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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆
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(221)予想を超える

 何のかんの師弟の仲は悪くないと理解しているので、ソルベルドだけではなくサルーンも納得済みである事を把握したスロノ。


「実は俺の方でも、もう少し情報を集めようと思っていた所です。とは言っても何時エルロンが来るのかはわかりませんから、今のうちに対応した方が良いですか?」


「正直早く事が終わって元に戻してもらいたい気持ちがあるねぇ。アタシはこの部屋・・・丁度ベッドもあるし、暫くは籠らせてもらう事にするさねぇ」


「ババァの言う通りやな。ホナ、申し訳ないがお願いしても良いやろか?」


「わかりました。えっと、信用はしていますがこの能力・・・」


「当然誰にも言わへんで。ババァもそこは絶対や!」


「当然だねぇ。例えバカ弟子の命と引き換えと言われても、絶対に話す事は無いねぇ」


 絶対に秘密は守ると言われているし信用もしているのだが、サルーンの例えに少しだけ引いてしまいある程度は譲歩できるケースもあると伝えるスロノ。


「あの、ありがとうございます。でも大切な人の命と引き換えであれば、能力の可能性程度の前提で話しても構わないですよ?」


「スロノはん?ババァに配慮する必要はないで?まぁ、ワイの場合にはミューはんを人質に取られてしまった場合にはそうさせてもらう可能性が高いのは正直に伝えておくで!そやけど、きっとミューはんのことやからそうなる前に自ら自分自身を・・・止め止め!こんな悲しい事は考えたくないで!」


「それで良いですよ。ミューさんを失うよりも不確かな情報として口を開く方が有益ですからね!」


 あれほどミューに全てを賭けているので、そこを突かれてしまえば激しく動揺して良心の呵責にさいなまれ・・・最悪はそれだけで大きな隙となって攻撃されてしまう可能性があると思っているスロノ。


 最早ソルベルドやミューも大切な仲間との認識の為、多少情報が洩れる程度で命が助かるのであれば是非ともそうして欲しいと心底思っている。


「じゃあ早速始めます。座って後ろを向いて頂けますか?」


 特段正面からでも能力を発動する事は出来るのだが何となく視線を合わせたくない為にこう指示を出したスロノと、その意図は分からないながらも素直に言われた通りに椅子に逆向きに座って背中をスロノに見せている二人。


「少しだけ触れますね?」


 こうして接触する事で<収納>Exの能力によりサルーンから<槍術>Sを引き抜いてそのままソルベルドに移植し、<槍術>SSになった事を確認したスロノ。


 このままではサルーンは動く事もままならなない状態になってしまう事は知っているので、自らが収納している中で身体能力が上がる系統の能力を新たに付与する事にした。


 流石に余剰になっているSランクの能力を収納してはいないので、<体術>Bを付与しておく。


「・・・随分と楽になったねぇ。助かるねぇ。これなら寝たきりにはなりそうにないねぇ」


 即座に違和感を覚えたのかスロノに対して直にお礼を告げるサルーンと、聞かず共何をしたのかは簡単に推測できるので同じくお礼を述べているソルベルド。


「スロノはん。ホンマおおきに。助かるで。これでワイがしっかりとあの雑魚の鼻っ柱をへし折ってやるさかい、楽しみにしとってや?」


「ありがとうございます。それと・・・今思いついたのですが、ソルベルドさんにはこれも渡しておきますね?」


 ラルドから収納していた<錬金>Sの力を試す目的で作っていた腕輪を渡すスロノ。


 現時点でソルベルドが装着している腕輪同様武器を瞬時に所持者の手元に出現させる道具であり、各能力に応じた適切な武器が現れるようにしている。


 当然<槍術>を持つソルベルドであれば槍が出現し、今持っているギルド支給の槍と比較すると性能的にも相当上になる。


「・・・ホンマ規格外やな。そやけど助かるで!こいつがあれば間違いなくゾンビの様に復活するエルロンをしっかりと土に還らすことができるで!」


 腕輪を装着して直に槍を出現させると武器自体の性能の高さを瞬時に把握したのか、スロノが想像以上に多才で高い能力を持っていると理解したソルベルド。


 単純に関心と感謝だけの感情であり、これでミューを安全な状態のまま最大の怨敵を始末できると確信して少し余裕が出ていた。


「ホナ今日一日と言わず、先にクソ雑魚を痛めつけに向かうんもアリかもしれ・・・」


 ソルベルドの言葉はここで切れ、有無をも言わさず近くの窓をけ破る勢いで開くとそのまま外に飛び降りる。


 スロノも<魔術>Sを自らに付与している状態の為にソルベルドが何故このような行動をとったのかは把握しており、逆に<体術>Bしかないサルーンは直接的に把握する事は出来ないながらもこれまでの経験から正解に到達している。


あの小童(エルロン)、少しの我慢も出来ないんだねぇ。早速攻めて来るとは恐れ入ったよ。約束通りにアタシはバカ弟子の奥さんを可能な限り守るさねぇ。こっちは気にせずに行っとくれ?」


 途端にざわつき始める周囲の部屋の状況を把握しながらも、言われた通りに窓から外に飛び降りると・・・早くも【黄金】の他のメンバーも武器をしっかりと手に持って不穏な気配がする方向に向かっていた。


 こうなるのであればもっとしっかりと武器を練成して【黄金】に渡しておくべきだったと後悔しているのだが、通常の依頼だけではなく貴族のパーティーやらで心に余裕がなかった事もあって一度試しでソルベルドに渡した武器を作って終わりにしてしまっていた。


 今更悔やんでも仕方がないし練成する素材も無いので、今できる事をするべきと気持ちを切り替えて全員が小高い丘に到着する。


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