違いなさそうだ。大至急の緊急依頼を出させてもらう。ご婦人と御息女・・・でしたね?侯爵!」


「・・・あ、あぁ。そうだ」


 動揺しているメンティスに対して半ば強制的に回答を貰う為に少々強めの語気を発しているシャールは、回答を得ると直に再びスロノと向き合う。


「さっきまでの話しだと・・・巻き込まれるのはこの町とSランカーに【黄金】か。ランカーに対してどのように対処するのか分からないがそう簡単に事は進まないだろう。つまり優先順位はお二人の救出として、次点で各貴族に対する同様の対処だ」


 すっかりギルドマスターとしての顔つきに戻っており、最も警戒する人物がいない事を知っている為に多少余裕があるのか素早い決断が出来ている。


「わかりました。正直俺一人で次点の対策までは直には出来ない可能性があるので、パーティーとして受注で良いですか?」


「もちろんだ。巻き込まれる可能性が高い当事者とも言えるからな」


 拉致されたのは確実だと思っているのだがその後の状態については全く予断を許さないので、別格の力を持つスロノに全てを一任したシャール。


「失礼します。マスター!いたるところで騒動が起きています!」


 再び部屋に来た職員が慌てて報告しているが、騒動と言われても具体的な内容がわからない。


「落ち着け。もう少し具体的に話せ!」


 このような言葉を口にしながらもここまで騒動になってしまっては最早国外に対する体裁などと言っていられないので、さっさとエルロンは処罰したと公開した方がマシだと感じているシャール。


 間違いなくギルド本部のある王都でも騒動が起きているだろうと思っており、それは正しいのだが・・・王都に関してはシャールの想像以上の状態になっている。


 門は破壊されていつの間にか侵入してきた魔獣が大暴れしており、突然降ってわいた状況の為に国家と連携を取る時間も無く慌てて国とギルドが個別に対応し始めているので効率は悪い。


 一方で闇ギルド側としても不測の事態に襲われている。


「・・・お前等、ワイの至宝に手を出そうとするはエエ度胸やな?最近はババァからのストーカー行為でイライラしとったんや。その鬱憤、ここで晴らさせてもらうで?」


 十二分な対策をしてターゲットであるSランカーに攻撃を仕掛けるために行動しており、ソルベルドに関して言えばミューさえ手に入れてしまえばどうとでもなると判断されている事からそのように行動しようとした。


 とある食事処でソルベルドだけが席を外した瞬間に拉致しようとしたのだが、そこに待ったをかけたのがソルベルドの宣言通りにストーカー行為をしていた師匠でもあるサルーンだ。


 今日は本当に陰ながら二人を覗いて楽しもうとしていた所で明らかに一般人ではない動きをしている存在複数人が、ソルベルドが席を外した瞬間に近接した為に露骨にソルベルドが去った席に座っていた。


「今日は美味そうな食事をしているねぇ。バカ弟子にはもったいないねぇ。ところでアンタ達、この二人を追い回す権利があるのはアタシだけさねぇ。何のつもりでいるのか、教えてもらいたいねぇ?」


 サルーンの情報は嫌でも持っているので油断したと言う気持ちが捨てきれないのだが、どの様に対応するのか少しだけ逡巡している僅かな時間にソルベルドが戻ってきてしまう。


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